2013年3月11日月曜日

東日本大震災から2年・・・心の傷はいつまでも残る。

道路や堤防は修復されても、心に傷を受けた人の心からは、一生、忘れ去られることがない出来事であった。
しかし直接関係のなかった人の心からは、早、2年で忘れさられようとしている。
原発事故も同様だ。マスコミなどからの報道が少なくなるにつれ、国民の関心も薄れ、知らないうちに原発の再稼働が進められようとしている。
しかし現実は、原発事故の収束の目処は立たず、今尚、放射性物質は放出されている。
こういう事故があるたびに思うのだが、インフラの復旧などは予算さえつけば時間とともに元に戻る。しかし、被害を受けた人たちの心の傷は消えることなく、何かを切っ掛けに深い悲しみや辛さに襲われることになる。
前向きになれる人もいれば、気持ちを引きずり中々、立ち直れない人もいる。
心のサポートが重要だという認識を国民が共通の認識として持つ必要があるだろう。

東日本大震災から11日で2年となる。被災地では、現在も2,600人以上が行方不明のままで、発見された遺体のうち、131人はいまだに身元が判明していない。
警察庁によると、東日本大震災による死者は、3月8日現在で1万5,881人、行方不明者は2,668人となっている。
岩手・宮城・福島の各県で発見された遺体のうち、131人の身元は、現在もわかっていない。
また、避難生活を余儀なくされている人は、2月7日現在で、およそ31万5,000人にのぼり、避難生活中に、体調の悪化や自殺などで亡くなった震災関連死も、2012年9月までに2,303人となっている。
一方、余震の状況だが、震度1以上の余震は、2月末までに9,555回観測されている。
FNNニュースより

被害の大きかった地域は高齢者世帯が多い。新たに家を新築する意欲のある人は少ないだろう。
また、それだけの資金がない世帯も多いのが実情だろう。
仮設住宅が「終の住まい」となる人たちが多く出てくるように思えてならない。
豊かな国になった日本だが貧しい人や生活に苦しむ人、心の傷を癒せない人が増えている。
本当に日本は「豊かな国」なのか?
最近、疑問に感じる時がある。

話は替わるがユーロ圏のGDPがマイナス成長に陥っているようだ。
これから先、先進諸国は、大きな経済成長が望めないと見るべきだろう。
では、どのような将来を目指すべきなのか?
人口の増加が期待できない中、「一部の富を持つ人たちのみが、更に富を増やす。」という社会構造を「富の再分配」により、国民ひとり当たり(一世帯あたりと言ってもいい)の所得を増やすという社会構造に転換させる必要がでてくるだろう。
つまり、税制や社会保障政策においても、大幅な転換を求められる時代が来るということだ。
「豊かな国」の内容が問われる時代が訪れるということである。
今までの先進諸国においては、経済が将来も発展するという前提で、社会のシステムが構築されてきた。この前提が崩れ始めた今となっては、社会のシステムも時代にあった構造に変えざるを得ないだろうというのが私の考えだ。
実際に日本の年金システムを例にとれば、経済発展が続き、人口が増加し、勤労者や自営業者の収入も伸びていた時代に、今後もそのような状況が続くであろうことを前提に作られたシステムである。
その前提が崩れかけた今、「豊かな国」とは、一体、どんな国なのか?
「物質的に豊かな国」なのか「国民の心が豊かな国なのか?」
日本人の「道徳観」や「倫理観」というようなこと、そして「民主主義とは何ぞや」ということなども含め、国民が再度、自分の心に問い直す必要があるのではないだろうか。
日本が「物質的には豊かでも、心は貧しい。」と言われないような国であってほしいと思う今日この頃である。


2013年3月6日水曜日

民主党は再生できるのか?・・・かなり難しいと思う。

総選挙前から「民主党は消滅する可能性がある。」と書いてきたが、それに近い状態になりつつあるようだ。
「民主党は再生できるのか。」と問われた場合、現状では「かなり難しい。」と答えるしかないだろう。
問題は党内と最大の支援組織である連合の問題に大別される。
先ず党内であるが、第一に今の現状を生み出したことへの反省が足りないことと、そうなった原因の追求が足らないことが挙げられる。
何故、これほどまでに国民の信頼を失ってしまったのか。そして、それは誰の責任なのか。
一言で言えば、国民との約束を破ったことが最大の原因だろう。そして、自分たちの実力を過大評価していたこと。これらに集約されるだろう。
そして、それは誰の責任なのか。この責任を曖昧にしたままでは党の再生はままならないだろう。
その責任を問うべきは誰なのか。菅前首相と野田前首相、そして仙谷氏、前原氏、岡田氏らが責任を追求される立場にある。
党内をバラバラにしてしまったのは、挙党一致体制を拒んだ彼らだ。小沢さんを排除しようとした彼らこそが民主党を消滅の危機に陥れた戦犯である。
彼らに厳しい責任を取らせることが、最初にすべきことだろう。そもそも彼らは民主党に対する愛党精神に欠けている人たちだ。自分のことしか考えない人たちだ。
自分たちの権力維持のために自民党に擦り寄り大連立を画策したのも彼らだ。では現実はどうなっているのか・・・。大連立どころか自民党の独裁体制を作るのに加担した結果になってしまった。

次に最大支援組織である連合の問題である。
これについては、いづれ細かく述べたいが、労働組合のあり方と深く関連している。簡単に言えば労働組合が権力側に擦り寄れば、労働組合としての価値が半減するということである。そもそも労働組合自体が権力組織となってしまった現状では、こちらも再生は難しいだろう。
民主党という政党が国民の側に立った政党であることが唯一、民主党という政党の存在価値を高めていたのにもかかわらず、権力に取り憑かれ権力に擦り寄った時点から民主党の衰退は始まったと見るべきだろう。

では民主党は再生できるのか?
これは、かなり難しいと思われる。海江田氏では無理だろう。細野氏でも無理だろう。
今の民主党には強いリーダーがいない。
野党をまとめ上げるほどのリーダーシップを発揮できるようなリーダーが出てこないことには、再度、政権を目指せるような政党には戻れないだろう。

今の政治状況は国民にとっても好ましい形ではない。
「期待できる野党が存在しない。」というのが現状の政治状況ではないのか。
このような状況になった原因の一つにマスコミの報道姿勢が挙げられる。
そろそろ国民も新聞やテレビなどの大手マスコミの報道を鵜呑みにしないという意識を持たないと健全なマスコミも育たないし、健全な政治状況も生まれないように思う。
政治に対する関心が薄れ、諦めにも近い政治状況が生まれつつある現状に、憂鬱な日々を過ごす今日、この頃である。




2013年3月1日金曜日

NOと言えない日本の首相・・・安倍首相が早い段階でのTPP交渉参加を表明

安倍総理の「なるべく早い段階」というのは、いつのことなのかはわからないが、どちらにしてもアメリカの要望に沿い、早期にTPP交渉に参加したいと思っているようだ。
しかし、おそらく事前協議には、1回参加できる程度で、日本の要望は、ほとんど受け入れられないと考えた方が間違いないだろう。TPPは外交交渉であり、各国が自国に有利な条約になるように交渉するわけで、自国に不利(日本に有利)な条件を、わざわざ提示するとは考えにくい。
どちらにしても、すべからずアメリカの言うとおりに進めるという「NOと言えない日本」の典型的な事例である。安倍内閣に本気で条件闘争する気があるのかも疑われる状況だ。
今回の訪米で感じられたことは、思った以上に米国の態度が冷ややかだということだ。やはり米国にとっての最大関心国は中国だということだろう。
そう考えると、今後の日米関係がどうなるかは、おおよそ想像がつきそうだ。
日本にとって外交の基軸になるのは日米関係だ。米国にとって外交の基軸になるのは米中関係だ。米国にとって日本は中国との外交交渉の為の駒でしかないということだろう。
TPPに関しても、医療、保険、金融、農業などを除けば、そんなにアメリカにメリットがあるわけではない。自動車に関しても、日本国内の自動車販売台数の減少傾向が続く中では、そんなに期待できるわけではない。今や少子高齢化、国民の可処分所得の減少が進む日本は、将来性がある市場ではなくなりつつある。
同じように、日本にとってもTPPのメリットは、ほとんどないと言っても過言ではないだろう。
現状でも、貿易収支は赤字だ。TPPで関税が自由化されれば、更に輸入が増え、貿易赤字が増える可能性が高い。それ以上に輸出が増えればいいが、日本の貿易構造の変化でそれも余り期待できそうにない。
いくら農産物の輸出を増やしても金額ベースでは微々たるものだろう。ましてや原発事故によるマイナスイメージは、そんなに簡単にぬぐい去られるものでもないだろう。
TPP=日本の国力を低下させる条約
と考えた方がいい。
いつも書いているように、日本の課題は、行き着くところ人口問題に突き当たる。
少子高齢化、人口減少、晩婚化、結婚しない人の増加、離婚の増加など課題は山積している。
政治家や官僚、評論家は問題の対処法として環境の整備を口にするが実は、これ以前の問題の方が大きいことは余り取り上げない。
「結婚したいと思わない。 子供を産みたいと思わない。 子供は一人で十分だ。」などと考える人が増加したことが問題なのだと思う。そしてこれは個々の気持ちや考え方の問題であり、環境が整備されたからといってすぐに変わるようなものではない。
勿論、経済的な理由も大きいが、それは雇用の問題であり、まずは国民が「結婚生活はいいものだ。」「家族とはいいものだ。」「子供は多い方がいい。」などと思えることが重要ではないだろうか。
その上で環境整備が必要なものは、進めていく。というのが順序だろう。
時間がかかることはわかりきっているが、この部分をないがしろにして、日本の将来を考えることはできない。
残念ながら、現状の日本は、道徳観や倫理観が欠如している人が増えているように思えてならない。
活力のある日本をどのようにして作るのか。それは個々の国民が前向きになり活力ある生活を送ることであり、それの根本は家庭にあると思う。
安倍首相は「強い日本」を造りたいようだが、その根本は国民生活にあることを理解しているのだろうか。
威勢のいい言葉ばかり安倍首相の口から聞こえてくるが、それとは裏腹に顔色が優れないのはなぜなのだろう。心の中に闇を抱かえているのでは・・・。とつい勘ぐりたくなるのは私だけであろうか。


2013年2月25日月曜日

安倍政権はアメリカの言いなり?・・・TPPはどうなるのか?

安倍首相やマスコミが、どう説明しようが「アメリカの言いなり」というのが妥当な見方だろう。
そもそもTPPは関税の例外なき撤廃と自由化が原則である。
下記の記事内にある「交渉参加に際し、一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」という文言も、よくよく聞いてみると、それに対してオバマ大統領は「確認する。」と答えたにとどまったようだ。
これも、当たり前の話で、TPPは多国間協議である。アメリカ一国で決められるものではない。
何においても、アメリカの了解が必要になるという日本側の姿勢をみれば「アメリカの言いなり」というよりも「アメリカのお伺いを立てなければ何もできない。」という表現の方が妥当なのかもしれない。協議に入る前の段階でアメリカにフリーハンドを与えたようなものである。
そもそも自民党はコメなどを例外品目扱いとすることを求めていた。それが可能であるとJAなど国内の支援者に向けて説明し必ず守ると約束してきた。しかし、そうした「公約」は反故になる可能性が高い。
自民党は、これらの団体にどう説明するのだろう。

首相、TPP交渉参加表明へ 関税の聖域、日米確認
【ワシントン=藤田直央】安倍晋三首相は22日昼(日本時間23日未明)、オバマ米大統領とホワイトハウスで会談し、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加について「あらかじめ全ての関税撤廃の約束を求められない」とする共同声明を発表した。首相は会談後の記者会見で「なるべく早い段階で決断したい」と強調。3月上旬にも交渉参加を表明する意向だ。
自民党は昨年末の衆院選で、TPPの交渉参加について「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」と公約。首相は会談でこうした事情を説明し、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品など二国間貿易上のセンシティビティー(重要項目)が存在する」と述べ、関税撤廃になじまない品目があることを指摘した。
その上で「最終的な結果は交渉で決まるもので、全ての関税撤廃をあらかじめ約束することは求められない」ことの確認を促すと、大統領は「確認する」として同意。両首脳は会談で交わされた合意内容を共同声明として発表した。(朝日新聞)


私はTPP反対派である。多国間における経済連携協定を推進しなくても二国間の経済連携協定の方が自然であり、それが本来の経済連携のあり方だと思っているからだ。
それぞれの国には文化や生活習慣の違いがあり、今回のTPPのような包括的な経済連携協定は、これらにも大きな影響を与えるからだ。

日本のGDPや税収のデータ、可処分所得の伸び率などを見る限りにおいては日本国内の経済の成長のピークは1990年だと思われる。それ以後は緩やかな下降線を辿っている。
一例を挙げてみよう。

(注)平成12年暦年基準   (出所)総務省統計局 家計調査

上のグラフからもかるように、ここ10年で見る限り 「可処分所得」・「消費支出」ともに、減少している年が多いことがわかる。
国内の経済が成長する条件の一つは、家計の可処分所得が伸び、且つそれに伴い消費支出が伸びることである。1990年までは 「可処分所得」・「消費支出」ともに、増加していた。
また、税収面で見ると、自営業者や中小企業数の減少が挙げられる。
中小の小売店や中小企業数は年々、減少している。
TPPの問題点として、このような中小の事業者の減少に拍車がかかるのではないかという懸念も挙げられる。

このように国内の家計の可処分所得、消費支出の減少傾向が続く中、輸出を増やして家計の実質所得や可処分所得や労働者数を増やそうというのがTPP参加の目的の一つではあろうが、輸出構造が大きく変化した現在では、それも余り期待できないように思える。

そもそも、アメリカ型自由主義に限界が来ているのではないかという見方が広がっている中、本来の日本、そして日本人が持っている道徳観や倫理観や家族観というものを、もう一度見直す時代にきているように思う。
TPPが、日本社会の構造や生活慣習までも変えてしまう要素を持っていることに危機感を感じる今日この頃である。





2013年2月20日水曜日

1月貿易赤字が過去最大に・・・どうなる国民生活

アベノミクスの行く末が少し見えてきたような気がする。
つまり、円安で輸出は増えるが、それ以上に輸入の増加率が高まるという現象だ。
実は、この問題はTPPの問題点を指摘した時にも述べたが、日本の輸出は完成品での輸出が減り、中間部品などの半製品の輸出比率が高くなっている。なので円安になっても輸出の伸び率が、以前ほど高くならない。逆に輸入品は原材料の比率が高いので、ストレートに輸入の伸び率に繋がる。輸出企業の現地生産比率が高くなっていることとも密接に結びついている。
これは、構造的な問題と捉えた方がいい。
且つ、輸出については金額ベースだけではなく数量ベースも注意してみる必要がある。

1月貿易赤字が過去最大に 前年同月比10%増える
2013.2.20 09:16
財務省が20日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆6294億円の赤字だった。前年同月に比べ10.0%増えた。比較可能な統計が残る1979年以降、単月として過去最大となった。
輸出は、有機化合物、自動車用部品などが増え、同6.4%増で、8カ月ぶりの増加となったものの、輸入も石油製品、液化天然ガスなどのエネルギー関連の増加が7.3%で上回った。このため、貿易赤字が拡大した。(産経ニュース)

以前にも書いたが、輸入品価格が高くなれば国民生活にも大きな影響が出てくる。
暮らしにくい世の中になりそうだ。

最近、よく思うことがある。
新聞やテレビなどで「イジメ」の問題が取り上げられているが、一連の小沢バッシングを見ていると、これこそ公共のメディアを利用した「イジメ」ではないかということである。
「小沢イジメ」と呼ぶべきなのかどうかは別として、「イジメ」を戒めるべき立場にあるマスコミや政治家が公共放送や国会などで臆面もなく堂々と「イジメ」を行っている現状では、マスコミや政治家の「イジメ」に対するスタンスに疑問を抱かざるを得ない。
介護や教育、子育ての問題などを考えるとき、「家庭」という「家族の単位」が時代とともに変わってきたことを抜きには考えられない。
高度成長時代以後、家庭という家族の単位が小さくなってきていることと、現在の社会問題が密接に繋がっていることを、改めて考える必要があるように思えてならない。
そういう中で「大人になりきれない大人」というか、道徳観や倫理観が欠如している大人が非常に増えているように思えてならない。自己中心的な考え方の人間が増えているように思えてならない。或いは「精神的に自立できていない大人」というべきなのか。
携帯電話の普及も、大きな影響を与えているように思う。確かに便利ではあるが携帯電話の弊害も真剣に考えてみる時にきているように思う。
恋は一人でもできるが、恋愛は一人ではできない。愛は二人以上いて始めて成り立つものだ。
そして、二人以上が存在すれば、そこにルールが存在するようになる。会話が生まれる。
そこには、 道徳観や倫理観、価値観などの共有できる考え方も生まれてくる。
結婚しても3組みのウチの1組が離婚する時代である。
それがいい悪いは別として、そんな時代、結婚に期待しない若者が増えれば、益々、少子化に拍車がかかるだろう。
 「大人になりきれない男性」 と 「大人になりきれない女性」が結婚してもうまくいくわけがない。
などと勝手に想像している今日この頃である。
政治が腰を据えて取り組む問題の一つは、「家庭」や「家族」の問題なのではないだろうか。



2013年2月14日木曜日

日本経済の課題・・・問題の本質はどこにあるのか?

先日のブログでトヨタ自動車を例に挙げ「日本経済が純粋な需要増による景気回復局面には至っていないので、冷静に見る必要がある。」と書いたが、もう少し詳しく書いてみたい。

◎トヨタ、連結営業益1兆1500億円=円安効果で上方修正-単体も5期ぶり黒字化へ
※記事などの内容は2013年2月5日掲載時のものです
トヨタ自動車は5日、2013年3月期通期の連結営業利益予想(米国会計基準)を従来の1兆500億円から、1兆1500億円に上方修正した。原価低減などのコスト削減に加え、外国為替市場で昨年末から進む円安が寄与する。トヨタ単体の営業損益予想も1500億円の黒字(従来予想は200億円の赤字)に修正し、5期ぶりに黒字転換すると見込む。
通期の想定為替レートは1ドル=81円(従来想定は79円)、1ユーロ=104円(同100円)と、ともに円安方向に見直した。
連結営業利益を上方修正したのは、米国での大規模リコール(回収・無償修理)をめぐる集団訴訟の和解金負担があるものの、円安効果で1400億円押し上げるため。伊地知隆彦専務は、単体の営業損益について、円安がなくても原価低減などで「100億円の黒字は達成できた」と強調した。 
(時事ドットコム)

トヨタの生産台数の推移を見ても、2011年を除けば、国内、海外とも生産台数は順調に回復してきている。
しかし、 伊地知隆彦専務が自ら述べているように、為替差益を除いた部分での営業利益は原価低減などによる部分が大きい。
特に国内販売部分においては、根本的な問題を抱かえている。
トヨタの国内販売台数の推移を見てみると下記のようになる。
(トヨタ自動車ホームページ>トヨタ自動車75年史>国内販売台数の推移から)
上のグラフを見ればわかるように、1991年以降、バブル崩壊による経済の停滞やそれに端を発する社会構造の変化などの影響を受け、長期的な漸減局面に入っている。
表現が妥当かどうかはわからないが、自動車業界全体が衰退産業化していると言えなくもない。
これには、いくつかの原因が考えられるが、日本経済が抱える問題の本質がこのグラフから、垣間見れるような気がする。
では、こうなった原因はどこにあるのかを少し考えてみたい。
①若者の車離れ(車に関する関心の低下)
②買い替え期間の長期化
③購買層の所得が伸びない。
④軽自動車のニーズが高まり、普通乗用車のニーズが減少した。
⑤車の維持費に使うお金を他の用途に使いたいと考える人たちが増えた。
などが考えられる。
これらの原因は、短期に改善されるものではない。
人口減少時代を迎え、日本の基幹産業である自動車産業が衰退期に突入していると考えるべきだろう。
これは、家電業界や住宅業界などにも当てはまる現象だ。
こうして考えていくと、日本の産業の将来はそんなに明るいものではないし、小手先の産業支援策や減税政策などで解決出来る問題でも無いように思われる。
どうしても欲しいものなら多少、無理してでも買う。
ニーズを満たすだけなら、少しでも安いものを買う。
これが庶民の感覚ではないだろうか。
物価は需要と供給の関係により変化するものであることをもう一度、認識する必要があるように感じられる今日、この頃である。


2013年2月12日火曜日

安倍内閣の支持率上昇・・・だけど、日本経済の先行き見えず

安倍内閣の支持率が上昇しているようだ。
一言で言えば「民主党政権よりマシかな。」と感じる国民が多いということだろう。
積極的な評価でないことだけは、間違いないだろう。
もう一点、挙げるとすれば、自民党に対抗できる政党が存在しないに等しいような状況に陥り、国民の選択支がなくなってしまったことが挙げられる。
バブルの支持率と言えるだろう。

円安、株高が進み、一見、日本経済が明るい方向に向かい始めたかのような錯覚を受けやすいが、実態はそんな楽観視できるような状態ではない。
わかりやすい例としてトヨタの連結決算の業績予測を挙げてみよう。営業利益の80%は為替差益によるものだ。純粋な生産や販売台数の増加によるものでない。いわゆるバブル的な利益だ。
だから雇用増にはつながりにくい。
同様に、円高の影響による株高により企業の有価証券の含み益が増加するので一部の企業では利益が増加するが、これもバブルだ。営業活動による利益ではない。
このように、今の日本経済の状況は純粋な需要増による景気回復局面にはいたっていないので、冷静に見る必要がある。
景気回復のためには、「賃金上昇(家計所得の上昇)が大きな条件になる」と一般的には言われているが、これは正確には「家計の可処分所得が上昇することが大きな条件になる。」と言うべきだろう。
いくら賃金が上昇しても、賃金上昇分以上に、物価や税金、社会保険料や電気代などの上昇を招けば実質の可処分所得は低下することになる。
今までは、家計所得の減少分をデフレでカバーしてきた側面がある。
これは、ここ十数年の日本の小売業界の動向をみればよくわかる。
いわゆる中間層と言われる、可処分所得にある程度の余裕がある所得層が減少するとともに、いわゆる100円ショップやドラッグストアー、家電量販店、家具の量販店、ユニクロに代表される衣料の量販店、低価格の飲食店チェーンなどの低価格を売り物にする業態が急速にシェアを伸ばしている。
つまり、家計の可処分所得の減少に反比例して低価格を売り物にする業態が急速にシェアを伸ばしたのである。
低価格商品に対するニーズが急速に高まったと言い換えることができるのかもしれない。
あくまで個人的な意見だが、足腰の強い景気回復を目指すには、可処分所得を増やす政策が必要になるということだ。勿論、そのためには賃金のアップや需要の創出も必要だ。雇用の増加も必要だ。しかし、それらが家計の可処分所得の増加に繋がらなければ、本格的な景気回復を望めないのではないだろうか。
政治家や役人、学者は物事を複雑に見ようとするが、もっとシンプルに見るべきではないだろうか。
「無い袖は振れない。」
それが、毎日、数百円の小遣いで我慢している多くの庶民の声だと思う。

2013年2月4日月曜日

補正予算が出てきた。・・・地方の現状

大型の補正予算が地方にも廻ってきはじめている。
知り合いの建設コンサルタントが、「かなり仕事が出てますよ。」と言っていた。
しかし、急に出てきた仕事なので地元の業者も戸惑っているようだ。
実際に土建業者の数は全国でもかなり減っている。急に仕事が増えてもすぐに対応できるかといえば、必ずしもそうではなさそうだ。
この状態がいつまで続くのかもわからず、建設業者の中でも、この機会に儲けるだけ儲けようと考える事業者と数年後の状況を考え慎重に対応しようと考えている事業者に分かれているようだ。
ただ、話を聞いていると、無理に作ったような事業がかなりあるようだ。
毎度のことだが、選挙対策用の事業なども多くあるようだ。
すべてが無駄とは言わないが、公共事業予算が選挙や政争の具に使われることに関しては、納得いかない。また、どうしても必要な事業は本来、本予算で手当すべきであろう。

我が家の周りでもいくつかの工事が始まっている。数年前に掘り起こした歩道を、また掘り起こして工事している。人通りが少ない歩道を立派な歩道に造り変えている。
「もっと、他にやらなければならいけないところがあるのでは・・・」とか「もっと緊急性の高いものに予算をつければ・・・」と思ってしまう。
国も地方自治体も、急に出てきた予算なので、じっくり使い道を考える余裕がないようだ。

話は少し横道に逸れるが、地方の山村が寂れ、人口が減少している大きな要因は、一次産業の衰退にある。
農業はもちろんだが、林業の衰退の影響が思いのほか大きいのである。
一昔前までは、農業と林業を合わせた収入で一家(2世帯ないし3世帯)が生活できた。
だから後継者も地元に残り家を継ぐことができた。
ところが、農業と林業を合わせても、一家が生活できないようになってきたので、後継者は地元に残らなくなった。これだけが原因ではないが、地方の山村地域の人口減少、高齢化、限界集落化の大きな原因の一つが、この点にあるのは間違いないだろう。
それらの地域では、以前は地元の公共事業だけで建設業者は食っていくことができた。それなりの雇用を維持することもできた。
では、現状はどうなのかというと、地元の公共事業が少ないので、他の地域へ下請けで出かけなければ食っていけないというのが実情なのである。
公共事業が少なくなったから山村が寂れたのではなく、根本的には地元の産業が衰退し、そのことにより、それらの地方自治体の財政力が低下し、更にそのことで、益々、地元の産業が衰退し、人口が減少していくという負の連鎖によるものが最大の要因だと思う。
立派な道路を造っても人口は減少していくのだ。寧ろ、それが人口の減少を助長している可能性さえ考えられる。
若い人達が地元に残りたいと希望しても、地元では生活していけないというのが現実なのである。
いくら公共事業を増やしても、この根本部分の原因が解決しないことには日本の山村部の課題は解決しない。

一例をあげたが、本来、国の予算の使い方として、この根本部分をどう解決していくかという視点からの予算配分が重要だと思うのだが、そうなっていないのが現状だろう。
多分、ここ数年で、人口数百人規模のの限界集落に立派な道路や農道が出来るかもしれない。
しかし、道路ができても人口は減り続けるだろうし、高齢化は進むだろう。
他の公共事業でも、同様なことが起こりうるだろう。
中国でスモッグが発生すると世界に影響が出る時代である。
中国の環境問題を支援することに予算を使えば日中関係も良くなり、世界の国々からも感謝されるのではないだろうか。
お金をいくら使うかではなく、どう使うかが問われる時代になっているように思えてならない。






2013年1月29日火曜日

「原発問題」から逃げる自民党・・・国民はそれでいいのか?

自民党は、国民の反対が強い「原発の再稼働問題」に参議院選挙が終わるまでは言及しないようだ。逃げていると言われてもしょうがないだろう。
「寝た子を起こしたくない。」とでも考えているのだろうか・・・。

今日は、少し違った視点で政治を考えて見たいと思う。
「何事も戻るタイミングを逃すと、戻りたくても戻れなくなることもある。」
という視点だ。
戦争がいい例だ。
アメリカが行ったベトナム戦争やイラク戦争や第二次世界大戦などにも言えることだ。
一度、戦争に突入すると止めたくても止められなくなる。戻りたくても戻れなくなる。
一国の大統領や首相などが発した言葉は重い。一度、口から発すると、中々、後戻りはできないものだ。
「自衛隊の海外派兵」も、一度、派兵の実績ができてしまうと中止したくても中止できなくなってしまう可能性が高い。
増税にも当てはまることだ。一度、増税を口に出してしまったら、それを否定することはできなくなってしまう。
政治にも、途中で立ち止まり、「戻る」という決断をする勇気が必要な時もあると思う。
そう考えると野党の役割と使命は、そんなに小さくはない。

健全な政治体制とは、どんな形を意味するのか。
権力の暴走を許さない為の健全な政治勢力の争いが必要なのではないか。
しかし、今の状態は必ずしもそうとは言い切れない状況だ。
参議院選挙で自公が過半数を獲得すると自公による「やりたい放題の政権」ができる可能性がある。
それでいいのか。
改めて国民に、それが問われることになる。

マスコミから政局報道が消え去ったようだ。
国民の政治に対する関心が薄れてきているように思える。
改めて小沢さんの存在意義を考えさせられた。
ここ数十年の日本の政局は、良い悪いは別にして、常に小沢一郎を中心に廻ってきた。
マスコミの政局報道も、小沢一郎を中心に廻ってきたと言っても過言ではないだろう。
しかし、余りにもエゲツない小沢批判、小沢排除報道を続けたことにより、政局を話題にできなくなくなった状況に陥ったようだ。
マスコミにも 「何事も戻るタイミングを逃すと、戻りたくても戻れなくなることもある。」という言葉が当てはまるようだ。
西松事件、それに続く陸山会事件報道以後、マスコミは小沢さん批判一辺倒になり、まともな報道ができなくなってしまった。政局報道も歪んだものになってしまった。
マスコミも、ここで一度立ち止まって政治、政局報道を考え直す時期にきているように思うのだが期待する方が無理かもしれない。
日刊ゲンダイの売上にも大きな影響が出ているのではないかと思う今日この頃である。

2013年1月23日水曜日

物価を上げればデフレが克服できると考えている安倍首相・・・そんな簡単なものでは無いと思う。

どうも最近の安倍首相の発言などを聞いていると、自民党は物価を上げればデフレが簡単に克服できると考えているように思えてならない。
2%の物価上昇率を目指しているようだが、この数字を達成することは容易なことではない。
前から何度も言っているように賃金の上昇を伴い、且つ家計の可処分所得が増えることにより消費が増加することに伴う物価上昇でないと逆に家計を圧迫することになり、さらなるデフレを招く恐れがある。それは企業収益の減少にも繋がる。単純な単価が上がることによる物価上昇ではなく需要の増加も伴う物価上昇でなければ本当の意味でのデフレ克服も景気回復も望めない。
さらに、現在の日本の家庭は家の中に何でも揃っている。今の耐久消費財は簡単に壊れるようなことはない。このような状況の中で新たな需要を掘り起こすことは、そんなに簡単なことではない。
且つ、日本では少子化が進展し人口減少時代に突入している。
発想の転換が必要ではないのか。

安倍首相らは物価が上昇すれば、それに伴い企業の売上もその分、何もしないでも上昇し企業収益も増加する。そうなれば自然と賃金も上昇し可処分所得も増え、それに伴い消費も増加し景気が回復するという道筋を考えているようだ。
物価を上昇させるだけで景気が回復するのなら、世界中の国がインフレ政策を取るだろう。
しかし、インフレ政策は劇薬であることを多くの国の為政者たちは理解しているから、寧ろインフレ抑制策を推し進めてきたというのが今までの世界の流れだ。

少し、難しい話をしたが、多くの家庭がギリギリの生活をしている現状では「価格」という要素は非常にウェートが高い要素だ。
数ヶ月前、10年前に1万円で買ったテレビ(ソニーの展示品のテレビを格安で買った)がブッ壊れた。電気の量販店のチラシでシャープの32型薄型テレビが36,800円で出ていたのでカミさんが買いにいったら、となりで同じ32型のパナソニックの薄型テレビが同じ36,800円で売っていたので、そちらを買った。デジタル放送への移行前に同じパナソニックの24型薄型テレビを46,800円ほどで買ったので、何だか得した気分になっていた。
最近、テレビでインターネットが見れないかと思い立ち、テレビの裏側にある端子を調べたら、2台のテレビに大きな違いがあることが分かった。
32型の方には、映像、音声端子が1ラインしかないし、デスプレイ端子もついていない。(HDMI端子はあるが)
つまり、安いのにはそれなりの理由があるわけで、32型テレビでは使える機能が24型テレビより少ないことがわかった。
しかし、よく考えてみれば、テレビやDVDを見るくらいにしか使わないのであれば、余分な機能や端子はいらない。だったら安くて画面が大きいテレビの方がいいと思った。
つまり、何が言いたいかといえば、無い袖が振れなければ(金がなければ)多少、機能が劣っていても安いものを買うだろうということだ。
貧乏人の僻みを言われればそれまでだが、物価が上がっても、お金がなければ消費者はより安いものを求めることになるだろうし、企業もそれに合わあせて、多少機能を落としても価格の安いものを出してくるのではないかと思ったからだ。
だから、物価を上げるのは政府が思うほどたやすいことではないと思う。



2013年1月21日月曜日

日本は何故、こんなにも教育にお金がかかるのか?・・・愚痴りたくなる親の心境

大学入試センター試験が終わったようだ。
受験する子供も大変だが親も大変だ。
国立大学志望の学生は、このセンター試験の結果で受験できる大学が決まる。
これから、滑り止めの私立大学を何校も受け本番に備えなければならない。
私立大学においてもセンター試験利用が増加しており、年々、利用する学生も増えているようだが、本来の趣旨と少しかけ離れ始めているように思われる。

とにかく受験だけでもお金がかかる。
大学の受験料(2010年度)
センター試験(3教科以上受験) 18,000円
センター試験(2教科以下受験) 12,000円
国公立大2次試験 17,000円 ※
私立大(一般型、文・理系) 35,000円 ※
私立大(医学系) 50,000円 ※
私立大(センター利用型) 15,000~25,000円 ※
私立大(センター利用型 医学部) 30,000~40,000円 ※
※公立大・私立大は平均的な金額です。

また、遠方の大学を受験する場合には、さらに交通費や宿泊費が必要になる。
東京私大教連のまとめによると、首都圏の私立大学を受験する場合、受験料+交通費+宿泊費の平均は、自宅通学者で20万5900円、自宅外通学者で23万9400円になるらしい。
さらに、受験費用に、家賃+敷金・礼金+生活用品費+初年度納付金を加算した「受験から入学までの費用は下記のようになるらしい。


 受験から入学までの費用

  自宅外通学                              自宅通学
受験費用 239,400円                        205,900円
家賃 61,100円
敷金・礼金 215,800円
生活用品費 302,400円
初年度給付金 1,312,146円                 1,312,146円     
合計 2,130,846円                       1,518,046円
※初年度納付金は文部科学省「平成21年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人あたり)」による。
(東京私大教連 2010年度)


我が家も息子ふたりを東京の大学に進学させたのでよくわかるが、上記くらいはかかるだろう。
1年間の授業料が国立だと54万円くらいで私立の文系だと90万円前後(学校によりさがあるが)かかるはずだ。
これに、小学校からの塾の費用や進学予備校などの費用を合わせると、結構な金額になる。
我が家のような貧乏な家庭では子供のために働いているようなもので、親は安売り店でしか買い物ができない状態だ。
「俺は誰のために働いているんだろう」とつい愚痴りたくなる。
高校の先生から、何度も呼び出しを
そして、最終的にわかったことは「本人がやる気にならなければ、どうにもならない」ということだ。

政治の世界でも同じだと思う。
「政治家が本気になって、やる気を出さないことにはどうにもならない。」
ということだと思う今日この頃である。





2013年1月18日金曜日

静かな政界・・・ネタ切れでマスコミも困惑?

最近は新聞もテレビも見ないのでよくわかないが、どうも政界は静かな様相のようだ。
自民党も参議院選までは慎重な政権運営をするつもりなのだろう。
困っているのがマスコミだろう。
自公が勝ちすぎて政局が面白くなくなった。
小沢さんを叩きまくったが、その結果、小沢さんを叩くネタがなくなり、つまらないネタで凌ぐしかなくなったようだ。
やはり小沢さんが政局に影響を与える立場にいないと政治に緊張感が無くなる。
マスコミも活気がなくなる。
良い悪いは別として、政治には緊張感が必要だ。
そして、その緊張感が国民の政治への関心を高めることに繋がる。
マスコミや自民党などは、小沢さんを「悪役」に仕立てることで政局を語ってきた。
今の現状は「悪役がいなくなったサスペンスドラマ」と言ったところか・・・。
当然、悪役のいないサスペンスドラマは面白くない。緊張感のないサスペンスドラマはサスペンスでなくなってしまう。当然、視聴率も取れない結果となる。
今の現状は、視聴者(国民が)が政治に対する関心を失いつつある状態だ。
これは、いい現象ではない。
緊張感のある政治状況では、国民の政治への関心が高まる。政策への関心度も高まる。
主役を張れるような役者が悪役を演ずることで、ドラマも緊張感が高まり面白くなる。
少し表現が妥当でなかったかもしれないが、小沢さんはマスコミなどが作り上げた悪役イメージが国民の間に浸透し余りよい印象を持たれていないところがある。しかし、本当の小沢さんは、純粋で夢を語る少年のような心を持った政治家だと思う。
本当の姿の小沢さんを知ってほしい。
それが多くの小沢支持者の思いだと思う。

自公政権は弱者に厳しい政策を推し進めようとしている。
「弱者切り捨て」を推し進めようとした小泉政権時代に一部戻ろうとしているかのように感じられる。
常々、政治とは弱い者のためにあるべきものだと考えている。
弱い人達から吸い上げることばかり考えていないで、弱い人達を減らすことを中心に考えて欲しいと願う今日この頃である。


2013年1月15日火曜日

金持ち、大企業優遇の税制改正・・・自民党は金持ち大企業を大切にしたいらしい。

自公の税制改正案が出てきてるようだが、その中にある「 孫の教育資金を非課税に 政府・自民、上限1500万円で調整 」を聞いたとき、流石に空いた口が塞がらなかった。
「 高齢者から消費が活発な現役世代への資産の移転を促し、経済活性化につなげるのが狙い 」という意図は、理解できないでもない。
しかし現行の制度でも、進学資金や授業料などは非課税扱いなので、うまく利用すれば、500万円程度は非課税で贈与できる。なぜ「 祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括して贈与した場合 」に限り一人当たりの上限を引き上げ非課税にするのかよくわからない。
この問題は、相続税と密接に繋がる。
例えば1人の孫に1500万円贈与できるとすれば、孫が3人いれば4500万円非課税で贈与出来ることになる。そのことにより祖父の相続資産が減少することになり、そのことで相続人の相続税が少なくて済む計算になる。
つまり、金持ちの家庭だけが得をするという税制改正なのである。(金のない祖父母がいる家庭では何のメリットもない。)
もう一点は親同士が一人っ子の組み合わせの場合、双方の祖父母から贈与を受ければ孫1人あたり最大3000万円の贈与が受けられるということだ。
税制改正の内容の詳細を見ていないので何とも言えないが、かなりの矛盾を含んでいるものと思われる。(格差を助長する可能性あり)
そもそも、現行でも1人あたり110万円までは贈与税は非課税である。しかし、あまり贈与が行われていないという現実を見た場合、ただ単に金持ちの相続税対策の為の税制改正ではないのか僻んでしまう貧乏人の倅に生まれた私の感想でした。

孫の教育資金を非課税に 政府・自民、上限1500万円で調整
政府・自民党は9日までに、祖父母が孫に教育資金をまとめて贈与した場合に贈与税を一定額まで非課税にする方針を固めた。
新規雇用や給与支払額を増やした企業の法人税を減税する制度も新しく設ける。11日に閣議決定する緊急経済対策に盛り込み、自民・公明両党の税制調査会が今月下旬に決定する平成25年度税制改正大綱で制度の詳細を決める。

教育費の非課税措置は、祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括して贈与した場合、1人当たり1千万~1500万円を上限に贈与税を非課税にする。
現状では、祖父母が進学費用や授業料などを必要になるたびに直接支払うのは非課税扱いだが、教育費名目であってもまとめて贈与すれば課税対象とされてきた。税負担を軽減することで、個人金融資産の約6割を保有する高齢者から消費が活発な現役世代への資産の移転を促し、経済活性化につなげるのが狙い。
一方、雇用促進税制では新規雇用だけでなく、在籍している従業員の給与や賞与を増やして人件費の総額を拡大した場合も減税対象にする。人件費増加分の1割程度を減税する方向で調整する。
現行制度では、新規雇用を一定以上増やした企業に対し、増えた雇用者数1人当たり20万円を法人税から差し引いている。ただ、この仕組みだと雇用者は増えても従業員の給与増につながらないとの指摘があり、制度を見直すことにした。 (産経BIZより抜粋) 

上記の「 一方、雇用促進税制では新規雇用だけでなく、在籍している従業員の給与や賞与を増やして人件費の総額を拡大した場合も減税対象にする。人件費増加分の1割程度を減税する方向で調整する。 」という部分も矛盾だらけだ。
従業員の給与や賞与を増やせば経費が増加し利益が減少する。そのことにより納める法人税も少なくなる。更に人件費の増加分の1割程度を減税すれば、更に納める法人税が少なくて済む計算になる。
そしてこれの最大の問題点は、利益を出している法人だけにメリットがあり、赤字で苦しんでいる中小企業等には何のメリットもないという点だ。
法人税に関して言えば租税特別措置法で一部の大企業が優遇されている。
税制全般をもっとシンプルに戻して、わかりやすくすることや優遇制度を一度全廃し、整合制のある税制に組み直すことが、最優先に行われなければならないことだと考えるのは私だけであろうか。
そもそも税金が本来持つ役割の中には所得再分配機能や格差是正機能が含まれているはずだ。もう一度、原点に帰って税制を考えるべきだと思う今日この頃である。


2013年1月12日土曜日

予算の大きさは効果と比例しない。・・・お金を使わないでも出来ることがある。

自民党が予算の大盤振舞いをしそうだ。
麻生政権時代の再来とも思える経済対策や公共事業への大型予算配分が効果がないと言うつもりはない。それなりの規模の景気対策予算は必要だと思う。そのための国債発行も仕方ないと思う。
しかし、予算を余り使わなくでもできる政策はあるはずだ。その中には波及効果の高い政策もあるはずだ。
一例をあげてみよう。
フランスでは少子化対策として基本的に企業に残業を認めさせていません。(その為の労働力不足を移民などでまかなっているという現実もあるし、そして、そのことで一部の特権階級が優雅な生活をおくることができるという現実もあるが・・・。)
日本は外国と比べ祝祭日が多いという反論もあろうかと思うが、もし日本で残業を認めなくしたらどうなるだろう。転勤を禁止したらどうなるだろう。(極論と言われるかもしれないが・・・)
おそらく企業幹部や労働組合から大きな反発を招くだろう。
しかし、これを別の面からみれば国家規模でのワークシェアリングということもできる。
日本では派遣・期間従業員や下請け工が安い賃金で働いてくれるから、大企業正社員は長期の夏休みや年末年始休暇が取れて、海外旅行を楽しめるのが現実だ。
この構造を少しでも変えていかないことには、雇用と労働者の所得の不均衡は改善されない。
残業がなくなれば、その分を補う労働力が必要になり雇用が増える。転勤がなくなれば、現地での雇用が増える。

何よりも、家庭生活の面で大きな変化が生まれます。
フレックスタイム制と組み合わせれば共稼ぎ夫婦でも子育ての環境が改善されます。
夜、家族で過ごす時間が増えるので、会話も増え、夫婦が一緒にいる時間も増えるので●●●に励む機会も増えます。少子化対策になるかもしれません。
転勤がなくなれば、夫婦が離れて暮らすこともなくなり、離婚が減るかもしれません。
マイナス面も数多くあるかもしれませんが、メリットも数多くあるように思えます。
このように、予算を使わなくても雇用や少子化対策になる政策はあるように思えます。
今までの延長線上の考え方では社会構造は変わりません。根本的な問題が解決するようには思えません。
残業をなくせば労働の質が高まる可能性も考えられます。新しく生まれた時間を勉強や趣味の時間に使うことも可能になります。本人次第ではありますが・・・。
何より、夫婦や子供と一緒にいる時間が増えることにより生活に変化が出ます。(必ずしもいい変化ばかりでないと思うが・・・)
公共事業のあり方においても同様だと思う。
道路や橋や建物などに予算配分する今までの公共事業のあり方から、広い意味で国民の生活を豊かに(この豊かさの部分の価値観を変える必要がある。)する公共事業に転換させることも考えるべきだろう。(勿論、インフラなどへの必要な投資は続けるべきだが・・・)

と考えている今日この頃です。





2013年1月10日木曜日

財源は全て借金?・・・民主党政権時代には財源は?財源は?と言っていなかったっけ

民主党政権時代に、子ども手当などの政策を批判する口実の第一に財源の問題を取り上げていたのが自民党だ。事あるごとに「財源はどこにあるの?」と大半の議員が口癖のよう民主党を批判していたことを覚えている人も多いことだろう。
ところが政権を奪還した途端に「財源は全て借金で・・・」と言い出したようだ。
誰が考えてもわかるように200兆円もの公共事業費が自前で賄えるはずもなく、かといって無駄の削減に積極的に取り組む姿勢も見られない政権では、借金するしか方法はない。
そもそも消費税増税は、財政再建の為だったはずだし使途は社会保障費に当てるという話だったはずだが、それもどこかに行ってしまったようだ。
これだから「政治家は信用できない。」と言われるのだ。
「財源はどこから捻出するの?」と今度は自民党の議員のみなさんに聞いてみたい。
「財政再建の話はどこへ行ったんですか?」
「赤字国債の発行を抑えるという話はどこへ行ったんですか?」
と自民党の議員のみなさんに聞いてみたい。
ということで自民党の批判を少々・・・。

対する民主党だが、影が薄くなったというか存在しているのかどうかもわからないような状況にあるようだ。
与党ボケから、まだ醒めやらずというところか・・・。
野党としての存在価値を示してもらいたいものだ。

私の実家は700軒ほどしか存在しない山村部にある。
最近、となりの村までいく立派な長いトンネルができた。
聞いた話では、高規格の広域農道延長事業によるものらしい。詳しいことはわからないが立派なトンネルだ。
実家からの帰りに通ってみたがトンネルを抜けてびっくりした。出口は山の中腹にあり、そこから県道までは曲がりくねった道を標高差で数百mくらい降らなければならなかった。
「雪が積もったらどうするのだろう」とか「一日何台の車が通るのだろう」とか「トンネル工事にいくら掛かったのだろう」とか「取り付け道路だけでも大変な予算が使われたに違いない」とか、色々なことを考えながらトンネルをくぐり抜けた。
確かに便利にはなったかもしれないが、となり村まで行く別の道がないわけではない。15分ぐらい余分に時間をかければ行くことができる。
「こんなトンネルを作る予算があるのなら、緊急性の高い他の事業に使えばいいのに・・・。」
と思った。
多分、このような事業がこれから日本全国で行われるのだろう。
「政治家の為の事業」と呼べるような事業が増える予感がする。
何故か、トンネルをくぐり抜けながら納得できない気持ちにさせられた。



2013年1月9日水曜日

増税と値上げラッシュがスタート・・・どうなる今年の日本

今年最初のブログになります。
本年も宜しくお願いします。
今年の正月は新聞も読まずテレビもほとんど見ないで過ごしました。
政治に関する記事や情報を見たくないという思いが心のどこかにあるようです。
ということで、今年は経済に関することを中心に書きたいと思っています。

復興増税の所得税分が1月1日からスタートしました。住民税は6月スタートです。
円安の影響でガソリン代が値上がりしています。当然、電気料金や石油製品の価格も値上がりすることになるでしょう。
世界経済が停滞する中で、日本では円安、株高という現象が起きています。
一時的なものなのか。それとも今後、この動きが加速するのか。 今後は世界経済の動向に注意する必要があるでしょう。
世界経済が停滞すれば日本からの輸出は減少します。円安効果も相殺されます。
原材料などは円安で値上がりします。
当然、輸出企業の業績も伸びません。
世界経済の影響は、日本のような中間部品や製造機器などの輸出比率の高い国においては直接的ではなく間接的に影響が出てきます。
ヨーロッパの景気が悪くなれば、ヨーロッパへの輸出額の多い中国などの経済に影響が出ます。その影響が中国などへの輸出比率が高い日本の経済に影響を与えます。
このように、グローバル化した経済の元では、経済圏の景気の動向が直接的な形での影響と間接的な形での影響とに分かれて日本経済に波及してきます。
リーマンショックの影響を日本政府が過小評価していたのは、この点を考慮していなかったからです。
円安や株高の要因の一つに金融緩和政策に対する期待が挙げられているようですが、量的緩和がどれだけ効果があるのは未知数です。逆に効果が高ければ、その後に金利が上昇する可能性を秘めています。
どんな政策にも良い面と悪い面があります。それをうまくコントロール出来るかどうかが一番大切なポイントだと思います。

自民党が政権を奪還しましたが、スタートは慎重な姿勢で安全運転を目指しているようです。
日本以上にアメリカ政府の財政事情は厳しい状況です。
日本に対するアメリカからの要求が強くなることが懸念されます。

社会保障にしても今後の国内経済においても、根本にある一番大きな課題は人口問題です。
少子化がもたらす影響は思いのほか大きいものです。
日本が国をあげて最優先に取り組むべき問題は少子化対策です。
人口が減少すれば、国内経済の規模も縮小します。
社会保障の為の原資も賄えなくなります。
本腰をいれて少子化対策に取り組んで欲しいと願う今日この頃です。


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