2012年2月13日月曜日

野田佳彦と小沢一郎・・・役者の違い

日曜日の午前中は、いつも野良仕事である。
余分なことを何も考えないで身体を動かすことは、ある意味とても気持ちがいい。
昨日は久しぶりにレンタルビデオを借りた。昔はよく映画を見ていたが最近はテレビでもあまり見なくなった。
気楽な気分で見たかったので、ラブコメのコーナーから適当に2本選んで帰った。レンタルビデオも安くなったもので、新作・準新作でなければ7泊8日で1本100円である。
借りた中の1本が『「新しい人生のはじめかた」(英: Last Chance Harvey)』というアメリカ映画で主演がダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンというアカデミー賞を2度受賞したコンビである。

孤独な中年の独身女性(エマ・トンプソン)と、彼女に一生懸命言い寄る小柄な、さえないオジサン( ダスティン・ホフマン )の恋愛物語なのだが、それぞれの性格や感情が手に取るように感じられる。二人の俳優の演技が自然で巧い。

何処にでもいそうな感じの背が低い、さえない50過ぎのおじさんと、人に頼まれると断れない性格なのに中々人の輪の中に溶け込んでいけない、人のいい特別美人でもないアラフォー独身女性の一味違う恋愛物語なのだが、ストーリに多少強引な部分もあるが、そんなに気にしないで楽しむことができる。
前妻や親戚などからも冷たくあしらわれ、娘からも見放されそうになりながらも、突然知り合いになった一人の女性のサポートで出席する予定になかった結婚披露宴に出て、泣かせるスピーチをする主人公は、ある意味カッコいいし、我々中年に勇気を与えてくれる。最後も気持ちのいい終わり方である。
誰にでも『幸せになる権利がある』と見ながら感じた。

何を言いたかったかといえば、ありきたりの中年男女の恋愛物語なのだが、役者の力で映画全体の魅力を高めているということである。
よく『役者が違う』という言葉を使うが、役者が変われば映画全体のイメージも出来栄えも変わる。
そして『いい役者』といわれる人たちは、役柄が変わっても必ず「自分の個性」というものを何らかの形で表現している。自分の演技に対するこだわりと信念のようなものが自然と役柄の中に現れている。

翻って現在の日本の政治において「自分の個性」というものを体現している政治家がどれだけいるだろう。
自分の政治姿勢にこだわり、政治信念を貫き通そうとする政治家がどれだけいるだろう。
俳優は、ある意味において見る人に「夢と希望」を与えてくれる。等身大の自分と重ねあわせることで見た人は、一時ではあるが「夢を見る」ことができる。
では国民に「夢を語れる政治家」がどれだけいるだろう。
「希望を持たせてくれる政治家」がどれだけいるだろう。

なぜ民主党が政権を獲ることができたのか?
それは、ある意味において国民に「夢を語り」、「希望を感じさせた」からではないのか。
2009年マニュフェストを悪く言う人がいるが、「魅力のないマニュフェスト」だったら政権交代は成しえなかっただろう。
では、そのマニュフェストを語った政治家は今、何をすべきか?
それは小沢さんが何時も語っていることである。
マニュフェストが脚本とするならば、首相は監督であり、大臣や党の執行部は俳優である。その他の議員は裏方のスタッフである。
それぞれの役割を精一杯務め、マニュフェストの実行に全精力を注ぎ、国民に「夢の持てる社会」と「希望の持てる社会」を、そして「誰もが幸せになれる権利が守られた社会」をつくり上げることに努力する姿勢と信念を見せることこそが今、彼らに求められていることではないのか。

本来、いい脚本なのに監督が勝手に脚本を書き換え、主役や俳優も自分の好きな俳優だけで固め、映画全体の魅力を高める力のある俳優がいるにも関わらずキャスティングしなかったことで映画が駄作になってしまった。また裏方に経験と実績のあるスタッフを配置しなかったことで、撮影スケジュールも滅茶苦茶になってしまった。
現在の政治状況を映画に例えれば、こんなところだろう。

最近の政治を見ていると
「夢が持てない」「希望が持てない」そして「誰もが幸せになれそうも無い」政策推進の話ばかりが目立つ。監督が「増税」や「国民の負担増」ばかりを語っているから、世の中が暗くなる。経済も前向かない。
ラブコメのように、エンディングで微笑むことが出来るような明るい話題の一つも提供するのが、一国の首相の役割ではないのだろうか・・・。
いくら映画を製作しても、だれも見向きもしなければ、創る価値はない。製作費も無駄に終わる。
興味がもてないような映画は誰も見ない。大根役者ばかりの映画は誰も見ようともしない。
いい脚本、いい監督、いい俳優、いいスタッフが揃い、そこにいい映画をつくろうという意欲が重なりあって、初めて「いい映画」が出来るということを肝に銘ずる必要がある。

小沢一郎というオスカーが獲れるような役者を遊ばせておくのは、余りにも勿体無いと思う今日この頃である。




5 件のコメント:

通りがけ さんのコメント...

「極東米軍に奉仕の限りを尽くす米政翼賛会政治の醜さ」

岩国への在沖海兵隊移転【露骨な戦争準備、拠点化】
既に将校宅に地下シェルター、兵舎建て替え
工場地下に軍事道路整備計画も「見切りつける企業」
(長周新聞2012年2月10日(1)面記事タイプ転載)

 【在日米軍再編の見直しをめぐって、沖縄から国内外に分散させる海兵隊3300人のうち1500人を米軍岩国基地に移転させる問題は、岩国市民をはじめ全県、隣接する広島県を含めて重大な関心を集めている。「普天間基地の固定化を避ける」「沖縄の負担軽減」という建前で進められているのは、中国、朝鮮半島を含むアジア・太平洋地域を重視するアメリカの新防衛戦略に沿って各地に軍事拠点を分散させ、全土を「沖縄化」することである。中でも岩国基地は100機を超える戦斗機部隊と1万5000人に及ぶ人員を擁する極東最大の一大軍事拠点へと変貌することになる。岩国市民のなかでは、強度を米軍へ売り飛ばす全市基地化の動きに対して、日本を部隊とした戦争準備の本格化が深く実感され「岩国だけの問題ではなく、広島を含めた周辺広域にわたって軍事要塞化されることを意味する」「日本全体の将来に関わる一歩も譲れぬ問題」として物議を醸している。】

 ▼「岩国移転については日米協議はしていない」とシラを切っていた野田政府だが、8日に発表した日米共同文書では、在日米軍再編を「地理的により分散し、運用面でより抗堪性があり、かつ、政治的により持続可能な態勢を達成する」方向で見直すとし、「日本は歓迎する」と全面的に従う姿勢を明記。普天間基地の移設とグアムなどへの海兵隊の移転を切り離して進めること、グアムに移転する海兵隊の構成や人数について見なおすことなどの複数の課題について「数週間ないし、数カ月のあいだに共同でとりくむ」とした。
 ▼頓挫している普天間基地移設を除いて、再編計画全体を加速させるということであり、岩国基地をめぐっては、普天間移設とパッケージとされてきた厚木からの空母艦載機移転(約4000人)を先行実施させるとともに、「見直し」の中身次第では新たに沖縄の海兵隊1500人(軍属、家族を含めて約4000人)の移駐が今後、交渉の俎上にのぼることになる。
 ▼市長選一週間後、時を見計らったように在沖海兵隊1500人の移転案が表ざたにされ、岩国市民のなかでは「隠れていた本丸がついにあらわれた」「市長選までは隠しておいて、これ以上市民をバカにしたことはない」と底深い怒りが渦巻いている。に一時や福田市長は、「これ以上の負担はない」「艦載機移転も普天間が解決するまで容認しない」としていただけに、「(海兵隊の岩国移転は)拒絶するべき」「岩国が移転候補地からはずされるまでは愛宕山の売却も留保する必要がある」と口裏をあわせて発言するなど火消しに躍起。つい最近まで「国防は国の専管事項であり、地方が口出しするな!」と市民を恫喝し、調子に乗って「国防協力都市宣言」までしてきた市議連中も旗色が悪く、右往左往している。
 ▼米側が打診してきた「1500人」は、沖縄を中心に展開する米海兵隊の第三海兵遠征軍(MEF)の司令部とみられている。有事編成では5万人規模となる部隊であり、移転が実現すれば、横田(空軍)、横須賀(海軍)に並んで、岩国が海兵隊の拠点司令部となることを意味している。
市民からは、「沖合移設で基地面積が二倍近くに拡張され、4万トン級の空母が接岸できる港まで造られた意味がわかった」「愛宕山の米軍住宅化に続いて、米軍基地につながる巨大道路も次々に整備されているが、すべて米軍の受け皿づくりだった」「朝鮮半島に向けた前線基地にされる」と語り合われている。

「広島含めた前線基地化」

 ▼基地内で働く従業員は、「基地内ではこの20年で兵舎や倉庫、スーパー、デパート、ボウリング場射撃場にいたるまで大規模な新築工事がやられてきた。将校住宅などは一戸あたり7000万、8000万円というとんでもない額で、少々の衝撃にはびくともしない重鋼鉄仕様。避難用の地下シェルターもある。北門付近の兵舎は全部取り壊して、これも頑丈なものに建て替えられたし、トタン張りだった旧施設は全て新築された。基地面積も広大になったので、寂れる岩国の中心市街地と比べてもどっちが”岩国市”なのかわからなくなるほどの差だ。それだけを見ても、本格的な戦争準備が始まっていると感じていた」と語る。
 ▼「岩国基地には今は35機の戦斗機があるが、厚木の空母艦載機59機、沖縄の空中給油機12機をあわせると100機を超えて極東最大。さらに海兵隊が来れば、嘉手納基地に並ぶ国内最大の基地になる。海兵隊には移動手段としてヘリ部隊がセットになるので、いずれは普天間に配備するオスプレイも岩国に持ってくるのではないか。グアムや沖縄は島なので攻撃されたら逃げ場がない。だからこそ一番危険な海兵隊の司令部を岩国に持ってきて、市民を立てにして身を守るということだ。戦争になれば、岩国は”ヒロシマ”
の二の舞にされる。広島県を含めて中四国で多県的に問題にしなければいけない」と語気を強めた。
 ▼別の基地内労働者も、「市民の木造家屋と違って、基地内の家は完全な防音で部屋のなかでは戦斗機の騒音も気にならない。また子供たちも含め高価な服を着て、風呂もアメリカ式で水は際限なく使いたい放題。少しでも物が壊れれば修繕するのではなく、新品を調達しようとするが、これらがすべて日本負担だと思うと腹が立つ」と基地内の様子を語った。
 ▼そして「昔は自営業者でも入って仕事ができていたが、だんだんと基地内に入る手続きも厳しくなり、今では利権がらみの業者ばかりが仕事を請けて市内零細業者はどんどんつぶれている。アメリカは日本を守るという名目で日本負担を増やせといってきているが、絶対に突き返さなければいけない」と激しい口調で語った。
 ▼川下地区に住む婦人は、「米兵が増えると子供を安心して育てられないので、岩国を出ていく若者が増えている。川下小中学校も年々児童数が減り、地区には年寄りばかり残されて空き家が増えている。その空き家をリフォームして米兵に貸し付けるビジネスも始まり、新興住宅団地などを中心に1000人以上の米兵が既に基地外で生活している。だが、米兵に囲まれると市民はますます住みづらくなる」と実情を語る。
 ▼また、「今はアメリカ本国に帰っても雇用先がなく、退官米兵などがそのまま基地内に残って雇用されるので、基地が拡大しても日本人の従業員は減り続けている。だから岩国は寂れる一方だ。知り合いの退官米兵でさえ”子供が心配だから、沖縄の海兵隊が来るのなら本国へ帰る”といっていたが、岩国市民はどこへ逃げるのか。このままでは岩国は完全に米軍に乗っとられる」と語気を強めた。
 ▼また岩国市内では日本製紙岩国工場の200人削減や日本製紙クレシアの閉鎖など企業の縮小、閉鎖が相次いでいることも岩国が極東最大の基地になる計画とつながっているといわれている。
 ▼とくに、日本製紙岩国工場の地下にトンネルを掘り、米軍が軍事物資の積み下ろしに使用している新港と基地とを結ぶ臨港道路として整備する計画もあり、「企業が生産拠点としての岩国に見切りをつけている。そうなれば、岩国の経済界の大部分を占める下請け企業は立ちゆかなくなリ、もうけるのは本当に一部の基地利権者のみという江戸時代に逆戻りしたような町になってしまう」と危惧されている。

「鼻息の荒い林参院議員」

 ▼そんななか、林芳正参院議員のファミリー企業であるサンデン交通(下関市)が岩国基地内に開港する岩国錦帯橋空港の航空機誘導や荷物積載などの運搬支援業務を全日空から受託し、社員募集をかけていることが話題となっている。
 ▼近頃、「次期首相候補」と鼻息の荒い林芳正議員だが、衆院山口二区で二度落選した自民党・山本繁太郎氏が二井知事の後継として出馬することに伴い、二区から代議士の座を狙っていると言われ、先月の市長選にも福田市長の応援に駆けつけて「(艦載機を受け入れたおかげで)今年は市民の長年の夢だった民空がかいこうするんですよ!」と絶叫。
 ▼下関市の補助金漬けで「市営バス並」の扱いを受けて成り立つサンデン交通だが、地元業者を差し置いて岩国基地利権にもしっかりありついていることに「自分の夢を形にしただけではないか」と市民の視線は冷たい。防衛大臣経験者でもあり、今後、地元の下関も含めて米軍の受け皿づくりに奔走し、「首相候補への売り込みを図るのではないか」とみられている。
(了)

通りがけ さんのコメント...

極東米軍の最近の動向です。

【タイで大軍事演習】
米国のアジア重視戦略の具体化「中国を排除し」
(長周新聞2012年2月10日(1)面記事タイプ転載)

 ▼史上最大規模の米・タイ合同軍事演習「コブラ・ゴールド」が、7日からタイで始まった。1982年以来の恒例の演習であるが、日本、「韓国」、シンガポール、インドネシア、マレーシアを含む計七カ国が演習に参加するほか、九カ国が指揮所訓練に加わる。先にオバマ政府がうち出した「アジア重点」の新国防戦略にもとづき、アジアの同盟国を糾合して中国封じ込め態勢を強化する意図があらわとなっている。
 ▼今回の「コブラゴールド」には、タイ軍と米太平洋司令部指揮下の米軍が参加する。米国8948人、タイ3623人、日本74人、「韓国」324人、シンガポール59人、インドネシア73人、マレーシア79人、早慶1万3180人が演習に参加する。
 ▼この他、10カ国が指揮所訓練に参加する。オーストラリア、フランス、カナダ、イギリス、バングラデシュ、イタリア、インド、ネパール、フィリピン、ベトナムである。さらに9カ国がオブザーバーとして、演習を見学する。今年31回目の同演習だが、参加国数や参加人員などで最大規模となっている。
 ▼しかもこれまでのような海上救助、海賊対策、反テロなどではなく、実戦的色彩が濃くなっている。
 ▼中国も02年からこの演習にオブザーバーを派遣してきたが、演習には参加できなかった。アメリカなどは今次円周は正常な恒例の演習であり、特定の国に矛先を向けるものではないとしているが、中国を排除している。特に南シナ海の島しょ領有権をめぐって確執のある国で中国だけを排除している。中国軍の幹部は、今次演習が明白に一方に加担して中国を排除しているが、それは、台湾海峡特に南シナ海の紛争を武力で解決することを煽るものだと非難している。
 ▼アメリカの新国防戦略は、中国を仮想敵から現実的な敵とし、防御から封じ込めにエスカレートした。米軍主力は日本---グアム---オーストラリアの第二列島線に配備し、日「韓」をはじめフィリピン、タイなどアメリカと軍事同盟条約を締結している国をつなぐ第一列島線を対中国の最前線にし、アジア・西太平洋でのアメリカの覇権を確保する鉄砲玉に使おうとしている。そのために、米軍と日本、「韓国」、フィリピン、タイなどアジア諸国との合同軍事演習が段階を画して強化されている。(了)

通りがけ さんのコメント...

「面白きことも無き世を面白く」「では長州男児の心意気をお見せ申そう」高杉晋作「回天」の独立不羈とは。

>攘夷戦争と長州藩の足跡;歴史図録や写真で専門家が解説
「長州維新の道(上)」(図書出版のぶ工房発行、定価2300円+税)
(長周新聞2012年2月10日付(4)面新著紹介「本棚」欄記事タイプ転載)

 ▼幕末の攘夷戦争から明治維新にいたる長州の足跡を歴史図録や写真を豊富にとり入れ、専門家が解説する「長州維新の道」の上・下巻が、福岡市の「図書出版のぶ工房」から発行されている。「九州長州図録撰書」シリーズで、「長州と筑前、維新を歩く三部作」のうちの二冊である。
 ▼「長州維新の道」〔上〕は、関門海峡での幕末対外戦争である攘夷戦争、米英仏蘭四カ国連合艦隊との戦争になった馬関戦争以後の長州藩の動向、とくに高杉晋作と奇兵隊による「回天」へと急激に展開した事情に迫るとともに、巧山寺で決起した奇兵隊が下関から萩城を目指して進撃した「赤間関街道 中道筋」をたどるものである。
 ▼「幕末、日本の情勢はめまぐるしく変わった。黒船来航から戊辰戦争までの十数年の間に、二百数十年ぶりの開国、七百年近く続いた武家社会の終焉という大転換を遂げ、中央集権近代国家へと歩き出したのである」(遠藤順子)。
 ▼文久三(1863)年の攘夷戦争から、文久政変、禁門(蛤門)の変、第一次長州征討と馬関戦争、高杉晋作の奇兵隊結成、さらに俗論党の台頭と第二次長州征討。まさに内憂外患、四面楚歌に見える極限の中から、これと正面から戦い抜き倒幕戦争の勝利へと導いた高杉晋作、奇兵隊と諸隊の動向。このあたりの内的事情については、「長州攘夷戦争」(古城春樹)、「高杉晋作による奇兵隊結成と文久年間の情勢」(田口由香)に詳しく展開されている。
 ▼高杉晋作が、封建制の身分制度に縛られた幕府や他藩では見られなかった「身分を超えた軍隊”奇兵隊”」を結成し、馬関戦争の講和会議でイギリスによる彦島租借を阻止し、四境戦争の大島口や小倉口の戦の先頭にたって幕府軍と戦ったのは、「すべては長州一国のためのみならず、清国の覆轍を踏まず上海の惨状を日本にもたらさないためのものだった」。
 ▼そこでは、高杉晋作が文久2年に上海に渡航し、欧米列強の植民地となった租界や、清国の惨状を直接目撃した体験が非常に大きかったこと、「彼の人生最後の五年間の行動を強烈に動機づけし、方向を決定したのは、まさにこの上海渡航だったといえる」と強調されている。
 ▼田口氏は「上海の惨状を目の当たりにした高杉は”攘夷の策”を主張しているが、欧米諸国との貿易も視野に入れている。・・・・・高杉が主張する”攘夷の策”とは、西洋技術の導入によって欧米諸国と対等な関係に立つための対策であり、いわゆる外国人を追い払うという攘夷の考えとは異なっている」と指摘している。
 ▼このほか、「薩長同盟の功労者、中岡慎太郎」など、薩長同盟がどのような緊迫した情勢のもとで成し遂げられたのかを、筑前の動向や中岡慎太郎の活躍との関連で記している。功山寺決起の直前まで高杉晋作が、筑前の野村望東尼の平尾山荘にかくまわれていた事情、「木戸孝允の人脈と江川太郎左衛門の農兵隊構想」などについての叙述もある。
 ▼伊能忠敬研究会会員・遠藤薫氏(のぶ工房編集長)が、実際に歩いて撮影した下関を起点とし萩にいたる「赤間関街道中道筋」を新地、竹崎、赤間関、長府から小月、清末、神田、さらには奇兵隊の陣屋が置かれた吉田、激戦地の絵堂、大田など主な地点を史跡や風景写真、「伊能図」や現在の地図に照らして紹介している。
 ▼三部作完結となる「長州維新の道(下)」は「萩往還---維新をなした政治と教育」をテーマに構成されている。(一)

参照:劇団はぐるま座「動けば雷電のごとく」>>http://www.c-able.ne.jp/~haguruma/raiden%20pdf.pdf

通りがけ さんのコメント...

日本の富奪い尽くす一体改革
消費税で儲ける大企業・年金は支給時に削る詐欺
   米国と財界の為国民搾る  2012年2月10日付長周新聞
>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/nihonnnotomiubaitukusuittaikaikaku.html
 
 野田政府がアメリカや財界に尻を叩かれて「税と社会保障の一体改革」を掲げた国民大収奪に乗り出している。消費税増税を柱にして、年金・医療・介護・保育など全分野に及ぶ改悪が内容だ。大企業は半導体など家電大手を先頭に日本国内ではもうけにならないとして法人税や消費税など優遇措置は受けながら、国内工場をつぶして海外進出しボロもうけする動きを加速。アメリカは欧州など世界的な経済危機のなかで自国経済自体がパンクし、軍事面では防衛費を削り日本を矢面に立たせ、財政面では日本から徹底的にたかる姿勢となっている。野田政府の「一体改革」による国民大収奪はこうしたアメリカと財界が日本の富を奪い尽くすTPPの先取りとなっている。それはアメリカが日本をアジア侵略戦争の盾にし廃虚にする日米軍事同盟の具体化に結びついており、独立・平和かどうかの国の進路がかかる問題となっている。

 各地の市場や小売店で消費税増税への憤りが噴出している。北九州市内の飲食店主の一人は「リーマンショック以後の派遣切り、工場閉鎖や東北の震災、就職難などで客が年年減るが、今年は年明けからとくにひどい。高齢者も今後のことを心配し使わない。みなが切りつめて生活している。そこに消費税増税とはなにを考えているのか。まだ消費を落ち込ませる気なのかと思う」と憤りをあらわにした。
 豊前海域の漁業者も「不漁に加え重油は上がり、網やロープなど漁具類は軒並み高騰し金具類の値段も上がっている。東北が被災したから西日本や九州で農漁業に力を入れないといけないのに消費税増税で首をしめる。食料生産がつぶれたら国も都市部も成り立たないのがわからないだろうか」といった。
 農家は天候不順による不作に加え、ビニールハウスに使う重油、肥料や飼料高騰に直面し、小売店もレジ袋、食料品販売に使うパックやラップ類などの出費が増えている。さらに関門地域では東芝やMCSなど大企業が工場閉鎖を打ち出すなか、家のローンを抱えたまま失業するなど生活の困難が拡大し消費落ち込みは深刻だ。ここに打ち出された野田政府の「消費税率を2014年4月に8%へ引き上げ、15年10月には10%に引き上げる」という方針は到底容認できないものとして論議が渦巻いている。
 門司区の市場店主は「売れ残りで消費税が回収できないのに仕入れるたびに消費税はとられる。しかも納税が遅れればすぐ利子がつく。“財源が足りないから増税”と政府はいうが、規制緩和で大型店を増やし、小売店が税金を払えないようにしたのは一体だれか。真っ先に“改革”しないといけないのは、国民から搾って大企業は減税し、米軍にせっせと基地や金を差し出す政治の方だ」と強調した。
 この消費税増税を要求しているのはアメリカと財界である。消費税を増税すると海外輸出に依存する大企業は「外国に売った商品からは消費税が回収できない」として輸出製品に対する消費税は、庶民から徴収した税金で国が還付する仕組みだ。トヨタは年間2000億~3000億円規模の還付を受け、他の自動車産業も1000億円をこす還付を受けている。庶民にとっては消費税増税はとられるものだが、輸出企業にとっては増税すればするほど収入が増える補助金に等しい。
 さらに非正規雇用を大量に使う大企業は、正社員給与とちがってモノ扱いとなる派遣社員の報酬から消費税分5%が控除されるため、消費税率が上がれば上がるほど控除額が増える関係。消費税が上がると笑いが止まらないのが大企業でこのため経団連は消費税引き上げを執拗に要求している。
 財界以上に日本の国家財政にたかってきたのが米国でIMF(国際通貨基金)は「消費税の段階的引き上げが必要」とか「税率の15%に引き上げ」を提言してきた。そもそも日本政府が1000兆円もの借金を背負ったのも、90年代からアメリカが迫った600兆円もの内需拡大要求に従い公共投資をした結末だ。貿易黒字で得たドルは米国債の購入に当てられ、ドル安政策で円売り介入するたびに米国債を買いこみ、500兆~600兆円ともいわれる米国債をため込んでいる。これを売れば消費税増税は不要だが、アメリカは消費税増税で国民から巻き上げた資金で、さらに紙切れ同然の米国債を買わせ、日本の富を奪い尽くそうとしているのである。

大企業や富裕層は優遇 法人実効税減税等

 消費税増税の一方で打ち出されたのが大企業や富裕層への優遇措置である。大企業が払う法人税は消費税導入時にもともと45%だったのを30%に下げてきたがまだ引き下げる方向。法人実効税率はすでに5%削減が進行中で、復興増税(3年期限)で3%増税しても2%の減税。2015年以後は完全に5%減税にするもので、10年間で12兆円規模の減税策だ。また「富裕層を対象とした個人所得税の最高税率を40%から45%に引き上げる」という内容も、消費税導入前に70%だった最高税率を5%ほど元に戻すだけ。そして株・証券売買の利益と株配当の課税は20%と明記されているのに、近年は「景気対策」と称して10%に引き下げたまま。これも「2014年1月から」としてすぐ廃止せず継続している。
 増税では高齢化社会をチャンスとみて、遺産相続で控除対象になる額を5000万円から3000万円に引き下げ、遺族からむしりとる増税策も盛り込んでいる。

つづく

通りがけ さんのコメント...

つづき

若者世代にも影響甚大 中心収入と化す年金

 こうしたなかで年金支給切り捨てが進行し、若者もふくめ全世帯に影響を及ぼす問題になっている。下関市の男性店主は「知人の子が都会から帰ってきても仕事がなく親の年金をあてにしている例が多い。年金が出る偶数月の15日になると郵便局や銀行に親子で引き出す光景も見かける。年金はすでに一家の中心的な収入になっている。これを削ると若者世代にも影響が大きい」と話す。
 年金で息子や義姉の生活を補助してきた元船員男性は「年金受給額は多くても、息子は零細企業の社員で給与は月十数万円でその嫁は派遣社員。これで家賃を払い、食べ盛りの中学と高校の娘2人を育てるとなると生活が厳しい。生活できるまともな仕事がなくて若者が自立できないのが一番問題。だから税収も増えず保険料も足りなくなる。消費税を上げたり年金を下げても解決しない」と話す。大卒でも就職先がなかった息子を年金で養ってきた元鉄鋼労働者も「若者に働く場がなくて、かりにあっても非正規雇用ばかりだ。自立できる働く場を奪っていて、なにが持続可能な社会保障か。際限なく消費税を上げ続ける気か」と指摘した。
 年金支給年齢見直しは、60歳だった支給開始年齢を3年に1歳引き上げ65歳支給開始にする行程が進行中。だがこれを「2年に1歳引き上げ」とし68~70歳にまで引き上げようとしている。支給開始年齢を遅らせ掛け捨てを増やすのが狙いだ。さらに「物価スライド特例分の解消」(物価が下がったことを理由に年金支給額を12年度から3年で2・5%引き下げる)や「マクロ経済スライドの検討」(少子高齢化が進むと“世代間の公平確保”を掲げて年金支給額を引き下げる仕組み)も明記。これまで老後は年金があると信用させて働くだけ働かせて、いざ60歳になると支給しない。支給時には「物価が下がった」「少子化だから」といろいろ理由をつけて大幅に削る。歴代政府が詐欺をやった姿が浮き彫りになっている。

個別家庭に負担押つけ 介護も医療も保育も

 そして介護では「施設から在宅へ」といい、医療では「入院から在宅へ」といい、保育では「公から民へ」といって株式会社参入を促進し、全福祉分野にわたって個別家庭に「自分で世話しろ」と負担増を押しつけ、大幅な予算削減をやろうとしている。
 介護では介護報酬を引き下げて要介護度の低い特別養護老人ホーム入所者の追い出しをはかってきたが、4月からまたヘルパーの生活支援基準時間を四五分未満に短縮(今までは60分未満)して介護報酬を引き下げるもので、ヘルパーから「機械的な作業だけでは介護などできない」「ヘルパーはロボットではない。四五分間ではなにもできない」と強い反発が起きている。
 さらに老人保健施設に6カ月入所したら介護報酬を減らしたり、介護用療養病床を減らすため介護報酬を引き下げるなど、重度者も追い出す方向だ。政府は「24時間体制の巡回型介護・看護サービス」を新設し、安上がりの「在宅」にかえようとしているが、看護師も介護職員も不足している現実のなかで介護難民が増加するのは必至となっている。
 医療も診療報酬改定によって、紹介状なしで大病院を受診する場合の患者の負担料を引き上げ、医療機関への初診時の保険給付額を引き下げることを打ち出し、急性期医療も平均入院日数を九日間に短くすることが目標だ。3カ月を超える入院患者は、今も診療報酬の大幅カットで追い出される事態となっているが、さらに長期入院患者を減らし医療費を抑えることを狙っている。こうした重度要介護者の在宅介護への押しつけ、長期入院患者追い出しによる在宅看護強要は「介護・看病苦」による心中や肉親殺しという悲劇を増やす殺人行為にほかならない。
 「子ども・子育て新システム」も幼保一体化を中心とした幼稚園と保育機能の統合、受入児童数増加による待機児童解消を宣伝文句としているが、公立保育園などの補助金を大幅にカットし、株式会社などの資本参入を認めるのが柱。子どもが少ない地域では保育園や幼稚園の統廃合で通園に時間がかかるため父母の負担が増し、子どもが多い都市部では「これまで認可保育園に入れなかった子を、受け入れていた地場の認可外保育園が淘汰され預ける場がなくなったらどうするのか」と危惧が語られている。保育関係者のなかでは「今の保育体制でさえ、育児放棄、子殺しなどの悲劇が増えている。安ければいいという大型店がのりこんで地元商店街をつぶし、もうからなくなるとまた撤退するというようなことは日本の未来にかかわる保育にとって許されない」と話題にされている。生活保護も「生活保護受給者204万人、地方自治体の負担を軽減する」などと称して、「職業訓練」を受けることを要件にして生活保護の停止・廃止をおこなう改悪に乗り出している。
 こうして国民から搾り上げた使い道は大企業やアメリカへのバラマキに使われていく算段となっている。それは昨年11月に1日だけで政府・日銀が円高阻止で8兆円もの資金をばらまいたのを見ても、同時期に開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳会議で野田首相が各国のインフラ整備に2兆円規模を支援すると約束したのを見てもはっきりしている。こうした消費税増税を柱とする「税と社会保障の一体改革」は、日本国民の大収奪であるとともにTPPや対中国戦争を準備する米軍再編と結びついている。それは日本が経済的には徹底的に搾りとられ、あげくのはてはアメリカの企む対中国核戦争の戦場にされ廃虚になる道にほかならない。

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