2011年9月24日土曜日

日本の財政を考える(2)・・・消費税増税と経済への影響

財務省や財務省べったりの政治家は、「財政再建」や「赤字国債残高」の問題をクローズアップし増税の必要性を説くが、経済への影響については、ほとんどといってもいいほど語らない。都合の悪いことは語らないという官僚の特性をよく表している。

具体的に消費税をアップした場合の経済への影響を具体的な例をあげて説明してみよう。
3000万円の住宅を購入した場合(土地には消費税はかからない)
①消費税5%(現状)・・・消費税額 150万円
現状で3000万円の住宅を購入した場合150万円の消費税を払い、且つ不動産取得税(標準4%・・・現在は軽減処置で3%)を払わなければならない。
②消費税を5%上げて10%にした場合・・・消費税額 300万円
となる。
財務省は将来的に10%を、更に15%に上げることは間違いない。(今のまま何もしなければ15%でも足りなくなるだろう。)
③消費税を15%に上げた場合・・・消費税額 450万円
にもなる。それに不動産取得税を足せば、トータルで550万円近い税金を払うことになる。

これを300万円の自動車を購入した場合に当てはめるには、そのまま一桁下げて計算すればいい。
300万円の車を購入した場合
消費税が 5%の場合・・・消費税額  15万円
消費税を10%の場合・・・消費税額  30万円
消費税を15%の場合・・・消費税額  45万円
となる。
更に取得税や重量税も別途払わなければならない。
日本の場合、いろいろなところで2重課税に近い徴収が行われている。

日本の労働者の約40%が非正規社員で、且つ年収300万円以下の労働者が急増している現状で、3000万円の住宅を購入(そもそも年収300万円以下では3000万円の住宅は購入できないが・・・)すると消費税が10%に上がった場合、年収300万円の世帯では1年分の年収とほぼ同額の消費税を支払わなければならないことになる。(ヨーロッパなどでは住宅の取得に関しては非課税の国が多い。)

当然、住宅ローンで支払う場合、消費税が上がれば支払総額も増え月々のローン支払額が増えることになる。となれば、月々の生活費に占める可処分所得は減少し、他の食費や教育費、娯楽費などの支出が減少することになる。

消費税のアップ=購入価格のアップ
ということであり、それは高額なものほど影響は大きく、購入者の減少に直結する。
住宅、自動車産業などは裾野が広く、また民間の設備投資などの減少にもつながり経済への影響は、思った以上に大きい。
それだけに止まらず、購入世帯は、可処分所得の減少により他の消費を減らさざるをえず、その影響は多方面に渡る。結果的に日本経済全体の規模の縮小につながり税収も減り、逆に失業者の増加などにより、社会保障費が増加する。

今、財務省や野田首相が目指している増税は「財政再建=国債の発行額の減少」という、いわば財政赤字の縮小と穴埋めを目的としたもので、後ろ向きな増税である。
且つ、急激な円高や世界的な景気後退と金融危機が目の前に迫ってきている状況で増税することは、日本の経済の縮小を助長することにつながる。
さらに、このような状況でTPPを推進すれば、円高と関税撤廃のダブルパンチでアメリカなどからの輸入が急増し、国内の第1次・2次産業に止まらず金融・サービス業なども壊滅的な影響を受けることになる。震災復興どころの話ではなくなる。

財政を考える場合に必要な根本となる視点は、これからの日本をどうするのかという視点であり、それを突き詰めていくと、どのような人口構成の社会にするのかという点に突き当たる。

社会がピラミッド型から逆ピラミッド型の人口構成に急激に移行し始めたことが財政、経済の問題の根本にある。(少子高齢化の進展)
本来は、経済発展とそれに伴う国民生活の変化に対応し成熟社会型の人口構成にスムーズに移行できるように政治が誘導していく責任があった。
ピラミッド型⇒砂時計型⇒ドラム缶型
というように高齢化に伴う高齢者の増加や経済成長と国民生活の向上に伴う社会の変化に対応できず、砂時計の下部の部分(出生率減少の歯止め及びアップ)を広げていくことができなかかったことに最大の問題の原因がある。
逆ピラミッド型に近づけば、いずれ倒れるのは自明の理である。
砂時計の下部を広げる(出生率減少の歯止め及び出生率のアップ)努力を続けなければ、砂時計の上部(高齢者)を支え切れなくなることは小学生でもわかる。
年金、医療などの社会保障を持続可能な制度にするためには、制度を支える人を増やしていかなければ、いくら増税や保険料負担を上げていっても切がなく「絵に描いた餅」になることは、中学生でもわかるだろう。

そのためにも、大胆な予算の組み替えや地方分権に伴う地方の自立促進などによる、少子化対策の強力な推進が必要だ。(子供手当てのような直接給付も重要なことは言うまでもない。)
もちろん内需促進のための経済対策、雇用対策なども重要なことは言うまでもなく、セーフティーネットの充実も平行して進めなければならない。
公務員制度改革や特殊法人改革などの大きな改革を推し進めなければ、本当に必要とされる税収額が見積もれない。必要とされる経済成長率も算定できない。それをやらないと増税しても水漏れしてしまう。
これらを推し進め、日本の将来の姿を示し、どうしても増税が必要となれば、国民も納得するだろう。また、税金は、後ろ向きな政策ばかりでなく、前向きな政策にも使われなければならない。

福島第二原発事故は、直接的な物質的被害も大きいが「家族の絆」や「将来の発症に対する不安」「地域コミュニティーの崩壊」など数字や金額で表せない精神的な被害をも住民に与えた。
仕事や家族がいることが「がんばろう」という意欲の源泉になる。
おじいちゃんやおばあちゃんは孫がいることで生きがいを見出すことができる。
原発事故は住民の「心の支え」さえ奪いさろうとしている。

「コンクリートから人へ」という民主党の掲げた理念を民主党の議員はもう一度、問い直す必要がある。
であるなら「原発の維持、推進」などとは、とても口に出せないと思うのは私だけであろうか。
野田首相に「人間としての暖かさ」が感じられないと思うのも私だけであろうか・・・。

2 件のコメント:

Caccyo さんのコメント...

はじめまして素浪人様

日々坦々さんのリンクから伺い、勉強させてただいています。
自分もうながっぱの街に住んでいるので、同県人として親しみを感じ、お気に入りにさせていただいています。
カン・ノダと続く官僚支配政治を糾弾し、小沢氏が成し遂げた政権交代を取り戻すべく発言される素浪人様のご意見を、頷きながら読ませていただいています。

自分も「国民の生活が第一」の政治を取り戻すことが子供たちの将来のため!!と、微力ながら「父さんの日記」に「Caccyo通信」として発信させてもらっています。
http://rightaction.cocolog-nifty.com/blog/

今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m

匿名 さんのコメント...

東大地震(研)の大地震発生確率をみると30年以内90パーセントと危険度アップこれと
オリンピック招致賛成62パーセントと新聞世論調査結果 これによると賛成した人の68パーセントが景気回復に効果があるのでと思っているが、費用をおさえる為に既存施設を主
に使うと知事が考えているので、改良工事
などで本当に新規投資による、景気浮揚効果が期待できるのか、景気を上げるなら、液状化対策、古い建築物の更新補助、工場地帯防災など大規模な震災対策に投資するべきと
考えます。国の財源問題もアメリカ国債の
保有もいくらあつても、使えないであれば
この様な会計予算は廃止、官僚は前例を
踏襲するのみで、幕末に似てる混乱期に
役にたたない、税金を上げる前に給与を下げろ 

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