2011年9月22日木曜日

日本の財政を考える(1)・・・どうしたら財政再建できるのか?

日本の財政をどうしたら再建できるのか?
政治家や官僚から聞こえてくるのは「増税」や「財政規律」とかいう言葉ばかりで具体策は何も聞こえてこない。

財政再建するには三通りしかない。
①歳入の増加
②歳出の削減
③名目GDPの増加(これは①や②とも関連しているが、重要なのであえて取り上げる。)
日本の財政状況を考えた場合、この三つを同時並行的に進める以外に方法はない。

今回は①の歳入の増加について考えてみよう。
考えられる方法は
1.増税(所得税・法人税・相続税・贈与税・消費税)が考えたれる。この内、財務省は取りやすく安定的な税収が見込める消費税を上げたがっている。
しかし、重要なのはどうしたら税収が増えるのかという視点が欠けていることである。
官僚は、あくまで今の現状を元にしてしか考えていない。これが官僚の思考の大きな欠点である。
税収を増やすには
①新規の納税者を増やす。
②新規の事業者(企業)を増やす。
③課税対象納税者を増やす。
④納税者一人当たりの納税額を増やす。(所得額のアップ。税率のアップ)・・・所得税
⑤黒字事業者(企業)を増やす。
⑥黒字事業者(企業)一社当たりの納税額を増やす。(所得額のアップ。税率のアップ)・・・法人税
⑦資産課税の強化(資産価格の上昇、贈与税・相続税の税率アップ)
⑧国内GDPの増加(国内消費額の増加に伴う消費税の増収)
⑨消費税の税率アップ
⑩租税特別措置法などによる優遇税制の廃止
他にもあると思うが、とりあえずこんな項目が考えられる。
逆に言えば、現状はこれと逆のことが起こっているため税収が増えるどころか減っているのである。
増税以外の方策について真剣に取り組んでこなかったことこそが大きな問題である。
根本的な財政再建への道は、税率アップによる増税以外の部分をどうするのかにある。
そのためにはどんな政策や税制が必要なのかを考えなければならない。

2.国の資産の処分による歳入の増加について考えてみよう。
まず、国の資産とはどの部分までを含めるのかという議論が必要になる。
特別会計に含まれる部分も国の資産と考えるのが妥当だろう。
資産について考えておかなければならない部分がいくつかある。
①資産の評価について・・・帳簿価格が取得額か時価評価額のどちらで計上されているか。
②海外資産については為替相場の変動で資産評価額が変動する。
③保有有価証券等についても評価額は変動する。
以上のようなことは一応理解しておく必要がある。
処分するタイミングも重要だ。
政府には、膨大な資産があることも理解して話をしないと財政再建の話は一方通行になってしまう。
また、今ある資産を有効活用することで歳入を増やすことも真剣に考えるべきである。

3.資産の運用による歳入の増加について考えてみよう。
国有地や年金基金などの資金の運用などによる収入が上げられる。金利収入や賃貸収入などである。
この部分はアイデアしだいではまだまだ活用部分は沢山ある。

余談:
そもそも、日本の消費税率が低いという認識は正確ではない。
諸外国の税収全体に占める消費税の割合を比較してみるとよくわかる。
景気の変動による税収の変化により比率は大きく変動するが、リーマンショック以前の数字で比較してみてもフランスを除けば、ほとんどの国とは一桁の違いである。(日本の法人税率が高いといわれる中においても・・・)
住宅の取得などについては消費税がかからない国が多い。
実際、住宅の取得で見てみると、日本でも取得税や固定資産税などの税金を別に納めている。
3000万円の家を取得すると150万円の消費税がかかってくる。これはかなりの負担である。

企業部分で言えば派遣社員の雇用は課税仕入れで「仕入れ税額控除」の対象となる。本来、人件費であるにもかかわらず、非課税にはなっていない。最終課税事業者である大企業などのメリットは大きい。
そもそも人間として扱われていない。輸出企業で言えば、輸出戻し税の対象に含まれる。

このように、税制の歪んだ部分を改善しただけで税収が増える可能性が高い部分は結構ある。
所得税の最高税率などもその典型だ。
日本の所得税の最高税率は高すぎると言って大幅に引き下げてきたが、これは誤解による部分がかなり大きい。
所得税では所得の階層ごとに税率が決められており、例えば3億円の所得があっても、そのすべてに最高税率が適用されるわけではない。所得の階層ごとに税率が適用されている。むしろ一定額の所得を超えた高額所得者のトータルでの税率は、低いといってもいいほどだ。トータルでの税負担を見ないと高いか低いかは判断できない。

輸出企業は、日本の法人税率が高すぎるから海外に移転するとか言っているが、もし円相場が150円くらいの円安になったらどうするのか。絶対に海外には移転しなだろう。
多少、法人税が高くても日本に残るはずだ。
逆に法人税率が5%になっても円高が進み円相場が50円になれば海外にでていくだろう。
赤字では、いくら税率が低くても税金を納めることさえできなくなり経営も成り立たなくなるからだ。

人間の本質は
「儲かれば儲かるほど、人件費などを増やし、少しでも収める税金を減らそうとする。」
ものだ。
「税金を納めることは損なことだ。」という意識が根底にある。

日本の公務員には首切りがない。終身雇用が保証されている。
年金も一般の国民より優遇されている。
それでいて、確実に退職金も支給される。
一般の企業等では、会社が潰れれば退職金はもらえない。中小企業では支給されても公務員や大企業の数分の一である。(国民の間に不公平感が広がりつつある。そして、それが公務員に対する不満となって表面化しつつある。やがて、それが政府や政治家への不信と不満となっり信頼が喪失されるこにも繋がる。)

公務員の退職金を半分にしても、罰が当たらないと思うのは私だけであろうか・・・。(それでも1000万円以上はあるはずだ。)

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