2010年10月23日土曜日

検察審査会の強制起訴は憲法違反だ!・・・三権分立は守られているのか?

朝晩、かなり涼しくなり、すごしやすくなった。
以前にも少し書いたが、小沢氏の弁護団が起こした行政訴訟について私論を少々・・・。

東京地裁が棄却した理由の説明の中で、検察審査会は準司法機関であるとの見解を示した。
東京高裁も同様な説明で即時棄却した。
ということは検察審査会を司法機関と認めたということである。

前回も書いたが、起訴権は検察だけが有する権利だ。警察にも裁判所にも起訴権は与えられていないと理解している。では起訴権を持つ検察はどこに属する機関なのであろう。法務省の管轄下にあるはずなので行政機関であると思う。であるとするならば強制起訴権を持つ検察審査会は行政機関であるとの論理になるのだが・・・。
以前は強制起訴権を持っていなかったので、最高裁の管轄下でも問題なかったのかもしれないが、強制起訴権を持たした時点で、最高裁の管轄下から離して、独立した行政機関にすべきであったと素人ながら考える。

犯罪を裁く立場の裁判所(司法)が容疑者を起訴する事(検察だけが有する権利)もできるということは憲法の三権分立の趣旨に反する。
身内に甘い日本の官僚組織であれば、なおさらである。
「身内である検察審査会が強制起訴した案件を身内の裁判所が裁く」という図式になってしまう。
完全に憲法の趣旨に反する。憲法違反と考える根拠はここにある。
これでは、個人の権利が公正に且つ完全に守られるとは言いがたい。
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もう一つ別の視点からみてみよう。
東京地裁が検察審査会を「準司法機関」と説明したときに違和感を覚えた。
一般的には準司法的手続(行政審判)を行う機関が準司法機関で、公正取引委員会などの組織を言うそうだ。

私の解釈では、裁判所が検察審査会を行政審判を行う準司法機関と言うのであれば、行政訴訟の対象であっても何もおかしくないのではないかと思うのだが・・・。ましてや今回は手続きに関する訴訟である。
そして起訴の元になっている法律が「政治資金規正法」という総務省の管轄する行政文書に関する法律であることを考えれば、行政訴訟が認められて当然だと思うのだが・・・。

どうも検察審査会に「強制起訴権」を与えた時点から、検察審査会の位置づけが曖昧なものになってしまったように思える。

「市民参加」という名のもとに11人の法律の素人に強大な権限(強制起訴権)をもたせた新たな機関が生まれたと捉えるべきであろう。
これは、ある意味、運用次第では、恐ろしいことになる可能性を秘めている。新たな冤罪を生み出す機関になる可能性がある。(むしろ検察より怖い。)
そして彼らは何も責任を取らない。どこの誰かもわからない。無責任な判断がまかりとおる可能性さえ危惧される。容疑者にされた人はたまったものではない。釈明する権利さえ与えられていない。
個人の人権など無視されたに等しい。ここでも憲法違反の可能性がある。

選ばれた11人の「思想や容疑者のイメージ」などにより議決が大きく左右される可能性が非常に高い。
選ばれた11人の「資質や年齢などの組み合わせ」などにより議決が大きく左右される可能性が非常に高い。
まして、今回の小沢さんの案件のように、急に2回目の議決に、勝手に新たな犯罪事実が追加されるようなことが平気でまかり通るならば、日本の司法制度の信頼を揺るがすことにもなりかねない。(検察審査会が持つのは強制起訴権だけであり、通常の起訴権は無いはずである。)

もう一点付け加えるならば、小沢さんに関してはもう一つ検察審査会で議決した別の案件がある。第一検察審査会の議決である。この案件は最終的に不起訴になったが、内容は第五検察審査会とほぼ同じ構図である。
同じ検察審査会でありながら、2つの違う判断がくだされたことになる。この点をどう判断すべきなのか。ここにも疑問点が残る。

小沢さんに関する事件を見ていると、いかに日本の三権分立が曖昧なものであるかが伺いしれる。裁判所、検察、弁護士、政治家、官僚らが何らかの形で裏でつながっているのではないかいう疑いを持つのは私だけであろうか。

早急に制度をもう一度検討し直す必要がある。(余りにも透明性が低く、容疑者の権利が守られない制度である。)

余談:強制議決と秘書3人の裁判との関連
最初から、気になっていたのだが、今回の強制起訴で証拠と言えるものは、主に石川秘書らの供述調書だけである。石川氏らは自身の裁判で供述を完全否認する構えだ。
石川氏らの供述調書の信頼性が大きな争点になるはずだ。
今回、小沢さんが強制起訴され裁判で秘書3人より先に有罪判決となった場合に、平行して進められている秘書3人の裁判で秘書の供述の信頼性が崩れた場合、どうなるのだろう。おそらく秘書3人の裁判の方が長引き判決が小沢さんより遅くなる可能性がある。
その時点で冤罪になると思う。
どちらにしても、犯罪事実とされる「期づれ」自体の犯罪性を立証すること自体が無理だと思うのだが・・・。

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