自公の税制改正案が出てきてるようだが、その中にある「
孫の教育資金を非課税に 政府・自民、上限1500万円で調整
」を聞いたとき、流石に空いた口が塞がらなかった。
「
高齢者から消費が活発な現役世代への資産の移転を促し、経済活性化につなげるのが狙い
」という意図は、理解できないでもない。
しかし現行の制度でも、進学資金や授業料などは非課税扱いなので、うまく利用すれば、500万円程度は非課税で贈与できる。なぜ「
祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括して贈与した場合
」に限り一人当たりの上限を引き上げ非課税にするのかよくわからない。
この問題は、相続税と密接に繋がる。
例えば1人の孫に1500万円贈与できるとすれば、孫が3人いれば4500万円非課税で贈与出来ることになる。そのことにより祖父の相続資産が減少することになり、そのことで相続人の相続税が少なくて済む計算になる。
つまり、金持ちの家庭だけが得をするという税制改正なのである。(金のない祖父母がいる家庭では何のメリットもない。)
もう一点は親同士が一人っ子の組み合わせの場合、双方の祖父母から贈与を受ければ孫1人あたり最大3000万円の贈与が受けられるということだ。
税制改正の内容の詳細を見ていないので何とも言えないが、かなりの矛盾を含んでいるものと思われる。(格差を助長する可能性あり)
そもそも、現行でも1人あたり110万円までは贈与税は非課税である。しかし、あまり贈与が行われていないという現実を見た場合、ただ単に金持ちの相続税対策の為の税制改正ではないのか僻んでしまう貧乏人の倅に生まれた私の感想でした。
孫の教育資金を非課税に 政府・自民、上限1500万円で調整
政府・自民党は9日までに、祖父母が孫に教育資金をまとめて贈与した場合に贈与税を一定額まで非課税にする方針を固めた。
新規雇用や給与支払額を増やした企業の法人税を減税する制度も新しく設ける。11日に閣議決定する緊急経済対策に盛り込み、自民・公明両党の税制調査会が今月下旬に決定する平成25年度税制改正大綱で制度の詳細を決める。
教育費の非課税措置は、祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括して贈与した場合、1人当たり1千万~1500万円を上限に贈与税を非課税にする。
現状では、祖父母が進学費用や授業料などを必要になるたびに直接支払うのは非課税扱いだが、教育費名目であってもまとめて贈与すれば課税対象とされてきた。税負担を軽減することで、個人金融資産の約6割を保有する高齢者から消費が活発な現役世代への資産の移転を促し、経済活性化につなげるのが狙い。
一方、雇用促進税制では新規雇用だけでなく、在籍している従業員の給与や賞与を増やして人件費の総額を拡大した場合も減税対象にする。人件費増加分の1割程度を減税する方向で調整する。
現行制度では、新規雇用を一定以上増やした企業に対し、増えた雇用者数1人当たり20万円を法人税から差し引いている。ただ、この仕組みだと雇用者は増えても従業員の給与増につながらないとの指摘があり、制度を見直すことにした。
(産経BIZより抜粋)
上記の「
一方、雇用促進税制では新規雇用だけでなく、在籍している従業員の給与や賞与を増やして人件費の総額を拡大した場合も減税対象にする。人件費増加分の1割程度を減税する方向で調整する。
」という部分も矛盾だらけだ。
従業員の給与や賞与を増やせば経費が増加し利益が減少する。そのことにより納める法人税も少なくなる。更に人件費の増加分の1割程度を減税すれば、更に納める法人税が少なくて済む計算になる。
そしてこれの最大の問題点は、利益を出している法人だけにメリットがあり、赤字で苦しんでいる中小企業等には何のメリットもないという点だ。
法人税に関して言えば租税特別措置法で一部の大企業が優遇されている。
税制全般をもっとシンプルに戻して、わかりやすくすることや優遇制度を一度全廃し、整合制のある税制に組み直すことが、最優先に行われなければならないことだと考えるのは私だけであろうか。
そもそも税金が本来持つ役割の中には所得再分配機能や格差是正機能が含まれているはずだ。もう一度、原点に帰って税制を考えるべきだと思う今日この頃である。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2013年1月15日火曜日
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