2010年7月7日水曜日

ギリシャ問題と民主党

ギリシャの財政危機を菅首相は盛んに引き合いにだしているが、ギリシャ危機の真相はどこにあるのだろう。
あくまで私の個人的見解だが、サブプライム問題で大きな損失を出したヘッジファンドが、昨年10月にギリシャの新政権が2009年度の財政赤字額を発表したことで、新たな投機対象として赤字体質のため債務不履行に陥る恐れのギリシャの国債(「ソヴリン・リスク」と呼ばれる)を値下がりする前に売り、値下がりした時点でそれを買い戻すことで利益を得ようとしたことではないかと考えている。
ファンドの投げ売りによる国債の信用力低下が財政破綻危機を招いたわけで、ギリシャ国債の国外保有率は70%で且つ国債金利が8%ほどと高かったことも大きな要因である。ギリシャのGDPに対する財政赤字は12%程度で、イギリスと同程度である。
もう一つがEUに加盟することにより、ギリシャは独自の金融・為替政策がとれない点である。
これは、EU全体にとっても大きな課題となりつつある。
菅総理の言うとおりであるとすれば、とっくに日本が財政破綻していなければおかしいことになる。


では、日本はというと国債の国外保有率は5%程度で金利は1%少々という超低利である。
投資対象としては旨みがない国債である。菅首相は、ギリシャと日本の環境の違いに対し(特に国外保有率が低いことに関して)否定的な見解を述べているが、素人が考えても日本とギリシャでは違うと思われる。
為替相場を見ても、ドル・ユーロともに円高に振れており、超低金利にもかかわらず、中国が日本の国債を買い始めたとの噂さえある。
ヘッジファンドに荒らされる危険の少ない安定した且つ安心な投資先として日本国債の信用は高いとみるべきであろう。
ギリシャと違い、日本は独自の金融・為替政策がとれる。柔軟な対応が可能である。

さて、民主党においては現執行部と小沢一郎氏との対立が表面化している。
小沢氏が一人で現執行部批判をしているような報道が多いが、小沢氏の発言は党内の多くの議員の思いを代弁しているに過ぎないと考えている。
もしこれを小沢氏個人の発言と現執行部が捉えているならばそれは大きな間違いである。
衆参400人を超える巨大与党をまとめていく力が現執行部には無いことが表面化し、所属議員も小沢氏の「選挙を仕切る力」と「ドブ板選挙」や「組織選挙」の重要性を改めて再認識したことであろう。
挙党一致体制をつくろうという思いが現執行部に欠けていることが現執行部の最大の問題点であり、いまいち党内の信頼を得られていない原因でもある。
これは今後の党運営に大きな影を落とすことになろう。
選挙後は、挙党一致体制を築くことが出来るかどうかが最大の焦点であり、小沢氏の処遇が最大のポイントである。
小沢氏は分裂を望んでいるわけではない。多くの議員もそれを望んではいない。小沢氏も「挙党一致」を訴えるであろう。反小沢と言われる人達が、再度、小沢氏排除に動いた場合、「挙党一致の大義」に対し反対を訴えられる議員は数少ないであろう。多くの議員が小沢氏支持に回る可能性が出てくる。多くの議員にとって、まだしばらくは小沢氏は党にとっても各議員にとっても必要な人であり、その代わりができる人材はまだ育っていない。
特に新人議員にとっては、小沢氏及びそのグループは頼りになる存在である。
改めて小沢氏の存在感が浮き彫りになった。

今回、一人区で思った以上に自民党が健闘しているのは、昔に戻り「ドブ板選挙」と「組織の再構築」に取り組んでいるからである。やっと原点にもどることの重要性に気づき始めたようだ。

選挙後どういう展開になるのかについては、政治評論家や新聞社の政治部の編集委員等が色々と述べているようだが、それぞれの希望的観測的な意見が多い。

重要なのは「国民が民主党に何を期待しているのか」であり、「そのために何が出来るのか」である。
国民から選ばれた政治家が「どれだけの覚悟をもって」政治に取り組めるかであり、その覚悟のある政治家が何人いるかである。「数が力」という人もいるが、「覚悟のある政治家が多くいる」ことが数が集まる最大の要因であり政治を動かしていく力である。選挙のことだけを考えている政治家は自ずから淘汰されるであろう。
その判断材料のひとつが「発言がブレない」ことである。発言がブレる政治家は、自分に理念がなく、政策に自信がない政治家である。
国民を馬鹿にしてはいけない。
マスコミの世論調査には現れない「声なき声」の方が圧倒的に多いことを肝に命ずるべきである。
民主党のコアな支持者の中には、党でなく「小沢一郎」個人を支持するファンが数多くいる。
おそらく日本の政治家の中で一番多くのファンをもつ政治家であろう。
毀誉褒貶が多い政治家ではあるが、日本人が忘れかけているスピリッツを感じさせる数少ない政治家であり、権力に媚ない数少ない政治家である。

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