2011年10月1日土曜日

官僚のやりたい放題・・・野田政権の本質

来年度予算の概算要求が出揃ったが、過去最高の概算要求額だったようだ。
原発事故対応の予算もかなり含まれているようだが、そうであるならば、東電を一度、国有化すべきと思うのは私だけであろうか。それが一番、収束を迅速化する早道ではないのだろうか。

この概算要求額をみただけでも、官僚がやりたい放題であることが伺いしれる。
政権のグリップが利いていない。
財務省の思惑どおりに進んでいる。

ヨーロッパでは、イギリスが海軍の人員5000人をリストラした。軍事費にもメスを入れている。それほど削減する経費がなくなりつつあるということである。
ギリシャでは、公務員の削減、公務員給料の削減の他、公的サービスの負担増加、民間の経済の縮小に伴い、家族で海外に移住する国民が出始めている。若い人たちの間にも、この動きは広がりつつある。新しい仕事も無く、収入も減り生活コストも高くなり、ギリシャ国内から逃避する動きは今後も続くだろう。
負の連鎖が起き始めている。

ヨーロッパやアメリカ、そして日本も含めてだが、財政再建、歳出削減ばかり推し進められているが、もう一方の柱である経済政策(景気対策)が、少しも見えてこない点が大きな問題である。

野田首相は官僚(特に財務省)を後ろ盾にして政権の長期化を図ろうと考えているようだが、今の世界経済や日本の政治状況を見た場合、簡単に政権が行き詰る可能性も高い。

一昔前までは、新聞や地上波のテレビ、後は週刊誌ぐらいからしか国民が情報を知ることができなかった。しかし、現在ではインターネットで種々の情報を簡単に入手することができる。
それらの情報は、ツイッターやフェースブックなどを介し、あっというまに広がる。
フランスでは、夏休みの削減に反対する高校生が数千人レベルでのデモを行ったようだ。
日本の若者も、もっと怒るべきだ。そして怒りをデモなどをとおして表現すべきだ。
大学を卒業しても就職先が無く止むを得ず非正規社員やアルバイトで生活する年収200万円以下の生活に押し込められている若者達は結婚もできない。
社会を変えるには政治家や官僚に頼っていては、もう駄目だということを、そろそろ理解しなければいけない。
中東の「民主化の春」のように若者が社会を変える原動力になる時代が来なければ日本は変わらないだろう。

「財政再建のために増税する。」というスタンスではなく、「高福祉社会を実現するために増税する。」というスタンスを打ち出さない限り国民の理解は得られないし持続可能な社会保障制度は構築できないだろう。

「増税して福祉を充実させる。(増税優先)」のか「福祉を充実するために増税する。(政策優先)」では同じようで実は大きく違う。それとも「中福祉を維持し、国民個人の負担」を増やすのか?

財政再建のポイントは一般予算の半分以上を占める「福祉関連予算」である。
税金で負担するのか、それとも個人や企業の保険料負担を増やすことで対応するのか。
国民に選択肢を与え、日本がどのような福祉国家を目指すのかを示し、その負担を税金という形で負担するのか保険料負担という形で負担するのか。
無駄な歳出を削減するためには、できる限り直接給付に近い形にし、運用は地方自治体に移管することである。
最初は、所得等に関係なく給付し、細かい対応は税制によって対応するのが望ましい。
もちろん控除から給付への流れに沿い税制を改革し、「負の所得税」を導入することで低所得者層などへの配慮を推し進める。

現在の所得税における所得控除のシステムは、所得の少ない人にとっては、むしろ不公平なシステムだ。控除で引ききれない部分の所得は考慮されないシステムである。

税と社会保障の一体改革とは、本来、子供手当てのような直接給付や生活保護、介護医療などの制度をできる限りシンプルなものにし、利用者個人が細かい情報を把握できるようにし低所得者や個別の事情への対応は主に税制で対応するようにすることではないのかと思う。
今の政府で行われている論議は「社会保障制度を維持するためには将来的には消費税を何%にすべきか」という論議にしか思えてならない。

制度と税制、そして担う主体を変えなければ、中央省庁の力は弱まらない。そうでないと何時までも現状の体制が続き、税負担と保険料等の国民負担が増え続けることになる。

もう一点挙げるならば、労働者の約40%を占める非正規労働者と派遣社員の増加が社会保険制度の根幹を揺るがす大きな原因になっている点だ。
ヨーロッパのような、「同一労働、同一賃金」になっていない現状では、この問題は非常に大きな影響を社会保障制度に与えている。
この問題を解決しないことには、真の意味での社会保険改革は行えない。
同じ労働をしながら、受けられる年金の額に大きな違いが出る。不公平年金制度といわれても反論のしようが無いだろう。
本来  「同一労働、同一賃金」ならば、徴収する各種保険料の額も大幅に増加するはずだ。支える部分の収入が増えるわけだから、年金などの財政は大幅に改善すると思われる。
企業側の論理を優先する政治が限界にきていることを政治家や官僚は理解すべきだ。

それこそ、こんなことをやっていたら、海外に逃避する日本人が増え、人口減少に拍車がかかることになるだろう。

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