2011年4月2日土曜日

東日本大震災が日本経済に与える影響(3)・・・日本全体が血行障害に陥る危機

菅首相及び各大臣や民主党執行部、国会議員や原子力の専門家と呼ばれる人達は、日本全体がどのような経済状況に陥ろうとしているのか理解しているのだろうか。
震災地や原発事故ばかりに目がいき、日本全体を考えるだけの思考能力が停止しているように感じられてならない。

今の状況を人間にたとえるならば、大事故に遭遇し体の一部が大怪我をし大量に出血している状態だ。
至急に輸血が必要な状況だ。
輸血はケガの部分だけに必要なわけではなく、ケガの部分からの出血で体全体の血液の量が不足する事に対して行うものだ。
では、体全体の血液の量が不足するとどうなるのか?
人間の体には太い血管の他に無数の毛細血管がある。
血液が体全体に行き渡らなくなることにより体のアチラコチラで血行障害が発生する。

今の政府や専門家の話を聞いている限りにおいては、余りにも震災や原発事故に偏った発言が多く、対策にも日本全体を見た視点が欠けているように思えてならない。

大怪我の部分に優先的に血液を送ろうという意見が多いようだが、その結果、体全体に送られる血液の量が不足し、先ほど述べたような血行障害がアチラコチラで発生する可能性が高い。
外部に流れでた血液の補充は、体内の血液ではなく他からの輸血で補わなければならない。

でないと日本のアチラコチラで血行障害が起こり、日本経済がグショグショになってしまう可能性も考えられる。
一説では原発事故が長引けば、日本のGDPが3%下がるとさえ言われている。
この3%という数字がいかに大きいものかを真剣に考える必要がある。
極端な表現だが、日本の企業の33分の1が消えてなくなる計算になる。
当然のことであるが、それは法人税の減収や雇用の減少、給料の減少に伴う所得税の減収や生活保護等の増加による社会福祉予算の増大につながる。
国の税収は減少するので予算における税収分の見積が大きく、くるうことになる。

こんな時こそ日本全体に目配せし適切な対応をすることがより重要になる。
その司令塔となるべき経済産業大臣が原発事故に掛かり切りである事自体がそもそもおかしいのである。

「子ども手当」にしろ「高速道路の無料化」にしろ、こんな時だからこそ国民の生活を下支えし、あるいは個人消費を下支えするために必要であると考える。
これらの予算を震災対策に振り替えることは、日本全体でみれば血液が全体に行き渡らなくなり血行障害を多発させることにつながり、国力を低下させることになる。

円安で輸出が増えるという意見もあるが、あまり期待しない方がいいと思う。
円高でもそんなに輸出が落ち込まなかったということは、円安でもそんなに輸出が増えることはないと考える方が妥当ではないのだろうか。

復興需要は確かに大きなものになるだろうが経済に貢献し始めるには、少し時間がかかるだろう。なにより原発事故が収束しないことには、本格的な復興計画が立てられないのではないだろうか。
財源問題が絡んでくる中、原発事故の処理や補償でどれほどの資金が必要かが復興計画の規模にも影響する。
原発事故問題を思い切って切り離して考えるぐらいの大胆な手法を取れるかどうかが、早期の復興のポイントになるかもしれない。

海外のエコノミストの一部からは上記のような悲観的な見方も出はじめている。
放射能の安全基準値においても同様な事がいえる。
国内だけの視点で安全基準値を緩和しているが海外からは、どのように見られるのだろう。
「自分たちに都合のいいように基準値を変更する信用できない国」と捉えられるのではないか。
国際基準を順守することが(国際基準が妥当どうかは別として)まずは大切ではないのか。
日本は、輸入食品等に対し厳しい基準を適用してきた。今回の処置が今後に大きな禍根を残さないことを祈るばかりである。

逆にこんな時だからこそ厳しい基準を維持することが、国際社会からの信頼につながるという視点が政府にはないのだろうか。

震災対策や原発事故対応も重要だが日本全体の経済や雇用などに対する影響をいかに少なくするかという視点も重要であると私は考える。

如何せん、「原子力に大変お詳しい」菅首相を始め現政権には実体経済に対する知識や見識をお持ちの方が少ないように思えてならない。

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