2010年7月17日土曜日

アメリカ経済の動向・・・悲観論と楽観論

アメリカ経済の今後についてはアメリカ国内の学者・エコノミストでも楽観論と悲観論に分かれている。
日本においても同様である。
悲観論の主流になりつつあるのが、デフレへの懸念である。日本のように一度デフレに落ち込むと、そこから立ち上がることは、容易なことではない。その傾向は、いくつかの指標に現れつつある。
私が特に懸念するのは、40近い州が財政破綻の危機にあり、連邦政府も財政赤字に苦しんでいる現状の中、聖域である軍事費(予算の約半分)の削減を求める声などが議会から起き始めていることである。それほどまでにアメリカの公的部分は痛んでおり、公共事業をはじめとする公的な支出が削減されれば、経済が縮小均衡に向かい始める傾向が強くなることは間違いなく、日本と同じようなデフレ状態に落ち込む危険性は低くない。
もう一つが、リーマンショック以後の財政出動効果の息切れであり、高止まりの失業率である。
楽観論に関しての中心となるのは「企業業績の急激な回復」である。

アメリカにヨーロッパや日本などの財政危機に関わっている余裕があるのか?
自国の財政問題に力を注がざるを得ない状況であり、足場の弱い議会対策を含め、オバマ政権にとっても課題は多い。さらに懸念をあげるとすればアメリカ国債の動向である。国債の売り圧力が高まる懸念が高い。

翻って、日本に与える影響を少し予想してみよう。
①グアム移転費用等の日本への負担増額要求
②アメリカ国債の購入圧力
が高まることが予想される。

円高や中国などの日本国債の買い増しなどを見る限りにおいて、投資資金の避難場所として日本が注目されているようだ。
世界経済において、日本の信用力はまだまだ高いとみて間違いない。(当面、財政破綻するとは考えられていない。)
また、中国・インド・ベトナム・バングラディシュなど「世界の工場」と言われる地域を近くに抱かえ、高い技術力を持つ工作機械等において日本は優位な立場にあり、貿易収支が黒字であることからわかるように、潜在的成長力はまだまだ高いと考えられる。
国内においては「デフレ脱却」、国外においては「高い技術力を基にした高付加価値の商品」や部品だけではなく、ソフト面まで含めた総合的な商品・サービスの提供を目指すことで外需の底上げを図ることである。

政治における「総合的な経済政策(国内・国外を問わず)」が今ほど重要なときはなく、政治の役割も大きくなってきている。
この点において、過去から現在まで、政府の取り組みは力不足であり、強力なリーダーシップが求められる。
また企業においても、自社や経営者の利益最優先ではなく、ステークホルダーや社会への貢献をもっと重要視すべき時代であることを認識すべきである。
しっかりした経済政策とそれによる自律的な企業活動が活発化すれば、財政問題もある一定の方向性がみえてくるはずである。歳入をいかに増やすかは増税だけが選択肢ではない。日本の国力を底上げしていくためは、増税に頼らない道をさがすことも非常に重要と考える。
安易な間接税増税は、公的な部分の支出と無駄を増大させる危険性さえある。(ギリシャはこれの典型である。公務員が異常に多い。)

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