小沢さんの政局の読みは鋭い。
野田首相の内閣改造は党内に新たな火種をまいたようだ。鹿野グループからの入閣がゼロであったことから、彼らの怒りを買っているようだ。
最近の党執行部や国対の動きや発言を見る限りにおいて感じることは、野田首相の意気込みとは逆に「やる気の無さ」が感じられる。
「笛吹けど兵踊らず」という感じだ。「首相に言われたから、とりあえずやるか~」という感じだ。
これでは、野党との折衝もうまく進まないだろう。自民党が民主党のやる気を疑っているのも、こんなところに原因があるのかもしれない。
いい例ではないが、戦争をやる場合、一番重要なのは「大義」である。「大義」がなければ兵の士気は高まらない。
「この時期に消費税の大増税をやる大義は何なのか?」
多くの議員が疑問を持ち始めたのではないか?
ヨーロッパの財政・金融・経済危機、アメリカの景気後退懸念、新興国の経済成長率の鈍化、世界同時株安、円高等々、社会や経済を取り巻く環境は厳しさを増すばかりだ。
こんな状況下において経済政策は置き去りにし、消費税増税だけに突き進むことのどこに「大義」が見いだせるのか?
「原発の再稼働」についても同様で、党内の半数近くが反対あるいは慎重派である。
民主党内は消費税だけに限らず、多くの課題において党内の意見が2分されている。
国民の声を無視し党内議論も軽視し特定の議員だけで物事を進めていく党内プロセスに問題があることに一部の議員達が気づき始めた。
そして、その独善的に決められ進められてきたことが、ことごとく国民の不信を買い内閣支持率や政党支持率を下げ、それが所属議員の選挙区の支持者からも厳しい目で見られることにつながり、更には支持者離れにつながってきていることにようやく気づき始めた。
選挙が近付けば近付くほど、そういう思いを抱く議員は増えるだろう。
◎自民と連携「談合」
「否決で内閣総辞職」=小沢氏、法案賛成せず
民主党の小沢一郎元代表は3日午後、共同通信の単独インタビューに応じ、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の成立に向け自民党との連携に踏み出した野田佳彦首相の姿勢について「無原則に大増税を強行しようとするなら、それは談合であって、国民の理解を得られない」と述べた。法案が衆院で採決される場合は賛成しない考えを明言。自民党の協力も得られずに法案は衆院で否決され、野田内閣が総辞職に追い込まれるとの見方を示した。
小沢氏は野田首相との会談直後にインタビューに応じた。自民党との協調路線を加速する首相を強くけん制した形だ。
増税法案の修正協議に関し「自民党も全部賛成でまとまることはないと思うが、自民党を賛成させて修正案を無理やり通そうとするのは野合、談合とみられて、国民の理解は得られない」と指摘した。
小沢氏は法案反対の理由について「これでは一体改革ではなく、純粋な大増税だ。消費大増税の前に国民との約束を実行すべきだ」と強調。増税の前提として中央集権から地域主権への転換、社会保障改革、経済再生の3条件を挙げた。
その上で小沢グループが衆院で約90人を占めていることを念頭に「いま採決したら、増税に反対する議員が党内外で増えているので、法案は否決され、野田内閣は総辞職だ。(造反議員の)処分どころではなく、首相が辞めなければいけなくなる」とした。
同時に、「そうならないよう首相や民主党執行部は知恵を出さないといけない。三方四方が丸く収まる案を出すのが首相や執行部の役割だ」と述べ、党分裂の事態に陥らないよう対処すべきだとの考えを示した。
次期衆院選に関し「いま選挙すれば民主党は惨敗だ。消費税増税が現実味を帯びてきたので反対論が増えた。国民の8、9割が反対だ」と述べた。
(共同通信)
小沢さんが言うように
「いま採決したら、増税に反対する議員が党内外で増えているので、法案は否決され、野田内閣は総辞職だ。(造反議員の)処分どころではなく、首相が辞めなければいけなくなる」
というのは、非常に的確な分析だ。
そして
「そうならないよう首相や民主党執行部は知恵を出さないといけない。三方四方が丸く収まる案を出すのが首相や執行部の役割だ」
というのが党内の中間派などの意見を代弁したものだ。
小沢さんは個人の意見を述べているのではなく、党内の中間派の意見なども考慮しながら発言している。ここが他の政治家と大きく違う点である。
簡単にいえば、
「自民党と無原則に大増税を強行しようとするなら、それは談合であって、国民の理解を得られないし党内の理解も得られませんよ!」
「それでも強引に法案を採決しようとすれば、貴方がやめることになりますよ!それでもいいんですか?」
と野田首相に会談で伝えたのだろう。
つまり、強引に自民党と連携し消費税の増税法案の採決に突き進めば、野田政権だけでなく民主党自体が崩壊する可能性をも示唆したのだろう。
このことの意味を、どれだけの民主党議員が理解できるかが大きな鍵になるだろう。
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