陸山会事件の裁判の様子をネットの記事等で見たが水谷建設幹部の証言のいい加減さに開いた口がふさがらなかった。
検察のシナリオ通りの供述で、贈賄容疑が時効になっていることをこれ幸いに言いたい放題である。
しかし、そのシナリオ自体に無理がある。
まず、あまりにも幹部の証言の辻褄が合いすぎていることである。
よほど打ち合わせをするか、シナリオに沿った供述でないかぎり、こんなに辻褄が合うはずが無いし、鮮明に記憶が戻るはずが無い。
一番のシナリオの矛盾が、3億数千万円の仮払金を裏献金の原資にしたとの証言である。
仮払金は表の金である。
仮払金というのは、いつかは清算しなければならない仮勘定科目である。
通常、仮払金の処理は清算時、下記のような仕訳になる。
借方 貸方
交際費 10000 仮払金 20000
交通費 5000
現金 5000
というように、いつかは清算し0円にしなければならない。
よって、裏政治献金であろうとも、いつかは表で処理をしなければならない。
税務署は仮払金については厳しい見方をする。
もし仮払金を長期に処理しない場合は通常、渡した人間に対しての(この場合は役員なので)認定賞与と見做す。
この場合は、役員に対し所得税が課税される。
同様に会社に対しても経費として認定されないので法人税が課税される。
自分に所得税がかけられるような処理を進んでやるだろうか?(一銭の得にもならないし、所得税数千万円が持ち出しになる。)
考えられるのは別のところで裏金を作り現金で戻すということだが、こんなことをすれば税務署にすぐにバレてしまう。
仮払金という表の金で裏献金を支払うということ自体に、そもそも無理がありシナリオを書いた人間に経理や税務の知識が無いことは明白だ。
一般の会社の経理担当者クラスなら誰でもわかることだ。
絶対にこんな処理はやらないし、認めない。
検察の中にいる三文作家がこのシナリオを書いたのだろうが、これでは観客に馬鹿にされ誰も見に来なくなるだろう。
通常、仮払金に多額の金額を計上する場合、考えられるのは粉飾決算である。
本来、その期に経費(損益科目)として計上すべきものを仮払金(資産科目)で処理することで利益を確保する(赤字を出さないため)場合などが考えられる。
どちらにしても、たまたま決算書に多額の仮払金があったことを利用し、その場しのぎの架空のシナリオを書いたと考えるのが妥当であろう。
土地購入に関する支払いと登記時期のズレを無理やり政治資金規正法違反の「虚偽記載」にしたことだけでは検察のメンツが立たなくなったため、起訴に至った経緯のアリバイをつくるためだけの証人喚問であり、本来は必要のない証人喚問である。
まるで贈収賄事件の裁判のような法廷での証言を聞いていて、改めて司法の劣化と官僚の保身体質を感じられずにはいられない。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2011年5月18日水曜日
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