2011年10月31日月曜日

原発はあと数年でストップせざるを得ない?・・・野田内閣も数箇月で総辞職!

TPPに関しては、野田首相が強引に「参加表明」する可能性が高まってきた。
首相が表明したら両院に「内閣不信任案」を与野党の反対議員で共同提出すればいい。
与野党ともに党内が割れてグショグショになることだろう。可決の可能性は高いと思う。可決できなくても野田首相の求心力は大幅に低下し政権がいきずまるに違いない。
国民を馬鹿にしたツケを払ってもらおう。
アメリカのポチ議員の不支持運動を始めよう。

さて久しぶりに原発について語ることにする。
最近、納得のいかないことの一つが「原発の輸出」である。
今だ福島第一原発事故の事故原因の解明さえ出来ていない段階で交渉を再開させたようだ。
「原発を輸出すべきでない。」
と考える人は多いと思う。
政府は外国に輸出した原発が事故を起こした場合の補償問題がどうなるのかを公表すべきだ。
一部の国では、原発事故の補償を輸出相手国に求める法律を決議しようとしている。
原発事故はその国を滅ぼす可能性さえある。
輸入する国がリスクを分散しようと考えるのは当たり前のことだ。
逆に補償を求められた方は、大変な負担を強いられることになる。
TPPと同じで、大事なことは知らせないという政府の姿勢に不信感を覚える。
危ないモノを平気で輸出するという神経が許せない。

私は最近、原発は、後数年でストップせざるを得なくなる状況に追い込まれるだろうと考えている。
理由は2つあり
①原発事故により放出された放射性物質の除染を、やれどもやれども放射能は思ったように減少せず、また汚染地域が飛躍的に拡大し除染費用が天文学的に増大することで東電も政府もお手上げ状態になる。(なぜなら除染しても放射性物質は消滅しない。やればやるほど汚染が拡大し凝縮して高くなる。おまけに政府は汚染した土を全国にばらまこうとしている。)
「東電を潰すべきだ。」という声が高まり、他の電力会社も会社存続のリスクを考えれば、これ以上、原発を推進することが不可能と考え始める。
②使用済み燃料の保管場所がなくなることで使用済み燃料の問題が顕在化する。
現在、青森県六ヶ所村の使用済み燃料保管能力は10%を切っているはずだ。再処理工場も正式稼働できない状況が続いており、各原発に使用済み燃料を保管せざるを得ない状況に追い込まれており、やむ無くモンゴルに話をかけたが断られている。
燃料プールの増設を地元の自治体が認めなければ、保管場所が無くなり自ずと原発を休止しなければならない状況になると考えるのだが・・・。

ここでポイントとなるのは
①東電を倒産させる。
②使用済み燃料プールの増設を絶対に認めさせない。(六ヶ所村を含め)
③プルサーマルの発電所を止めさせる。
だと思う。

今回の原発事故賠償スキームの一番の問題点は東電を「一時国有化」しなかったことだと思う。
そのことが、原発事故の賠償の遅れや思い切った対策を打ち出せない最大の要因だと考える。
また他の電力会社の甘えを許すことにもつながっていると思う。

原発推進国のフランスでさえ「原発縮小」を訴える野党が支持を伸ばしており、推進派のサルコジ大統領の支持率は低下し再選が危ぶまれている状況だ。

東北の復興も進まず、原発事故の収束の目処も立たず、除染も思ったように進まず、その間に住民の再建意欲は削がれ、被災地から離れる住民が増加し、復興計画の見直しを迫られる事態さえ予想される。

本当に困っている国民を救えないような政府や政治家は、要らない。
増税やTPPなど大企業や一部の既得権益者にしか利益を与えない政策を優先し、庶民のための政策を後回しにする政治家は消えてもらいたい。

スマートでなくてもいい、泥臭くてもいい「国民の安全と安心」を守るため、そして「日本人が日本人として生きるため」の権利を守ってくれる政治家を望む。

2011年10月29日土曜日

TPP締結後にかかるコスト・・・推進派は対策もセットで提示しなければ卑怯と言われてもしょうがない。

今回のTPP論議で納得がいかないことがある。
私はTPPは必要ないと考えているし、加入しなければアメリカ側がFTAの締結を求めてくると考えているから放っておけばいいという立場である。

推進派の発言に対し憤慨しているのはTPPを推進する場合、農業など影響が大きいと思われる産業分野に対し、どのような対策を考えているのかを「セット」で提示しなければ卑怯というものだろう。
おそらく彼らは「批准してから考えればいい。」とか「内容がわからない段階で対策を提示しようが無い。」とか言うに違いないが「外国から国民の生死に関わる疫病が入ってこようとしているのにワクチンを準備しようとしていない。」ようなものだ。
農業については「大規模化の推進」を言っているようだが戦後、自民党が数十年かけ多くの予算を使っても実現できなかった問題で、民主党政権が簡単にできるわけも無く、そもそも大規模化できる地域はほんの一握りの地域でしかない。大規模化の問題は、農業従事者が激減するという日本の農業の根幹の問題とも直結している。
国民の生活を守る」という視点からの発言が欠如している。
推進派の発言は「大企業を守る」という立場での発言ばかりで、それも製造業の話に偏っている。

TPPが国内に与える影響を緩和するための政策実行のためには、膨大な予算を長期に渡り支出する必要がある。
「緊縮財政」や「増税」を目指している政府がそれだけの予算を支出するはずも無く、結局は大企業だけが美味しい思いをし農家や中小の国内産業の従事者だけが犠牲になるのは目に見えている。

韓国でも米韓FTAを結ぶため、ここ数年、農業対策に多くの予算を使ってきた。にもかかわらず、思ったように農業生産者の環境は変わらず反対運動が沸き起こっている。(韓国 FTA反対の大規模デモ)

政府は「実現性の高い対策」とセットで提示するという手順を省こうとしている。
こんな卑怯な進め方をする内閣は、早く潰した方が「国益」に叶う。
政府が強引に参加を進めるようなら「内閣を打倒する。」ことも反対派は考えておくべきだ。

「泥鰌は鰻にはなれない」し「豚は馬にはなれない」
財務大臣時代、何もしなかった人が首相になったからといって急に何かができるようになるわけではなさそうだ。

民主党には「国際公約」がお好きな議員が多いようだ。
外国で公約する前に、まずは国内で公約してもらいたいものだ。
「増税はしません。」「原発は廃止します。」「TPPには参加しません。」と・・・。
国民は絶対に増税がだめだとは言っていない。
やるべきことをやってから言え!」と言っているノダ。
菅首相よりは、ましだろうと野田首相に多少は期待していた私であったが見る目が甘かったようだ。
その点、小沢さんの見る目は確かだ。
勝ち負けは別として「TPP推進派」の野田氏を見切り、対抗馬を立てたことで党内の「TPPの加入に慎重な勢力」の力を維持させることができた。
小沢さんは、常に私達より少し先を見ているようだ。

2011年10月28日金曜日

TPPは必要ない。・・・反対意見も多いと思うが・・・。

基本的に私の考えはTPPに賛成でも反対でも慎重でもない。
「必要ない。」というのが私の考えだ。
反論のある方は多いと思うが基本的に、関税や通商障壁はその国が自ら決めるものであり他の国に言われて開放するべきものでは無いと考える。
自らの意思で決めることであり、それが「関税の自主権」という概念だと思う。
「アメリカの評価」を気にして進めるものではないし、「自国を関税で守る」ということが悪いことだとは思わない。
これらの条約は基本的には2国間で結ぶべきものだと考えている。

TPPの最大の問題は「例外なき関税の撤廃」という「関税の自主権」という国が持つ自由な権利を放棄するに等しい条約であることである。
『それぞれの国がもつ自由な権利の下、「国益」に沿った通商条約を結ぶ』という当たり前のことを歪めることが世界の秩序を乱すことに繋がっているということを理解すべきだ。
それは「関税」のみならず「為替」や「金融」などにおいても同様で「それぞれの国情を考えず無理に共通化しようとする」という行為が大きな混乱を生むことは現在のユーロ圏を見ればよくわかるはずである。(国情の中には国民性も含まれる。)
その最大の問題は、混乱が「一国」だけに止まらず、他の国にも大きな影響を与え世界経済にまで影響を与えることにある。そしてこれを解決するためには膨大な労力と資金が必要になることである。
また多国間条約においては、「メリットが大きかった国」と「メリットが無かった国」、「デメリットが大きかった国」が必ず現れる。
むしろ不公平を助長させる可能性さえ考えられる。

さて、面白い記事があったので引用する。
今月、東京郊外で開催された家電国際見本市で話題をさらったのは、最新鋭のデジタルカメラや薄型テレビではなく、ユーロの急落がこの国の製造業に与えるダメージの大きさだった。
バナソニックの大坪文雄社長は会場で「対欧州売上高は今年、どの分野も下がっており、状況は極めて深刻」と語った。
この半年間にユーロは対円で18%も下落し、ユーロ高のピークだった2008年の1ユーロ=169円から37%も下げ、106円台を割っている。
円高との戦いでは実績がある日本企業だが、これまではドルが相手だった。ソニーの場合、1ユーロ当たり1円の円高が進むごとに、60億円の営業利益が吹っ飛ぶ。
対ドルではこうした問題は生じないという。ソニー関係者によると、為替ヘッジと、慎重に練り上げた調達戦略により円高・ドル安は「実質的に何の悪影響も及ぼさない」。
製造業がドルよりユーロの変動に弱い第一の理由は対応期間の問題だ。ドル安は1985年から一貫して進んできたため、日本企業には対策を講じる十分な時間があった。米国に多数の工場を設立し、賃金も部品代もドルで支払ってきた。
対照的にユーロは、08年の信用危機に至る時期まで対円で徐々に上げていたため、このところの急落は日本企業に不意打ちを食らわせた。日本の大半の製造業は11年度のユーロ相場を110~116円と見込んでおり、現在の水準が続けば業績予想の下方修正を迫られる社も出てくる。
もう一つの理由は、ユーロ建て取引が限定的な点だ。「原材料の調達は米国以外でもたいていドルで決済されるため、日本企業は為替変動の影響を免れる」ことができたが、ユーロの場合、圏外ではこうした機会がほとんどない。
トヨタの担当者は「一部納入業者とユーロ建て決済に向けた交渉をしているが(欧州の信用危機で)難しい」と言う。業界関係者は、東日本大震災の影響から完全には脱却していない日本の製造業に対し、欧州企業がユーロ安で競争力を強めることも懸念している。
(26日付)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
日経新聞10月27日朝刊P.6

一昨日もブログに書いたが、日本の大手輸出企業は 円高・ドル安に対しては、かなりの対応力と持ちこたえる力をつけてきている。
経済団体や御用学者、マスコミが言うほど日本の企業は弱くない。
例えば、この記事にあるように、この半年間にユーロは対円で18%も下落し、ユーロ高のピークだった2008年の1ユーロ=169円から37%も下げ、106円台を割っている。
同じように米ドルは2007年には1ドル=120円台であったものが現在はユーロと同様40%近くも下げ、75円台にまで下がっている。
韓国ウォンに対しても同様である。


これからもわかるように、今回の局面ではユーロ圏での販売低下が大きな問題となっている。
そして、その問題の最たる要因は為替相場である。関税ではない。
実はこの問題は、もう一面からも見る必要がある。
韓国や中国もヨーロッパへかなり輸出している。特に韓国はウォン安を武器に、ここ数年、急激に輸出を伸ばしている。
実は韓国や中国からの工業輸出製品にはかなりの部分で日本の部品が使われている。
ヨーロッパの景気後退は韓国や中国の輸出にも大きな影響を及ぼし、それが引いては日本の輸出の減少にも繋っているという事実である。

逆に言えば、中国や韓国の工業製品の輸出増加は日本の輸出増加に繋がっているということである。もちろん、それに伴い日本の工作機械の輸出も伸びている。
このことの意味するところは、アメリカの製造業は空洞化し製造工場は中国や東南アジア、ブラジルなどの新興国に移動している。
そしてそれらの工場で作られる製品の中には日本の部品が多く使われている。
関税撤廃におけるアメリカからの工業製品輸出におけるメリットが、ほとんど無いことはこのことからも証明できる。
このように、貿易というものを2面性を持ってみてみれば、TPP推進議員や経済団体、御用学者、マスコミなどが言っていることが、いかに自分達に都合のいいように歪曲された発言であるかがわかる。



2011年10月27日木曜日

TPPは日本の国益を損なう・・・推進議員は落選させよう!

昨日も書いたがTPPを推進することは、今や「アメリカに日本を売ることだ」という認識になりつつある。
これは日本にとってもアメリカにとっても好ましいことではない。
対米感情も悪化し双方の国益を損なうことに繋がりかねない。
また、与野党を問わず党内を2分する論争にもなりつつある。それは喫緊の課題である東北の復興の進展を阻害する要因にもなる。
そればかりか、第一次産業や医療などのサービス業に携わる人達と製造業の経営者達との争いにまで発展しそうな雰囲気である。
今の時点で十分、国益を損なっている。

この問題を少し冷静に見てみれば、アメリカ側でTPPに積極的なのはグローバル企業の経営者達が中心で実際アメリカ議会でもTPPは余り議論になっていないというのが実情である。
というかTPPはアメリカにとっても、余りメリットが無い。
グローバル企業の売り上げが上がってもアメリカの税収や雇用が思ったようには増えないという構造的な問題をアメリカ政府が抱かえているからだ。アメリカ政府の税収に占める法人税の比率は10%以下という大変低い数字である。
同じように日本側で推進に熱心なのは輸出企業の経営者達である。これらの企業は多大な税制上の恩恵を受けている上に且つ法人税をさげろと熱心に言っている人達である。
そして多額な役員報酬を得ている人達である。

日本、アメリカ双方のTPP推進に熱心な人たちに言いたい。
「しっかり正当な税金を払ってから物を言え!」と・・・。

TPPは日本やアメリカのほんの一部の人達にしかメリットが無い条約であることを理解すべきだ。
逆に一般庶民にとっては多くのデメリットをもたらす条約で、生活基盤までもが脅かされる条約であることを理解すべきだ。

こんな条約を推進しようとしている国会議員は「国賊」と呼んでもいい。

アメリカは産業において構造的な問題を抱かえており、国内でもそれが表面化しつつある。
それは製造業の空洞化という問題である。
この問題がアメリカの失業率が高止まりしている最大の原因とも言われている。
グローバル企業の売り上げが上がっても、それは国内で生産したものでなく他国で生産したものが多くを占めているのが現実だ。
アメリカ国内で消費されている製品の大半は中国などの新興国で生産されたものだ。

今、アメリカ国民の間でも純国内産(原料も含めすべてアメリカ産)の製品を使おうという動きがある。
純粋な国内産  (原料も含めすべてアメリカ産)ばかりを集めたお店が大人気でバスツアーで買い物にくる客までいるそうだ。
少しずつアメリカ国民の意識が変化してきているように感じられる。(この流れは輸入を減らすことに繋がる。)

もうひとつのアメリカの抱かえる大きな問題が移民などの人種問題である。
共和党を支持するティーパーティー(茶会)の主張のメインはその部分にある。(それを除くと実は主張する政策は民主党に近い。)
人種問題は、長い年月を経てもそんなに簡単に解決する問題ではなさそうである。

今回のTPPには、アメリカの抱かえる問題を日本に持ち込む可能性を秘めている。
いいことは持ち込んでもいいが、悪いことまで持ち込んでもらっては迷惑だ。

「守るべきものは守る」それが独立国というものだ。
他国に言われるまま、なし崩し的に物事を進めるのであれば、最早、独立国とは呼べないだろう。

世界の人口が70億人を超え、食料不足が問題になりつつある現在、自国の国民の食料を守り確保することこそが、政治家に託されたお最大の使命ではないのか・・・。

2011年10月26日水曜日

前原氏叱られる?・・・対米感情悪化というTPPの副産物

前原氏はアメリカのお仲間から叱られるかも知れない。

TPPの問題が引き金となりアメリカに対する感情が悪化している。
私の住んでいる地方都市でも農業団体や医師会などの怒りは激しいものがある。
今回のTPPの問題に対するこれらの団体の動きは想像以上に迅速で激しい。
国会議員に対する働きかけも強力だったようだ。
彼らの怒りは政府のみならず、その矛先はアメリカや経済団体にも向けられている。
反対派の勢いは増すばかりで、国民的な運動になりつつある。

政府や民主党執行部は短期間で、ここまで反対運動が広がるとは想像していなかったに違いない。
彼らの描いたシナリオは情報を出さず、議論をさせず、参加表明までの期間を短くすることで内容を隠し、波風を立てないようにして乗り切ろうと考えていたにちがいない。

反対決議は多くの地方議会にまで広がっており、TPPに関する情報が小出しに出てくる中、インターネットでも情報が拡散しており、問題点が広く知れ渡るようになってきた。ネットでは圧倒的に反対意見が多いように感じる。

TPP参加をAPECでのオバマ大統領への手土産にしたいという野田首相の思惑も見透かされており、日本の根幹に関わる問題を拙速に進めようとする政権への批判は増すばかりである。

そもそも、議論の進め方自体が国民を舐めている。

参加云々は別としてこの問題で、野田首相に対する支持率や民主党に対する支持率が激減する可能性が出てきた。
姑息な進め方は政権の信用を大きく毀損した。

アメリカも想像以上の日本国民の反対で、批判の矛先がアメリカに向けられ始めてきたことに危機感を感じ始めたことだろう。TPPに関するアメリカへの批判が、沖縄の普天間移設問題や本土の基地問題などにも波及することを危惧し始めているに違いない。
TPPだけの問題にとどまらず、アメリカという国家に対する批判に繋がりかねない様相を呈し始め対米感情の悪化につながりかねない状況になり始めている。

拙速で未熟な進め方をした野田総理や前原政調会長、仙谷政調副会長らに対するアメリカ側の評価が、ガタ落ちになる可能性も出てきた。
前原氏はアメリカ側のエージェントからお叱りを受けるかもしれない。
経済団体も、これほど反対運動が広がり批判の矛先が経済団体にまで広がり始めるとは想像していなかったことだろう。
火消しに躍起にならざるをえなくなるだろう。
どちらにしても「国民」を甘く見ていたと言わざるをえない。
果たして野田首相は「交渉参加」を強行できるのか・・・。
この問題は「野田政権」の命運を左右する可能性が出てきた。

この問題では、与党の中にあり反対運動の中心となって活動している山田元農水大臣の存在は大きい。
彼の嘘偽りのない発言や、実直な人柄と「命を懸けた」決意に多くの人が、動かされた面も見逃してはいけない。
対する前原氏や玄葉氏らの「軽さ」と「決意の無さ」にはあきれて物も言えない。

円高とTPPとタイの水害・・・問題の根っこは同じ

タイの大水害で日本から進出している企業が大変な被害にあっている。
特にトヨタ系の部品メーカはタイを部品供給拠点としているので影響が大きいようだ。
今回の水害をただの災害と捉えてはいけない。
上流地域の保水能力の低下がこれほどまでの災害に繋がった大きな原因であることを見逃してはいけない。日本においても同様で大雨による災害は近年、非常に多くなっており、また災害の規模も大きくなっている。
災害の大規模化の大きな要因は、上流地域での山林や農地の保全不全による保水能力の低下とそれらによって引き起こされる土砂災害などの増加による部分が大きい。

タイで言えば、近年外国からの工場進出が進み都市周辺に大規模な工業団地がいくつもできた。そこで働く為に近郊の山村や上流地域の山村から多くの人が都市部に流入してきている。
そのため上流地域の山村では、働き盛りの男性や若い人達は都市部に流出し残っているのはお年寄りと女性や子供ばかりになりつつある。
どこの国でもそうだか、現金が稼げる地域に人は移動する。
そのため、それらの山村では、山林や農地の管理保全機能が低下しつつある。
今回の災害はある意味、人災とも言える。

日本の高度成長時代と同じような現象がタイなどの発展途上国で起きている。
企業は安い労働力を求め、現地生産で円高の影響を少なくし、FTAなどの関税条約を締結することで関税の障壁を少なくするため海外に進出する。
進出する国の経済は発展し、その国の国民は豊かになっていくが、自然は知らないうちに少しずつ破壊され、ひとたび災害がおきれば大規模化する。

人間は学ばない動物なのかもしれない。
「均衡のとれた発展」という言葉が使われる場合が多々あるが、この「均衡」という言葉の意味をもう一度考えなおして見る必要がある。

円高に歯止めが掛からない。60円台になる可能性もあながち無いとは言えなくなりつつある。
世界経済の状況を見る限り、当面はこの傾向は続くことになるだろう。
この間、政府は円高に対しほとんど無策と言ってもいい。
何をしたらいいのかわからない状況だ。
なんといっても財務大臣が安住氏である。期待する方が無理であろう。

政府の喫緊の経済対策は大きく分けて2つに集約されるだろう。
ひとつは『円高対策』
もうひとつは、今後の『世界経済の減速、及び金融不安に対する対策』
であろう。

「円高対策」で言えば「想像力」と「発想力」を持った政策や経営の実行ということだろう。
根本の問題は政府に明確な「為替政策」が無いと言うことに尽きる。ついでに言えば明確な「金融政策」も無いという点も挙げられる。
ドル安、ウォン安については、アメリカや韓国の輸出促進のための為替政策による影響も大きいという点を忘れてはいけない。

円高対策としては円高のメリットを生かした鉱物資源の確保なども有効だし、健全で優良な対外資産への投資や融資などもメリットを生かす方法である。
輸出について言えばアップルの商品のような「想像力」や「発想力」に富んだ製品の開発に力を入れるということである。
アップルの経常利益率は30%を超える。
これからは「数を売って儲ける」という発想から「価値を売って儲ける」という発想に転換していかなければ日本は生き残れなくなるだろう。
「価格競争からの脱却」を目指した経営に切り替えていくことが最大の円高対策である。
簡単に言えば「発想の転換による産業の構造改革」を進めるということであろう。

農業を例にとれば規模拡大による生産性の向上を目指しても一戸当たりの耕作面積が日本の100倍のアメリカや1000倍のオーストラリアに勝てる訳が無い。
デンマークのような少ない耕作面積でも高い収益が上げられる農業を目指すことの方が日本にはあっているのではないかと思う。
同じように農業で大切なことは「適地適産」である。
農産物は産地によって味が違う。その地域に最適な産物を作ることが農産物の価値を高めることにつながり適正な価格を維持することに繋がる。「儲かる作物を作る」という発想から脱却することが重要である。
他の産業でもこの発想は重要である。

 『世界経済の減速、及び金融不安に対する対策』については、「国内の景気対策=内需の拡大」が最大の対策である。影響を受ける最大の部門が「輸出=貿易」である。輸出の減少分を国内の需要(消費)でどれだけ補えるかが最大のポイントである。

中国、インド、ブラジルなどがリーマンショックの影響を最小限にとどめられたのは国内の需要(消費)の伸びで輸出などでの減少分をカバーできたからに他ならない。

今、日本政府が最優先に行うべき政策は国内の景気対策であり、賃金の下落傾向に歯止めをかけ家計の可処分所得を増やす政策を採ることである。

2011年10月25日火曜日

新たな経済政策が打ち出せない先進国の首脳・・・庶民から吸い上げることしか考えていない。

アメリカのオバマ大統領もフランスのサルコジ大統領もドイツのメンケル首相も韓国の李明博大統領も再選が危うい状況になりつつある。
最近の選挙で与党が敗北続きであることなど、彼らの周りの政治状況は日本と近似している。
また各国の与党や野党の議員の発言が似通っていることにも驚きを隠せない。
「積極的な財政支出」を打ち出せば「無責任だ。財源の根拠は?」と反論が出る点などは「各国共通政治言語」となりつつある。

いまや「緊縮財政病」に冒された先進国首脳は、新たな経済政策が打ち出せないまま、「歳出削減」「増税」「公共サービスの削減や年金・医療制度などにおける国民負担の増加」という「国民に負担を強いる政策」しか目に入らないようだ。
しかし、行き過ぎた「財政支出の削減」や「国民負担の増加」が逆効果を生み出す可能性があることも事実である。
それは、国民の反発を生み、政治不信へとつながり、優遇されている層への不満となり政局の不安定化に繋がる。

経済は「マインド」に影響される部分が非常に大きい。
今、先進国の指導者に求められていることは、「大きな財政支出」を伴わない景気刺激策を打ち出すことであり、それは国民の「マインド」を前向きにすることでもある。
多少、大風呂敷を広げても、それで国民が明るくなれ希望が持てるようになれるのであれば経済にはプラス効果が働くだろう。

翻って日本の菅前首相や野田現首相の顔や言葉からは、国民が前向きになれるような言葉も聞かれず雰囲気も感じられない。
口から出てくるのは「財政規律」と「増税」と「アメリカからの要望政策」と「負担のお願い」ばかりである。
それも、程度をわきまえないと「年金の支給開始年齢を70歳にする。」などという国家的詐欺をはたらけば、誰も年金の掛け金を払わなくなるだろう。

野田首相や前原政調会長、仙谷氏、枝野氏、玄葉氏などはTPPを強引に進めたいようだが、その場合、後でどのようなツケが廻ってくるかを一度冷静に考えて見るがいい。
農林漁業、医療などTPPに対し慎重及び反対を表明している関連団体以外にも連合の一部や各県の県議会、地方議員、消費者団体などを敵に廻すことになる。

推進派が具体的なメリットや関税を下げた場合の農業などへの保証や、それらの財源確保などについて何一つ、まともに返答できない状態で強引に押し進めることは民主党の支持基盤をも敵に廻すことになりかねない。(なりつつある)

推進派の議員は、それだけの覚悟をもって進めようとしているのかな?

2011年10月24日月曜日

世界が日本のお金を狙っている・・・日本に擦り寄るヨーロッパ

「日本の財政は危機的状況にある。」と政府、財務省、マスコミ、御用経済学者らは言うが、その危機的な状況のはずの日本にヨーロッパ、アメリカ、韓国などが擦り寄ってきている。
「日本のお金」が目当てなのは言うまでもない。
ヨーロッパの首脳クラスの相次ぐ来日やユーロとのFTA交渉再開などの裏にあるのは「日本の金」を引っ張るための「撒き餌」であることは間違いない。
世界の国々は、日本が「財政破綻の危機にある国」とは、捉えていないようだ。

ある意味、日本が「存在感」を高め「影響力」を強める好機でもあるのだが、肝心の政府、官僚に「戦略」も「交渉力」も無いのが、今の日本の現状だ。
その点、中国やロシアはアジア、中東、アフリカなどに対し戦略的な経済外交を推し進めようとしている。
もちろん、日本に対しても、尖閣諸島や北方領土問題などでプレッシャーをかけ、日本の経済力や技術力、資本を取り込もうと虎視眈々と狙っている。
むしろ日本には、中国やロシアの懐に飛び込んでいくぐらいの懐の深さが求められていると思うのだが・・・。

日本は、改めて自国の「国力」を冷静に分析してみる必要があるだろう。
TPPの問題でも推進派は「乗り遅れる」だの「周回遅れ」だの、いかにも日本が弱い立場におかれているかのように発言しているが、これは、日本国民に対する大変失礼な発言である。
もっと自国に対し自信を持つべきである。

安易に外国にお金を貸すべきでないが、貸す場合には日本に有利な種々の条件をつけるべきである。
一言言わせてもらうならば
「外国に貸す金があるなら、増税などするな!」
「外国に貸す金があるなら、国内の景気対策にお金を廻せ!」
というのが国民の正直な気持ちではないだろうか。

そもそも「日本の財政は危機的状況にある。」のであるならば、外国にお金など貸せないし、IMFなどに多額の資金を拠出できないはずだと思うのだが・・・。
外国も、お金をねだりに、こないだはずだが・・・。

日本のマスコミは完全に機能不全に陥っている。
世界がどのように変化しようとしているのかを把握しようとしていない。
むしろ、見ないようにしているとしか思えない節がある。
彼らを諺で表現するならば
「井の中の蛙(かわず)大海(たいかい)を知らず」
「寄らば大樹の蔭」
決められた枠の中で、「強いものには巻かれろ」的な発想しか持てないマスコミはいまや「恐竜」と化している。
「恐竜」が歴史上どうなったかと問われれば「滅びた」と答えるしかないだろう。
日本の既存マスコミは、このままでは恐竜のように滅びる運命にあるのかもしれない。
『強いものばかりでは、いずれ「弱いものを食い潰し」最後にはお互いに共食いになり「滅びる運命」にある』という「自然の摂理」を理解すべきだ。

同じようなことが、先進国の間でも起こりつつあり、それが「格差是正のデモ」などとして表面化しつつある。
「強いものと弱いものが共存できる世界」を築く以外に「持続可能な世界」をつくり上げていくことは不可能であることを、世界の指導者は忘れてはならない。

2011年10月21日金曜日

兼業農家の怒り・・・評論家は1年間農業をやってみろ(怒)

TPPの問題でテレビに出演している推進派の議員や評論家、エコノミストと呼ばれる人たちが「兼業農家がいかにも楽して補助金等の恩恵を受け得をしている」かのような発言をしていることに大きな怒りを感じる。
私の実家は山間部で今は3反程だが以前は5反の水田で稲作を行っていた。
日本の山間部では3反~5反程度が平均的な一戸当たりの水田耕作面積ではないだろうか。
私の実家がある集落ではすべての水田面積を合計しても10Ha未満でしかない。
昔は、すべての作業を自分のところでやっていたが今は集団営農である。
実際、確定申告は全て私がやっているので経営内容は把握しているが、農業所得での稲作部門は毎年赤字である。もちろん、自分達の人件費は入っていない。
農業機械や軽自動車の維持にも、結構お金がかかる。固定資産税も支払わなければならない。
補助金などがあっても赤字である。
簡単に言えば、経費を他の所得から持ち出して稲作経営をやっていることになる。

田んぼの畦の草刈もしなければいけない。水の管理もしなければいけない。
土日は、他に畑などで自家用の野菜の栽培なども行っていれば1年の3分の一は作業で潰れてしまう。
休日を犠牲にして赤字覚悟で米作をしているというのが、地方都市周辺や中山間地の兼業農家の実態だろう。
1Ha未満の兼業農家で稲作で儲けていると答えられる人は、ほとんどいないだろう。
逆に言えば、他の収入で生活できるのであれば何も経費を他の所得から持ち出してまでやる必要な無いわけで、若い兼業農家の後継ぎの多くは「やりたくない」というのが本音だろう。

テレビに出演している推進派の議員や評論家、エコノミストと呼ばれる人たちは1年間、山間地で自分の仕事をやりながら米作を兼業でやってみればいい。それが無理なら、確定申告の農業所得の内訳書を見せてもらえばいい。
いかに割が合わないものかが良くわかるはずだし、中山間地での大規模化がいかに難しいかが良くわかるはずだ。
そして、中山間地の人達が農地や山林を守っていることが下流の人たちの生活を守ることに繋がっていることにも気がついてほしい。

この現状からもわかるように、今回のTPPの農業における影響度は、兼業農家の受ける影響はそれほど大きくない。(というかそれで生活しているわけではないし、儲けているわけでもない。持ち出す部分は増えるが・・・)
問題は、大規模農家(20Haから100Ha・・・これが大規模と呼べるかどうかは別として・・・)や集団営農(山間部の10Haから20Ha程度)組織が受ける影響が大きく、これを守らなければ一気に米の生産体制が崩れることに繋がる。(これらは、農業一本で生計を立てている。)
中山間地における集約化、大規模化は収入の拡大が目的ではなく後継者不足対策の意味合いが強いことを良く理解する必要がある。(集約化・大規模化しても利益はでない。)

「全てを効率で計る考え方」を日本の農業に当てはめることが、妥当なのか?
私は違うと思う。
効率化しにくい分野というのが必ずある。日本の農業もそのひとつである。
しかしそれらの分野が日本の雇用の大きな受け皿となっていることも事実であることを良く理解した上で論議すべきだと思うのだが・・・。

2011年10月20日木曜日

関税をゼロにしても消費は増えない。・・・消費者の懐具合しだい。

「TPPやFTAが輸出を増やす。それにより雇用が増える。」
というメリットばかりを唱える経済界やマスコミ、政府関係者だが自国の現状を見つめ直した方がいい。
どこの国においても同じことだが、特に耐久消費材においては、「欲しい新商品がある。」「買い替え需要」が購買の動機の主なものだ。
お金が山ほどあれば別だが、後は懐具合次第である。
先進国では、所得の2極分化が進み、国民の一部の階層を除けば国民の可処分所得が減少している国がほとんどだ。またその一部の金持ち階級も株安などで資産が減少しているのが現状だ。
逆に中国などの新興国と呼ばれる国々は全体的に国民の可処分所得が増加している。

では、現状のような状況下では、購買活動にどのような影響があらわれるのだろう。
日本の車業界を参考に考えてみよう。
日本の新車販売台数は2003年以降2010年を除いて前年比でマイナスである。
2003年に403万台あったものが2009年には292万台まで下がっている。
2010年はエコカー減税などで買い替え需要を喚起したため、323万台まで戻したが、2011年は前年比75%近くまで下がっている。
「若者の車離れ」などの要因はもちろんあるが、一番の要因は「買い替え期間の延長」にあるらしい。国民の所得が伸びている時代は平均で約3年ぐらいで車を買い換えていたものが、現在では、その倍の6年ぐらいにまで延びているそうだ。
新車の販売台数が落ちるわけである。

このことは家電製品などにも当てはまる。
残念ながら先進国と呼ばれる国々の国民の可処分所得は、緊縮財政の影響もあり、ここ当面、下がることはあっても上がることは無いだろう。
ということは、少なくても自動車や電化製品などの耐久消費財等の買い替え期間が短くなることは無さそうである。

アメリカとの貿易においても現在のアメリカの経済状況を見る限りにおいては数%の関税が0になったら日本の輸出が増加すると考えること自体にかなり無理がありそうだ。
逆に製品の輸入が増加する場合の影響も考慮しないとトータルでのプラスマイナスは判断できない。
たとえば円高と0関税で輸入車の価格は大幅に下がる。たとえば日産の完成車が逆輸入される場合などが想定される。(というか、そうなりつつある。トヨタの商用車などでも同様の傾向がある。)
ということはそれだけ国内生産の車の販売台数が減少することになり、むしろ雇用は減少する。

農産品の一部を除けば、日本は世界でも有数な「開かれた国」であり、「乗り遅れる」という言葉には違和感がある。
韓国と比較し「日本がFTAなどで遅れをとっている。」という批判があるが、これは大きな誤解で、交渉相手国の関税が日本より高いために相手国が決断できないでいるというのが本当の理由である。

FTAなどが国内の景気回復や雇用の増加にすぐに効果があるとは考えられない。そうであるならば、喫緊の国内の景気対策、とりわけ震災復興、原発事故の処理に集中すべきではないか。

2011年10月19日水曜日

TPPに潜む罠・・・離脱に関する条項が無い

TPP推進派の論調で多いのが「とりあえず参加して・・・」「だめだったら止めればいい・・・」というのがある。
ところが、ネットなどの情報で見る限り、TPPには「離脱に関する条項」がないらしい。
町内会の規約でも「退会」に関する条項があるのに・・・。
外務省の答弁では「離脱したという事例が無いので・・・」という何ともあやふやな意味不明な返答だったらしい。
阿呆か!
こんな重要な条約を結ぶ前に、「参加に関する話し合いの途中で離脱ができるのか?」「加入後、離脱することはできるのか。その場合に罰則規定があるのか?」ぐらいは、最初に聞いておくのが常識ではないのか。
官僚の質の劣化が、ここまで進んでいるとは・・・。(情けない)
前原政調会長も「まずは参加することが・・・」などと寝ぼけたことを言っているようだが、「途中で離脱できるかどうか?」ぐらいは確認してから話をしろ!

離脱条項云々は別として、一度加入すれば簡単に離脱できないことは誰でも想像できる。
「加入を見合わせ様子を見る。」か「加入しない。」の二つの選択肢しかないと思うのだが・・・。

アメリカも参加の意思を示し事前の話し合いに参加している段階である。
国民新党の亀井さんが言っているように、日本が参加しなければ、アメリカもTPPに参加しない可能性は高い。何のメリットもないからだ。

契約交渉をした人ならわかると思うが、契約は力関係に大きく左右される。
圧倒的に大きい方が有利だ。
小さい方は、余程の覚悟と自信や有力なカードが無ければ対等に交渉することは難しい。
交渉力が必要とされる。(外務省では子供のお使いぐらいしかできないだろう・・・笑)

そもそも、野田首相や前原氏、マスコミ等は韓国を引き合いに出し「自由化の波に乗り遅れる。」とか「最初から参加しないと損になる。」とか言っているようだが、本当にそうなのだろうか?
そもそもTPPに加入する必要など無いのでは?

彼らは、お隣の韓国の実情をよく調べてから発言した方がいい。
経済、金融、国民生活などの分野において韓国は大変な状況に追い込まれている。
極端な所得の2極分化が進み、ウォン安や家畜の病気などにより2010年の食料物価は10%以上も値上がりしている。そのため個人の生活が苦しくなり家計の債務が増大している。
大手金融機関は、その多くが資本金の50%以上を外資で占められていることもあまり知られていない。
電気代などの公共料金が高いこともあまり知られていない。庶民には思った以上に生活しにくい国である。
それが今の韓国の現状であり貧困層が人口の20%以上を占めている。

いまや貿易においては「関税競争」から「為替(通貨)競争」に移っており、輸出に一番大きい影響を与えるのは為替相場と相手国の景気である。
いくら関税を0にしても、相手国の国内需要が伸びなければ輸出も大きく伸びないことは言うまでも無い。
また日本のように輸出に占める中間部品などの半製品が大きいウェートを占める国においては、アメリカやヨーロッパへの輸出は韓国、中国や東南アジア経由での輸出のウェートが高い。完成品は現地生産が主流になっている。
このように、すでに日本の輸出企業は、日本国内での生産は部品や工作機械などに集約化され円高や関税の影響を最小限に留める体制になっており、経済団体の言うような「関税の自由化に乗り遅れる」というデメリットはほとんど無いと考えたほうが間違いない。
でなければ、ここ数年の急激な円高で輸出が激減し輸出企業がバタバタと倒産していなければおかしい。
問題は、その下の中小企業への影響であり、その部分を本来は輸出企業が内部留保などで守らなければいけないと考えるのだが・・・。

韓国のサムスンなどは国からも大きな支援を得ながら、リーマンショック以後の大幅なウォン安で輸出を大幅に伸ばしてきた。ウォン安を最大限に利用して価格競争で伸ばしてきた。
しかし過度な価格競争に持ち込んだことが、世界の景気後退局面では大きなマイナス要因になってきている。
また過度の価格競争は他の国の企業にも大きな影響を与え始めた。たとえばテレビにおいてはソニーが撤退を決めたようだ。
一度下げた価格を再び上げることは中々、難しい。
ウォン高局面になった場合の対応が注目される。

このように、積極的にFTAを推進しても、国内が安定しなければあまり意味を持たない。
また、輸出依存度があまりにも高い韓国経済の構造自体にも問題が生じ始めている。

TPPや増税の前にやることは山ほどあるはずだ。TPPの優先度は低いと考える。
党内を2分するようなことばかりを優先する菅前首相や野田首相は政治をもう一度勉強し直した方がいい。

2011年10月18日火曜日

TPPは日本の文化を破壊する。・・・TPPの最大の問題点は日本文化の破壊にある。

何度もTPPの問題点について述べてきたが、最大の問題点を挙げるとすれば、それは「日本の文化や日本人のアイデンティティー」を破壊する可能性がある点にある。
今の日本の現状をよく見ればわかるように、ここ10数年で日本の社会構造は大きく変わった。
終身雇用制度は崩れ、地方は衰退し、中小の商店や企業は壊滅的に減少し、非正規社員の比率が劇的に増加した。
一流と呼ばれる企業に就職させるため一流と呼ばれる大学に進学するための塾や予備校へ通わせる家庭が増加し「進学競争」は激化した。

小泉・竹中氏が進めた「構造改革」とは「アメリカ金融資本の弱肉・強食の競争原理を日本に導入すること」であり、『日本社会が持つ「助け合い」であるとか「相互扶助」とか呼ばれる共生の文化』を破壊へ導こうとしたことである。
それまでの「1億総中流」と呼ばれるような「日本人すべてが豊かに」という思想・文化から「強いものがより強く、弱いものは切り捨てる」という思想・文化に改革することであった。
その結果、大企業経営者の報酬と株主への配当は増えたが、従業員の給料は減少し、下請けは厳しいコストカットを迫られ、それについてゆけない下請け企業は切り捨てられた。
正社員は増やさず、派遣社員や外国人労働者を安い賃金で使うことで利益を確保し、それにより大企業は膨大な内部留保を溜め込んだ。

ユーロ圏の総合農業政策では農業を文化とみなしている。
農業・漁業・林業などの第一次産業や豊かな自然環境などは、その国の文化を育む重要なセクターである。
歴史や文化、自然条件、人間性などが国ごとで大きく違うのは当たり前のことであり、それが自然の姿だと考える。
「日本人が日本人であるために守るべきもの」はしっかり守っていくべきである。
それが日本人としての「アイデンティティーの根幹」であり、相手を尊重し相互の秩序を守ることに繋がる。
国と国の関係においてもこれが無ければ、交渉は基本的に成り立たないと考えるべきである。

それぞれが独立した国として独自の文化や国土の自然を守り、育み国土全体と国民全体の「安心・安全」を守るという基本概念はどの国でも共通することであり、そのためには他国の文化や風習などを尊重することが根底にならなければならない。

今回のTPPの最大の問題点が関税障壁のみならず非関税障壁部分においてもアメリカが自分達の「弱肉・強食の競争原理」を押し付け、それにより日本人が守るべき文化、国民性を破壊しようとしている点にある。
「自分達のやり方を押し付ける」という「アメリカ帝国主義」と呼ばれる手法がもはや世界で通用しなくなりつつある中において、日本の多くの政治家や官僚、マスコミ、経済界などは、いまだその呪縛から解放されておらず古い枠組みの中でしか物事が捉えられていない。

情けないかな政治家や官僚、マスコミ、経済界などにおいては未だ「アメリカ帝国主義」の亡霊に踊らされている。彼らはネオコンと呼ばれるような勢力の手先となり、深く考えもせず「日本人としてのアイデンティティー」を放棄しようとしている。私に言わせれば彼らは「国賊」である。

今回のTPPの問題は、「日本の文化を守り、日本人としてのアイデンティティーを守る」という日本の根幹に関わる問題である。そしてそれは日本人一人一人の問題でもある。
真の「独立国家」としての日本のあり方が今、問われている。

余談:
ヨーロッパに端を発する金融危機や世界的な株価下落、世界的な景気後退はアメリカの金融資本に大きな打撃を与えている。彼らの力は急速に衰えつつある。
また、「格差是正を求めるデモ」に象徴されるように、アメリカの金融資本に対する世界中の世論は厳しさを増している。
「強欲で利益を得るためなら手段を選ばない」彼らの「倫理なきビジネス」に対し多くの人たちがNOを突きつけようとしている。
世界は今、改めて「倫理」であるとか「人間の尊厳」であるとかの「金では推し量れない」ものの重要性に遅ればせながらではあるが少しずつ、気づき始めたのかも知れない。

世界におけるアメリカの影響力が急速に低下していることは紛れも無い事実であり、日本とアメリカの関係もひとつの転換期に来ていると考えるのだが、どうも日本の政治家や官僚はそう考えていないようだ。

2011年10月17日月曜日

小沢さんは、本当に落ち目なのか?・・・マスコミや政治評論家の思考停止

小沢さんの裁判が始まったら、またぞろ小沢批判が活気を呈してきた。
毎回同じように「小沢落ち目論」「子分離反論」のオンパレードである。
マスコミや政治評論家、ヤメ検弁護士や反小沢議員らの口からも聞こえる。

彼らは小沢さんに対し「庶民感覚とはかけ離れた政治家」というレッテルを貼り、「金の力」で子分を集めていると吹聴しているが、実態とはかけ離れている。
彼らは「永田町」という狭い世界の枠の中でしか「小沢一郎」という政治家を見ていない。

小沢一郎は「増税反対」「脱原発」「TPP反対」「格差社会の是正」などを訴える一部の国民の「心の柱」となりつつある。
今の政治家の中で、官僚、既得権益層、アメリカなどに対しはっきり物申せる政治家は小沢さんと亀井静香氏ぐらいである。
国民の声を代弁する数少ない政治家の一人が小沢一郎であり、彼こそ「庶民感覚に一番近い政治家」であり、彼の周りに集まる政治家も「国民の声」を大切にする政治家が多い。
「金の力」で子分が集まるのではなく、「国民の安心と安全を守ることこそが政治家の最大の使命」と考える政治家達が小沢さんの政策に共鳴して集まってくるのだ。
もちろん、そればかりではなく小沢さん個人の人柄、政治家としての力量、党運営におけるマネージメント力、選挙戦術などに惹かれて集まった人達でもある。
そうでなければ、裁判中の党員資格停止の身で党の役職も無く、党の資金を動かす立場にもない政治家が百数十人の議員のグループを維持できるとは、とても考えられない。

マスコミなどの既得権益層と呼ばれる人たちの最大の問題点は「狭い世界」でしか物が見えない、考えられないという点である。
アメリカ発の「格差是正を求めるデモ」は世界中に広がりつつあり、デモへの参加者も万単位で増えており、世界中で「強欲な資本主義」と「自分達の利益を最優先する既得権益層」に対する反逆が始まっている。
「他山の石」だと他人事のように思っているマスコミ、官僚、財界などだが、日本の国民の間にも大きな潜在的不満と批判がマグマのように溜まっていることを理解していないようだ。
一例を挙げれば既得権益層の小間使いであるマスコミ(新聞・テレビ)の購読者数、視聴率が激減している。
10月第一週のテレビの視聴率調査では第一位が17%の「笑点」だそうである。以前では考えられない視聴率である。テレビ離れが急速に進んでいる。
その最大の原因は、テレビの情報に対する「信用」と「信頼」の低下である。
テレビに出演する評論家、編集委員、コメンテーター、学者などの口から発せられる言葉を信用できないと考える国民が急速に増えていることを表している。
いまやマスコミの発する情報は「ゴミ」と化しつつある。
この状況が続けば、どこかでマグマが噴出し庶民の反逆が表面化するだろう。

今、世界中の国々で求められているのは「政治家」「公務員」「マスコミ」などの「公的な役割を担う」人たちの「倫理観」と「使命感」である。

「テレビは信用できない」「見たいと思う番組がない」というのが、多くの国民の声である。
テレビ局は、下記のような世論調査をしてみたらいい。
①テレビの報道番組は信用できますか?
②見たいと思う番組がありますか?
③テレビ局に「倫理観」と「使命感」が感じられますか?
是非、実施していただきたいものである。

2011年10月15日土曜日

米韓FTAについて・・・条約の内容を正確に伝えないマスコミ

米韓FTA条約がアメリカ議会で承認されたようだが、韓国側には批准案と、これに付随する関連法などの改正・成立などまだまだ多くの課題が残されている。
マスコミは大半が好意的というか「日本が取り残される」という論調のようだ。
インタネットで細かく調べてもらうとよくわかると思うが、かなりの「不平等条約」である。
どちらに有利かって?
もちろんアメリカ側に有利な条約である。

これに関する動きにはいくつかの疑問が残る。
まず韓国大統領が訪米し、わざわざ米大統領と共同記者発表する段階にあるのかというと疑問である。まだ議会を通過した段階に過ぎない。
これの裏側に米韓双方の政府の思惑が隠されているのではないかと疑ってみたくなる。

日本のマスコミは韓国の政治状況や韓国の金融・経済状況については一部の良い面だけを取り上げ悪い面に関して、ほとんど取り上げていないように思えてならない。

韓国は今、大変厳しい状況にある。(私は年初から何度も書いているが・・・)
韓国ウォンが想定以上のウォン安に向かい、金融、財政面で大きな問題になっている。
経済面でも、本来ならウォン安を歓迎すべきなのだが、想定以上のウォン安はむしろマイナス要因の方が大きいようだ。

金融・財政面での一番の問題はドル不足とウォン安に伴う対外債務(主に短期外債)の増加と、それに伴う財政負担の増大である。
専門家ではないので細かい説明はしないが、過度のウォン安は物価を押し上げインフレの要因になる。国内の内需に与える影響は非常に大きい。国民の生活は確実に苦しくなり、それが金融・財政に大きな影響を与える。(食料品・石油・雑貨品等すべてが上がる。)

経済面でも、ウォン安で輸出には有利なはずだが、アメリカ、ヨーロッパなどの景気減速は、韓国の輸出産業を直撃している。
中国の景気にも陰りが出始め、国内需要も物価の上昇で減少するので、ウォン安のメリットは相殺されるだろう。
また、販売面だけでなく部品や原材料の調達などにも支障をきたし始めるだろう。
国内向けの販売価格を値上げせざるを得なくなるだろう。

韓国の財政状況を一言で表現するならば
「自転車操業の黒字決算企業」
といえるのではないか・・・。
貿易収支で黒字を出しても資金ショートで倒産の可能性がある。
民間金融機関もかなりバランスシートが毀損している。
更に住宅バブルが弾ける寸前の状態にあり、弾けた場合、かなりの影響が金融機関に出ることも予想される。

このように危険な兆候が顕著に表れはじめ、焦っている韓国の大統領と韓国経済と結びつきが強いアメリカの大統領が揃ってこのタイミングで記者発表を行う裏には、双方の焦りと何らかの思惑があることは間違いないだろう。

それにしても、日本のマスコミは酷い。
TPP加盟問題にしても、まともな報道が見当たらない。
TPP加盟推進派と思われる学者で、TPPに関する疑問にまともに答えられる人がいない。
今回の米韓FTAでも別の視点から条約内容を見てみれば、如何に問題が多い条約かがわかるはずだ。

2011年10月14日金曜日

安住財務大臣の落選運動を!・・・馬鹿につける薬はない。

安住財務大臣が来年中に消費税の増税法案を国会に提出すると発言したそうだ。

安住クンよ!君は以前テレビなどで自分がどんな発言をしていたのか忘れてしまったのか?
財務省に取り込まれ、財界に媚を売り、マスコミには威張りちらし、国民を蔑む目で見る君に国会議員をやる資格はない。
宮城県の安住クンの選挙区の皆さんは、落選運動を起こしたらいい。
慌てて、短い足ですっ飛んでくるだろう。

しかし、いとも簡単に財務省を筆頭とした官僚組織や財界、アメリカ政府の要人などに取り込まれるどころか、言いなりの野田、安住氏らを見ていると「政治家としての矜持」とは何かを考えさせられる。
※矜持・・・自分の能力を優れたものとして誇る気持ち。自負。プライド。

彼らには日本国の政治家としてのプライドも自負も無いのだろう。
菅、仙谷、前原、枝野、岡田、野田、安住、玄葉氏らの発言や行動を見ていると、彼らは本当に日本の政治家なのかと疑ってしまいそうになる。
彼らはアメリカの議員と呼んでも違和感が無いくらいアメリカ一辺倒の政策と権益欲の塊に思えてならない。

アメリカのデモを見ていると、中心になっている人たちは、今までどちらかというとオバマ民主党を支持してきたリベラルと呼ばれてきた層の人たちである。
その人たちが格差社会や一部の既得権益層による社会支配、利益の独占などに対し反旗を翻している。
それとともにアメリカの財政危機の問題点も浮き彫りにしつつある。国、地方自治体の財政危機に伴い、公の大学の入学金や授業料の大幅アップ、公共サービスの大幅カット、失業と雇用の問題など・・・。
国民の負担は増える一方で、それらにより特に若年層の政治に対する不信感は大幅に増大している。
かといって、この人たちが、共和党支持に廻るかといえばそうでもない。
アメリカにおいても無党派層が大幅に増加しそうな雰囲気である。
所謂、政党離れである。

アレ!これってどこかの国でも同じような・・・。
そうです。
日本でも、まるで同じような政治状況が生まれている。
2009年の総選挙で民主党を支持した層の中の多くの人が、政権批判の中心になりつつある。
政権交代したが、民主党に対する期待は裏切られた。マニュフェストは放棄され、「一途に国民との約束を守ろうとした政治家」は座敷牢に閉じ込められた。
「増税」「福祉・医療などにおける国民負担額の増加」「失業や雇用不安の増大」など、政権交代前より酷い政治・社会状況になりつつある。
かといって、この人たちが自民党支持に廻るかといえばそうでもない。

このような傾向は日本やアメリカだけに限らず、世界中で似たような状況が起こっている。
特に先進諸国と呼ばれる国々では、顕著にその傾向が見受けられる。
残念ながら、それらの国々の中に、今回のデモに参加する人たちの意見を受け止めるだけの政党が見受けられない。彼らの声の受け皿となりうる政党が見当たらない。

政治が「財政再建」にばかり目を向け「国民生活の実態」から目を背けようとしてきたツケが、ここにきて一気に噴出し始めている。
この動きは、今後の世界の政治に大きな影響を与えるばかりでなく、特定の既得権益層に集中している権益とマネーを、今後どのように再配分すべきなのかという社会構造改革にまで進む可能性も否定できないと思える。
先進国が政治・経済において、ひとつの大きな転機を迎えていることの表われでもある。

2011年10月13日木曜日

TPPの問題点・・・農業の場合は補助金を調べる必要がある。

TPPがまた話題になっている。
24の項目の内容も詳しくわからない状況で参加を言い出す野田首相の真意がよくわからないが、参加すれば大変なことになることは、南米の国々や韓国などの状況を見ればよくわかる。

一番わかりやすい農業で考えてみよう。
まず、日本政府の農業に対する考え方、位置づけが確立していないことが最大の問題であり、これを確立しない段階でTPPやFTAなどを進めることは、「自分で自分の首を絞める」ことにつながりかねない。
参考にEUの農業政策についての説明記事を紹介する。

共通農業政策(きょうつうのうぎょうせいさく)とは、欧州連合 (EU) における農業補助に関する制度や計画を扱う政策。英語表記の Common Agricultural Policy の頭文字をとって CAP とも表記する。共通農業政策に充てられるEUの予算は2005年度で4300億ユーロとなっており、この額は全体のおよそ44%を占めている。

共通農業政策では生産高や耕地に対する補助金の直接支払いと価格維持メカニズムが組み合わされており、また農作物の最低価格の保証、域外からの特定農業生産品に対する関税の賦課や輸入量制限の実施も行っている。補助金制度については改革が進められており、2005年から2012年にかけては輸入量制限の緩和や、補助金について生産高に基づく支給から農地の管理に基準を置く方式へと段階的に移行している。制度の実施の細かい部分は加盟国ごとに違いがあるが、たとえばイギリスでは農家への直接支給が定められた単一支払制度が導入されている。直接支払いにあたっては以下の要件を満たすことが求められる。
対象農地において「適正な状態」 (Good Agricultural Condition) が維持されている。
多角化や生産者組合を設立するなどの農村部の発展に貢献している。
 環境に寄与するような農地運営を実施している。

 1992年以前にはEUの農業に関する支出が予算全体の61%近くを占めていたが、2013年までに従来の共通農業政策の支出が占める割合をおよそ半分の32%にまで抑えるという方針が決まっている。これとは逆に1988年で予算全体の17%となっていた地域政策の支出を、2013年にはおよそ2倍の36%にすることになっている。

共通農業政策の目的とは、農家に対しては適切な生活水準を、消費者に対しては適正な価格で良質な食品をそれぞれ提供するということ、さらには農業という文化的な遺産を保護するということである。共通農業政策は社会の変化に直面しており、食品の安全や環境保護、採算性、代替燃料への転作といったものが次第に重要度を増している。 (ウィキペディアより抜粋)


これを読めばEUが、いかに農業を重要視しているかがわかるだろう。
共通農業政策では生産高や耕地に対する補助金の直接支払いと価格維持メカニズムが組み合わされており、また農作物の最低価格の保証、域外からの特定農業生産品に対する関税の賦課や輸入量制限の実施も行っている。
農業に関しては、どちらかというと保護主義的な政策をとっている。
そして農業は単に食料の生産という位置づけにとどまらず
農業という文化的な遺産を保護食品の安全や環境保護、代替燃料への転作
など、文化や健康、環境保護、自然エネルギーへの転換など幅広い視点で農業を捉えている。

EUにとどまらずアメリカ、オーストラリアなどでも農業へ多額の補助金が支払われている。
それにより、有利な条件で輸出が可能になっている点を見逃してはならない。
そもそも同じ条件で争ってこそ公平といえるのだが、元になる条件以前の段階で大きな差があるのである。
大相撲の土俵で横綱と幕下が闘うようなものである。
野田首相が工作面積が20から30haの大規模農家への転換を推し進めるようなことを言っていたようだが、国内だけを考えればそうかもしれないが、 それでは外国の農産物とはとても競争することはできない。日本の農業の現実をわかっていない。

日本の農家一戸当りの耕地面積はアメリカの1/123、イギリス1/42、フランス1/26、ドイツ1/23である。日本の農家の平均耕作面積は1.2haといわれているので、その差は歴然だ。
もう一点が農地面積と耕作条件である。日本の国土の70%は山林で且つ平野部は住宅地などに開発され、大規模化できる農地はそれほど多くはないし、大規模化するには数十軒の農家の農地を穴が無いように集約しなければならない。それほど簡単ではない。

ましてや、いくら品質が良く美味しい農産物を作っても原発事故の影響でこれから最低でも数十年は輸出が難しい状況が続くだろう。

日本の食糧が外国産で占められるようになれば、いずれ高い食料品を買わされることになる。
最初は安い価格で輸出し、輸出国の農業に打撃を与え、その国の自給率を大きく低下させる。
その後、価格を上げていくことで莫大な利益を上げる。
飼料や肥料から始まり、農産物や遺伝子組み込みの種子へと広げることで相手国の農業を牛耳るというのが、アメリカ資本の描く図であることを良く理解した上で、TPPを語るべきである。
それと同じようなことが24項目だけでなくそれ以外のことでも、起こりうる可能性を危惧するのは私だけであろうか。

2011年10月12日水曜日

野田首相は頭が良いのか悪いのか?・・・悪いと思います!

馬鹿と言うと問題がありそうなので、頭が悪いと表現した。
菅首相も酷かったが、野田首相もそれに劣らず酷いものだ。
何が酷いかといえば、『国民のことを何も考えていない』主権在民どころか主権在官、主権在米で且つ思考まで「官僚お任せ」の「脳みそが豆腐(真っ白で皺がない)」としか思えない政策の打ち出し方が第一に挙げられる。

点数で評価すれば
世界経済に対する認識と理解度に関しては、良く評価しても10点。
国内の経済状況に関しての認識と理解度も10点。
国民生活の実情に関しての認識と理解度は5点。
『国を思う心』『国民の安心と安全を守ろうとする意識』・・・5点。

『震災復興や原発事故処理に対する関心と迅速な対応を進めるという強い意志』など微塵も感じられない。(口では言っているが・・・)

・増税
・公的年金、公的保険の掛け金アップ
・TPPの推進。
・年金の支給開始年齢の引き上げ
etc.
国民に負担を強いる政策ばかりが目白押しだ。
逆に公務員給料の引き下げや公務員制度改革は進んでいない。
特別会計の改革も一向に進んでいない。(やる気が無いようだ。)

菅首相と同じように、財務省のお役人に「財政再建の道筋を作れば歴史に名が残りますよ。」とでも煽て上げられ『増税、緊縮財政、財政規律の厳守こそが命』「国民の生活は第三」の政治を目指しているようだ。
簡単に煽てられ祭り上げられることだけを見ても、とても信念のある頭の良い政治家とは思えないのだが・・・。

2011年10月11日火曜日

国民は今の政治に呆れている。・・・国民は馬鹿ではない。

休日は半日、畑仕事だ。
昨日は、畑の草取りをしていた。
隣の家のご主人が、話しかけてこられ「政治家は何をやっているんだ。」と最近の国会論戦を強く非難されていた。
「小沢さんの証人喚問より震災復興対策など他に優先すべきことが沢山あるだろう。」というのが大方の国民の思いではないのだろうか。
「一人の政治家をよってたかっていじめているとしか思えないような国会と政治家」に対し国民は思いの他、冷静に見ているように思う。
私は「学級委員会レベルの国会ですね。」と答えておいた。
人間としての教育からはじめなければいけないような政治家がゴロゴロいることに驚きを隠せない。

私の義父も「小沢嫌い」の一人ではあるが、最近は私が「小沢ファン」であることに理解を示してくれている。
戦争を経験した人たちの中には、戦時中の「大本営発表」が頭の中に残っている人も多い。
最近の「福島第二原発事故」や「検察の不祥事」などに関するマスコミ報道に対し戦時中の「大本営発表」を重ね合わせる人も多い。
あまりにも偏った小沢さんに対するマスコミの報道姿勢に対し、同じような匂いを感じ始めた国民が増えてきていることは間違いのない事実である。

「自分達に都合の悪いことは報道しない。」「自分達の権益保持のためには何でもアリ」という官僚、マスコミの報道に対し、厳しい目が注がれ始めていることを彼らは気がついていないのだろうか・・・。

同じように、政治家に対しても厳しい視線が注がれている。
政治家である前に一人の人間としての人格が問われ始めている。
政治家は、自分が小沢さんの立場に置かれたらどのような行動をとれるのか。どれくらい精神的に大変な状況に追い込まれるのかを自分に置き換えて考えて見るべきだ。
小沢さんは政治家であるが一人の人間でもある。
身体的にも精神的にも大変な状況にある小沢さんに対する言動は、政治家本人の人格と人間性を判断するリトマス試験紙でもある。

今の自民党を見ていると「この政党は終わった。」との印象をより強く感じる。
まだ地方組織がそれなりに勢力を保持していることと公明党と連携していることでどうにか持ちこたえているが、後2年、国政選挙が行われなければ、党本部の資金も枯渇し、まともに選挙を戦うことさえ難しくなる状況に追い込まれるだろう。

民主党が輿石幹事長の下、それなりに党内がまとまりつつある状況下では、自民党の打てる手は限られている。
分裂の危機にあるのは民主党ではなく自民党なのかもしれないと思う今日この頃である。

2011年10月7日金曜日

立証責任は検察にあり・・・小沢さん怒る!

最近、地上波のテレビは一切見ない。
朝はBSの海外ニュースにした。後はインターネットのニュース記事で十分である。
昨日の地上波のテレビは小沢さんを貶める報道で一色だったようだが、地上波の視聴をやめているので気にしなくてすんだ。
いやな番組は見ないことが一番である。

さて、やはり小沢さんはすごい!
昨日の法廷での小沢さんの発言は一読の価値がある。
既得権益層に対して、国会議員に対して、そして国民に対してのメッセージとも取れる内容である。
日本の将来に対する危機感に溢れていた。
小沢さんを知ってしまうと他の議員が子供にしか見えない。

小沢さんは、与野党の国会議員にも苦言とメッセージを送っている。
震災復興が遅れ、原発事故の収束の目処も完全に見えない中、「小沢さんの国会での証人喚問」を取引材料にしてゴチャゴチャやっている場合では無いだろう。・・・と。
そして、4億円の小沢さんからの借り入れ金の問題は、数十億とも言える税金を使い一年有余にわたり捜査したのだから立証責任は検察にある。⇒だから検察に聞いてね!(ちなみに検察は行政機関である。)
ついでに、検察が2度にわたり不起訴にした理由も検察に聞いて頂戴ね!
ということだろう。
まさしく正論だと思う。
何も国会で証人喚問せずとも検察を呼んで説明させればいいことである。
ただし、検察も裁判中であることを理由に拒む可能性はある。

昨夜、小沢さんが緊急入院されたようで心配だ。
「闘う小沢さん」のカッコいい姿が見たいので、ゆっくり休養し再び雄姿を見せてほしいと願っている。

2011年10月6日木曜日

マスコミの馬鹿さ加減・・・新聞やテレビの凋落

小沢さんの公判を前に、「秘書3人の有罪判決」に力を得たのかマスコミの小沢バッシングが勢いを増している。
この人達は、過去を顧みるということが、できないようだ。
西松事件以降、どういう事が起きたのか?
確かに陸山会事件では1審で秘書3人に「有罪判決」が言い渡された。
しかし検察はその前の西松事件以降、でたらめな捜査が批判の的になり検察改革を余儀なくされている。
マスコミに対する批判も、そして今回の判決では裁判所に対する批判までもが沸き起こっている。
小沢バッシングが沸き起こるたびに検察や裁判所、マスコミへの批判が広がるという結果になっている。
今回の小沢さんの裁判の1審判決の結果がどうなるか予断を許さない状況だが、判決次第では司法に対する大きな不信と批判が湧き起こる事が予想される。


異常なまでの小沢さんバッシングをどこまで続けられるのか?
今後の経済状況次第では、新聞・テレビ局は経営が立ちゆかなくなり、大きな改革を迫られることになるだろう。
あるいは、消えて無くなる企業も現れるだろう。
視聴者の目も厳しくなり、偏向した内容を垂れ流す番組のスポンサーに対する視線も厳しくなるだろう。
新聞・テレビ業界は、今後の景気の動向やアメリカのような「若者による既得権益層に対する批判デモ」の日本での広がり方次第などによっては大きな編集方針の変更を迫られることになるだろう。
世論は、新聞やテレビが作る時代からインターネットの時代に変わってきていることを自覚しないと早晩、退場することになるだろう。
マスコミは「求心力低下」「小沢離れ」と事あるごとに報じる。これが事実なら小沢グループには誰もいないことになってしまうはずだが、そうはなっていないことをどう説明してくれるんだいマスコミさん。

話は変わるが、次の国政選挙の焦点は次のような点に絞られるのではないだろうか。
①増税の是非
②雇用対策(景気対策を含む)
③公務員改革(公務員の給料削減)
④脱原発
⑤TPPへの参加の是非
他にもあるだろうがこれらの点が焦点になることは間違いない。
では、今、選挙を実施した場合、どの政党に投票したらいいのだろう?
①の増税について・・・民主・自民・公明党は増税・財政再建路線  小沢さんは増税反対、歳出削減・特別会計などの改革を優先
②雇用対策・・・民主・自民・公明党は失業者対策重点        小沢さんは内需重視の景気対策優先
③公務員制度改革・・・ 民主・自民・公明党は口だけで積極てきでない印象  小沢さんは官僚制度全体のあり方を変えようとしている。
④脱原発・・・民主・自民・公明党は現状維持ないし減原発路線   小沢さんは電力の目処さえつけば全廃
⑤TPPへの参加・・・民主・自民・公明党は参加の方針        小沢さんは反対

これらの問題で複雑なのは民主・自民・公明党の議員の中でも意見が大きく分かれている項目があることだ。
これは、日本に限らず他の先進国でも同じような現象がおきている。
与党と野党の議席数によるネジレ」とは別の「党内における政策の違いによるネジレ」である。党の代表は「国会対策」だけでなく「党内対策」に今まで以上に力を注がなくてはならない状況になっている。それが政策決定の遅れにつながり、混乱の元凶になりつつある。
アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスなどの政治状況をみれば、そのことは一目瞭然である。イギリスやドイツのような連立内閣では、それがより一層複雑化し、政党ごとの個別政策がわかりにくくなっている。
その影響かも知れないが政策がわかりやすい小政党が議席を獲得する動きも表面化している。

増税・脱原発・TPPなど意見が分かれる政策に対し、党内で反対の立場を強めている小沢グループをマスコミは批判的な立場でわざわざ小沢グループという枕言葉をつけて反対勢力として取り上げているが、これは小沢グループが「増税反対」「脱原発」「TPP反対」であることを宣伝しているようなもので、民主・自民・公明党の政策が接近し選択しがなくなりつつある状況で、別の選択肢を国民に提供しているに等しいことである。
マスコミは、ドンドン小沢グループを批判的に取り上げればいい。それは国民の中の「増税反対」「脱原発」「TPP反対」を支持する有権者に選択肢(国民の支持する政策の受け皿)を提供することになるからだ。

官僚の劣化だけにとどまらずマスコミの劣化も酷いものだ。

2011年10月5日水曜日

小沢さん若手議員に励まされる。・・・小沢さんは幸せ者だ。

“豪腕”小沢が心底落ち込んだ元秘書判決…美人議員のおかげで復活!
という記事がでていた。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20111004/plt1110041535006-n1.htm

以下一部抜粋
判決3日後の29日。小沢氏の日程が空いていると聞きつけたのが、笠原多見子(46)、岡本英子(47)、中野渡詔子(なかのわたり・のりこ、40)、木村たけつか(40)各衆院議員ら新人6人。小沢氏を赤坂の居酒屋に呼び出した。6人は事前に申し合わせて、裁判などには一切触れなかった。 「自分には彼氏がいないんです」
笠原氏がこう切り出すと座は一気に盛り上がり、言葉少なだった小沢氏もゲラゲラと声を上げて笑い始めた。宴も進み、話題が増税問題になると、小沢氏は「ギリシャも含めて、世界情勢を見据えながら経済は考えなくちゃいかん」と、いつもの小沢節を披露していた。
翌30日には、岡本氏が選挙区の横浜で、支持者を集めて小沢氏の話を聞く会を開いた。
「1年くらい前から考えていた。自分の支援者の中にも小沢ファンはたくさんいる。小沢さんと直接話ができる機会を作りたかった。同時に、小沢さんを元気づける、いいタイミングになると思った」(岡本氏)
この日、借り切ったレストランには74人が集まった。小沢氏が入場すると、割れんばかりの拍手と大歓声が。小沢氏は「財政と原発が重要だ。原発の収束なくして財政も経済もあったものではない」などと熱く語ったという。
この後、小沢氏は10分ずつ、10個のテーブルをすべて回った。満面の笑顔で記念写真などを撮りながら、参加者は口々に小沢氏に注文を付けた。
「小沢さん、もっと表に出なきゃダメだ」
「自由党時代から小沢さんの主張は変わっていない。ブレるな」
小沢氏退場の場面では、再び拍手と声が飛んだ。
「小沢! 頑張れ」
すると、いったん退場しかけた小沢氏が再び戻りマイクを握った。
「みなさんの声を聞いて、とてもうれしい。岡本さんにはみなさんがいるように、僕を信じて政治家として活動できるよう支えてくれた方々のために頑張る」 


以下、感想
小沢さんは幸せものだ。
小沢さんを心配してくれる人が沢山いる。
こんなところも反小沢の議員やマスコミが面白くおもわない要因のひとつなのだろう。
いくら、叩いても支持者や理解者が減らない。むしろ増える傾向にある。

「小沢批判をする人が必ず言うのは、自民党時代の小沢さん。そのころはギラギラしていて『カネだ、ポストだ』とやっていたのでしょうが、われわれは、そんな昔の小沢さんを知らない。実際、いまの小沢さんはカネを配るわけでもなく、要職にもついていない。それでもまとまっているのは、小沢さんの政治理念や政策に共鳴しているから。損得じゃない。1、2年生合わせて70人ぐらいはまとまって動く」(岡本議員)


この言葉でもわかるように、小沢さんを支持している人たちの多くは「小沢さんの政治理念や政策に共鳴している」からであり、且つ、もれ伝えられる「小沢さんの人間性」に惹かれたからである。
マスコミは、今回の秘書3人の判決ではないが「金とポストが小沢さんの力の源泉である。」という推測と前提のもとに憶測で記事を書いている。
「目に見えないもの」で繋がっているという事実を認定したくないようである。

話題は変わるが、昨日、テレビに江川詔子さんが出演していた。途中からしか見ることができなかったが、えらくイメージが変わっていた。可愛いイメージに変身されていて驚いた。
正直、以前はあまり好きでなかったが、最近の江川さんの活動は評価している。
今回の秘書3人の裁判でも、最初から欠かさず傍聴されており、おそらく裁判の経緯を一番知っておられるジャーナリストだろう。だからコメントにも信頼感が持てる。
以前の棘棘しさが薄れ、親しみやすさが増したように感じたのは私だけであろうか。

ついでに、秘書3人の裁判について少し感じたことを・・・。
判決にムカついて、しばらく頭の中が沸騰していて冷静さを欠いていた、ここ1週間であった。
それにしても納得がいかないのは、マスコミが小沢さんからの4億円の借入れが2つ存在するかのように報じていることである。
小沢さんからの借入れはあくまで1回である。
定期預金担保での4億円の借入れは銀行からの借入れであり、資金は銀行から出ている。
どちらの4億円を小沢さんからの借入金とみなすかについては、私も頭の中でまとまっていないが、どちらにしても小沢さんからの借入金は4億円のみであることは、間違いのない事実である。
であるならば政治資金収支報告書に「借入金 小沢一郎 4億円」と記載されていれば、何も問題になるはずは無く虚偽記載する必要など何処にもないことになる。
もし、小沢さんからの4億円を「政治資金収支報告書上の借入金」とみなすならば銀行からの定期担保での借入れは「銀行借入金」と表現すべきで、この場合は銀行借入金が記載もれとなるが、本来なら修正ですまされる事案である。(銀行からの借入金を隠そうと思う人はいないだろう)
他方、銀行からの借入金を 「政治資金収支報告書上の借入金」 とみなすならば小沢さんからの4億円は「預り金(定期担保にするための個人資金の立替)」 ないし「個人からの銀行への担保提供」となり、政治資金収支報告書への記載は必要ないことになる。
どちらにしても判決は納得がいかない。

2011年10月4日火曜日

連合「脱原発」に転換・・・労働者としての立場と家庭人としての立場

東電をはじめとする電力会社の従業員の人たちの心境は複雑だろう。
会社の経営のことを考えれば原発は継続してほしい。しかし家族のことを考えれば原発は廃止してほしい。
大企業に勤める労働者や原発立地の地方自治体の住民も同様な気持ちを持つ人が多いことと思う。原発事故は、多くの労働者や地域住民の心の中に大きな『捩れ』をつくりだした。
連合の「脱原発」という判断は、妥当な判断だと思う。
事故発生から半年以上経過したにも関わらず、溶融した燃料がどこにあるのか、どのような状況なのかさえ、わからないという状態だ。汚染水の浄化により凝縮された高濃度の汚泥が新たに発生しており、膨大な量が蓄積されようとしている。
原発事故の現状を知れば知るほど、「脱原発」に考えが向かうことは必然である。

「アラブの春」と呼ばれる中東の民主化のうねりは「既得権益者への批判、政治と大企業の癒着への非難、緊縮財政や増税に対する批判」というふうに形を変えながらアメリカ全土やイギリスに飛び火しつつある。
この動きは、ヨーロッパ各国へも広がるだろう。ギリシャ、イタリア、スペインをはじめフランスなどでもデモが頻発している。政治に与える影響も非常に大きくなるだろう。

アメリカのオバマ大統領の再選に赤信号が灯り始めている。フランスのサルコジ大統領、ドイツのメンケル首相も国内での支持率は低下しており、厳しい政権運営を強いられている。
アメリカについては国際社会においても影響力が大幅に低下しており、オバマ政権は非常に厳しい立場におかれている。

アメリカの後ろ盾を最大の武器としていたイスラエルでさえアメリカ離れを加速させつつある。
世界中の、アメリカの庇護を受けていた国々が、アメリカから離れていこうとしている。
アメリカ1国主義の崩壊とともに、新たな国際社会の枠組みが求められ始めている。
日本もそろそろアメリカ離れをし、真の意味での独立民主国家にならないと世界中の国々から相手にされなくなる時代が来るのかもしれない。

その意味においても、沖縄の基地移転問題は重要だ。アメリカ従属の外交を転換するいいチャンスだと思うのだが・・・。

2011年10月3日月曜日

小沢さんと民主党の一部の議員や野党の議員との違い

自民党の谷垣総裁が小沢さんの「証人喚問」を求めているようだが、輿論の読めない人だ。
こんなことだから、自民党の支持率も伸びないし、党内が纏められないのだ。

自民党内で見れば若手議員の力不足の露呈に伴う、ベテラン議員の逆襲とでもいえる状況が起きている。
よく民主党や自民党などの若手議員や菅前首相などがよく使っていた「新しい政治」というもの実体が、如何に空虚で絵空事であったかということの表れだと思う。
政治は「古い」「新しい」で判断するものではなく「若手」「ベテラン」で判断するものではない。
ただ、この動きは日本だけでなく先進国でも同じような動きが見られる。大変な国難の時期にベテランの経験と人を束ねる力が再認識されつつあるのは、ある意味よくわかるような気がする。

小沢さんが選挙に強い理由のひとつが、国民を見る目線の違いだ。
民主党の多くの議員や野党の議員の多くは、国民を「有権者」という視点でしか見ていない。
有権者=投票してくれる人
という目線でしか国民を見れないから、常にマスコミに振り回された発言しかできない。
有権者(投票してくれる人)を増やすために、且つ支持してくれる人の為に何かをしてあげるという視点でしか国民を見ていない。

一方、小沢さんは、自分自身が国民と同じレベルで物事を見ている。
だから、話がわかりやすいし、共感ができる。
国民に迎合するのではなく、厳しい意見も突きつける。

今、世界の多くの国は、「古い、新しい」「若い、ベテラン」などの枠を超え、安定した政治体制を築くことに大きな力を注がざるを得ない時代に突入している。
今までの経験だけでは対応できない経済・金融の動きが起きつつある現在、政治が本来の役割を果たすことができる国だけが生き残れることになるだろう。
それほど政治や政治家の役割と責任は重くなっている。

政治と同じようにマスコミや官僚組織も「国民と同じレベルの視点で物事を見られない組織や人」は、まもなく淘汰されていくことだろ。
自分達に都合のいい情報だけを発信し、自分達の都合に合わせて作られた世論ばかりを発信していれば、この情報社会では情報に乖離が発生する。そして情報の価値が比較、判断されるようになる。
やがて、それらは存在価値が無くなり消え行く運命にある。(地上波のテレビや全国紙がそのレベルに達しつつある。)

2011年10月1日土曜日

官僚のやりたい放題・・・野田政権の本質

来年度予算の概算要求が出揃ったが、過去最高の概算要求額だったようだ。
原発事故対応の予算もかなり含まれているようだが、そうであるならば、東電を一度、国有化すべきと思うのは私だけであろうか。それが一番、収束を迅速化する早道ではないのだろうか。

この概算要求額をみただけでも、官僚がやりたい放題であることが伺いしれる。
政権のグリップが利いていない。
財務省の思惑どおりに進んでいる。

ヨーロッパでは、イギリスが海軍の人員5000人をリストラした。軍事費にもメスを入れている。それほど削減する経費がなくなりつつあるということである。
ギリシャでは、公務員の削減、公務員給料の削減の他、公的サービスの負担増加、民間の経済の縮小に伴い、家族で海外に移住する国民が出始めている。若い人たちの間にも、この動きは広がりつつある。新しい仕事も無く、収入も減り生活コストも高くなり、ギリシャ国内から逃避する動きは今後も続くだろう。
負の連鎖が起き始めている。

ヨーロッパやアメリカ、そして日本も含めてだが、財政再建、歳出削減ばかり推し進められているが、もう一方の柱である経済政策(景気対策)が、少しも見えてこない点が大きな問題である。

野田首相は官僚(特に財務省)を後ろ盾にして政権の長期化を図ろうと考えているようだが、今の世界経済や日本の政治状況を見た場合、簡単に政権が行き詰る可能性も高い。

一昔前までは、新聞や地上波のテレビ、後は週刊誌ぐらいからしか国民が情報を知ることができなかった。しかし、現在ではインターネットで種々の情報を簡単に入手することができる。
それらの情報は、ツイッターやフェースブックなどを介し、あっというまに広がる。
フランスでは、夏休みの削減に反対する高校生が数千人レベルでのデモを行ったようだ。
日本の若者も、もっと怒るべきだ。そして怒りをデモなどをとおして表現すべきだ。
大学を卒業しても就職先が無く止むを得ず非正規社員やアルバイトで生活する年収200万円以下の生活に押し込められている若者達は結婚もできない。
社会を変えるには政治家や官僚に頼っていては、もう駄目だということを、そろそろ理解しなければいけない。
中東の「民主化の春」のように若者が社会を変える原動力になる時代が来なければ日本は変わらないだろう。

「財政再建のために増税する。」というスタンスではなく、「高福祉社会を実現するために増税する。」というスタンスを打ち出さない限り国民の理解は得られないし持続可能な社会保障制度は構築できないだろう。

「増税して福祉を充実させる。(増税優先)」のか「福祉を充実するために増税する。(政策優先)」では同じようで実は大きく違う。それとも「中福祉を維持し、国民個人の負担」を増やすのか?

財政再建のポイントは一般予算の半分以上を占める「福祉関連予算」である。
税金で負担するのか、それとも個人や企業の保険料負担を増やすことで対応するのか。
国民に選択肢を与え、日本がどのような福祉国家を目指すのかを示し、その負担を税金という形で負担するのか保険料負担という形で負担するのか。
無駄な歳出を削減するためには、できる限り直接給付に近い形にし、運用は地方自治体に移管することである。
最初は、所得等に関係なく給付し、細かい対応は税制によって対応するのが望ましい。
もちろん控除から給付への流れに沿い税制を改革し、「負の所得税」を導入することで低所得者層などへの配慮を推し進める。

現在の所得税における所得控除のシステムは、所得の少ない人にとっては、むしろ不公平なシステムだ。控除で引ききれない部分の所得は考慮されないシステムである。

税と社会保障の一体改革とは、本来、子供手当てのような直接給付や生活保護、介護医療などの制度をできる限りシンプルなものにし、利用者個人が細かい情報を把握できるようにし低所得者や個別の事情への対応は主に税制で対応するようにすることではないのかと思う。
今の政府で行われている論議は「社会保障制度を維持するためには将来的には消費税を何%にすべきか」という論議にしか思えてならない。

制度と税制、そして担う主体を変えなければ、中央省庁の力は弱まらない。そうでないと何時までも現状の体制が続き、税負担と保険料等の国民負担が増え続けることになる。

もう一点挙げるならば、労働者の約40%を占める非正規労働者と派遣社員の増加が社会保険制度の根幹を揺るがす大きな原因になっている点だ。
ヨーロッパのような、「同一労働、同一賃金」になっていない現状では、この問題は非常に大きな影響を社会保障制度に与えている。
この問題を解決しないことには、真の意味での社会保険改革は行えない。
同じ労働をしながら、受けられる年金の額に大きな違いが出る。不公平年金制度といわれても反論のしようが無いだろう。
本来  「同一労働、同一賃金」ならば、徴収する各種保険料の額も大幅に増加するはずだ。支える部分の収入が増えるわけだから、年金などの財政は大幅に改善すると思われる。
企業側の論理を優先する政治が限界にきていることを政治家や官僚は理解すべきだ。

それこそ、こんなことをやっていたら、海外に逃避する日本人が増え、人口減少に拍車がかかることになるだろう。
Template Design: © 2007 Envy Inc.