諸外国の場合、新しく政権を樹立する場合、直近の政権の責任を明確にした上で人事や政策の見直しを行うのが常識だ。
しかし野田政権の場合、それが感じられない。
最低でも菅政権における政権運営と震災対応、原発事故対応に対する責任を明確にする必要があった。
当然のことながら代表選の最大の焦点も、そこにあったはずだが殆どスルーされてしまった。
菅首相をはじめ、政権の閣僚を務めたメンバーは当然、その責任を共有しなければならない。
党運営で言えば、参議院選挙での敗戦、各種地方選挙での連戦連敗の責任。稚拙な国会運営と党運営における数々の失敗の責任。これらの責任を明確にしなければならなかったはずだ。
これらの責任を明確にし当事者が責任を取ることにより、はじめて組織は成り立つ。
『信賞必罰』こそが、組織運営の重要なポイントでなければならない。
ところが、民主党という政党は不思議な政党でこの政党の辞書には『責任』とか『反省』という言葉が載っていないようだ。
前政権で、内閣の要の役職である官房長官を務めた枝野クンが、よりにもよって「経済産業大臣」に1ヶ月もたたないうちに返り咲いた。
要請するほうもアホだが、受けるほうもアホだ。
原発事故初期において常に楽観的な発言を続け責任逃れの「直ちに・・・・」発言を連発し、多くの国民を無駄に放射能被爆させた責任はどこに行ってしまったのでしょうネ・・・枝野クン。
そもそも、野田首相自身が財務副大臣、財務大臣として円高対策や景気対策などで無為無策であったことを反省してもらわなくてはいけない。
菅、仙谷、前原、枝野、岡田、福山、玄葉、安住、小宮山氏らは鳩山政権では「面従背反」し菅政権では、「小沢排除」にばかり注力し党運営や政権運営の足を引っ張ってきた。
その結果、党内は2極分化し支持率は最低ラインまで低下し政権運営はつまずき、震災復興は遅れ原発事故対応も二転三転し、今なお進行中だ。
彼らは反省し責任を取って暫くは静かにしているのが筋というものだ。
話は変わるが、ヨーロッパが大変な状況になりつつある。
ギリシャの扱いについてはエコノミストの間でも大きく2つに意見がわかれている。
ギリシャやイタリア、スペインのみならずフランスも怪しくなってきている。
イギリスも傍観の立場をとっているが国内は危機的状況にある。
世界経済が収縮し始めている。
ユーロ諸国が財政危機から「歳出削減」を強いられている状況下では政府による景気対策が期待できないわけで、民間の力に頼らざるを得ないわけだが、失業率の増加や貧困層の増加に見られるように民間の活力も低下している状況だ。
前にも、このブログで書いたように、こういう状況下では「保護主義」が台頭してくるのが過去の歴史である。
実際にTPPなどの自由貿易協定の動きとは正反対の関税率アップの動きが一部の新興国などで見られはじめている。
現在は、ドル安だがユーロ安が進みドル高傾向が強まり同時に円安も進んだ場合には、アメリカの政策が大きく変わる可能性が高い。
たとえば円が1ドル120円前後まで円安になれば、単純計算でアメリカに対する輸出額は円換算で1.6倍になる。(黙っていても輸出による営業利益が輸出額の60%も増える。)
逆にアメリカ側から見た場合、今まで100ドルで輸入していたものが65ドルで輸入できることになる。且つTPPで関税がゼロになれば60ドルを切る価格で輸入されることになる。
こうなると、日本本国及び中国経由等での日本製品の輸入が急増するばかりでなく、ユーロ安によりヨーロッパからの輸入も急増することになる。
アメリカの製造業は壊滅的な影響を受けることになり、且つ貿易収支の赤字が大幅に増加することになる。
そうなれば、日本の製造業は息を吹き返し好況になり税収が増え、デフレからも脱却できるだろう。
逆な見方をすれば、今のアメリカはドル安政策を続け輸出を増やすことで国内の製造業を守り、輸入の増加を抑えることで国内産業を守っていると見るべきだろう。ドル安に支えられた脆い基盤の上で国内景気の維持政策を続けているということである。(これも一種の保護主義政策)
だから、日本の円高は放置し協調介入にも協力しない。それはアメリカばかりでなくヨーロッパにおいても同様なことが言える。(実際にリーマンショック以降、円はユーロに対しドル以上に高くなっている。)
ユーロに対し円安が進めば、ヨーロッパ市場への日本製品の輸出は伸びる。 そうなれば、日本の製造業は息を吹き返し好況になり税収が増え、デフレからも脱却できるだろう。
たとえばの話をしたが、実際にユーロ安が続き、同時に円安も進み1ドルが100円を越すレベルまで円安が進んだ場合、アメリカ国内から保護主義的な政策を求める声が上がらないとは言い切れない。
このように、為替相場は、その国の経済政策に大きな影響を与える。
上記の例には中国などの新興国の通貨との関係は考慮していないが、少なくとも中国の元は上がることはあっても下がることはないだろう。(元と円の関係では円安傾向に向かうと考えられる。)
では、円安に誘導するためには、どうしたらいいのか?
アメリカの言うことを聞かないことである。アメリカの言う逆のことをやればいい。
「増税」「財政再建」「緊縮財政」「財政規律の厳守」「TPP推進」などアメリカが日本に求めている金融財政・経済政策と逆のことをやればいい。
円安にするということは円の価値を下げるということである。
国債を発行し、減税し、国内の景気対策や産業振興政策をバンバン実施し、通貨の供給量を大幅に増やし、国の借金をもっと増やすことである。
要するに円への信任を下げ通貨の供給量を大幅に増やしてやればいい。
国債は殆ど国内で消化できるし、円安で輸出が増えれば景気がよくなり税収も増える。円安で輸入品の価格が上昇し、国産品の価格競争力は上がり、国内産業も息を吹き返す。国民の所得も増え、税収も増える。
今述べたことは極論と言われてもしょうがない部分もあるが、実は日本の財政再建への一番の近道は『円安誘導政策』ではないかという提案である。
そしてこれは先ほども述べたように、一種の国内産業の保護政策でもあり、FTA、EPA、TPPなどの産業通商条約を進める場合において、もっともメリットを享受できる政策でもある。
いくら関税がゼロになっても円高になれば、輸出における日本のメリットは何もなく、逆に輸入品は円高と関税撤廃で急激に増加し、国内産業は壊滅的な影響を受ける可能性がある。
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