「五里霧中」というのが今の政局ではないだろうか。
先が見えない。その為か野田首相の目に生気が感じられない。仲間であるはずの前原氏や岡田氏、玄葉氏などは次期民主党代表選の方に気が向き始めているようだ。
彼らには野田首相を支えるという意気が少しも感じられない。
野田首相が一番頼りにしているのは、実は自民党ではないかと思われる今日この頃である。
下記の東京新聞の記事は正論で、「増税先行」と感じている国民は多いはずだ。
最近「60%の人が消費税に反対している」という発言をよく耳にするが、実際にはもっと多いはずだ。
大増税や社会保障制度改革などの大きな改革を実行するには「政権に対する信頼」があることが大前提である。「首相や政権が信頼できないから反対する」という国民も多くいることを自覚する必要があるのではないか。
増税先行 一体でない改革
2012年5月9日 07時00分
消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革関連法案が八日、衆院本会議で審議入りした。今回審議されるのは一体改革とうたう中のごく一部で、増税以外は先送りが目立つ。改革がちっとも「一体でない」現状をさらけだす論戦スタートとなった。
関連法案は七本。八日は年金の受給資格を得られる期間の短縮や厚生・共済両年金の一元化などの年金改革関連二法案の趣旨説明と質疑が行われた。十日は子ども・子育て新システム関連三法案、十一日は消費税増税関連二法案が審議入りする。
しかし、民主党が二〇〇九年衆院選マニフェストに掲げた新年金制度の法案提出は一体改革大綱で「来年」とされた。医療や介護、保育の自己負担合計額に上限を設ける総合合算制度は「早くて一五年度以降」。低所得者対策に必要なマイナンバー(共通番号)制度は法案化されたが、審議入りがぶまれている。議員定数八十削減は実現のめどが立たない。
一方、消費税増税は一四年四月に8%、一五年十月には10%と具体的な日程を盛り込んだ法案を提出。「増税ありき」の印象はぬぐえない。
八日の衆院本会議で自民党の大島理森副総裁は「今の提案では、増税のみとの感が否めない」と批判。野田佳彦首相は「社会保障改革は全体像を示し、増税での財源確保と密接な法案は提出している。増税のみとの指摘は当たらない」と反論したが、与党席からも拍手はまばらだった。
身を切る改革や、抜本的な社会保障改革を後回しにして増税に突き進む野田政権の現状は、安全対策を置き去りにして原発の再稼働を急ぐ姿と重なる。消費税増税に対する国民の信頼が広がらない一因でもある。(東京新聞)
ヨーロッパの政治的な混乱は、各国の指導者が簡単な算数をできなかったことに原因がありそうだ。EUは加盟各国に財政赤字をGDP比で数%以内に抑えることを強要している。
例を挙げて説明してみよう。
GDPを100とし財政赤字をGDPの5%以内に抑えるという前提で考えた場合、財政赤字の上限は5となる。
この前提で財政赤字割合を削減する方法を考えてみよう。
①財政赤字を5で抑えたとしてもGDPが95になれば、GDP比の財政赤字割合は5.3%になる。逆にGDPが105になれば、GDP比の財政赤字割合は4.8%になる。
まずこの点を念頭に置いておく必要がある。・・・ここまでが①
そもそも財政赤字とは
歳出-歳入=財政赤字(歳入より歳出が多い場合に財政赤字が発生する。)
である。
②財政赤字を削減するには、歳入を増やすか歳出を減らすしか方法はない。
歳入を増やすこと=税収を増やすこと
と考えてもいいだろう。(他にもないわけではないが・・・)
歳出を減らす=政府支出を減らすこと
である。・・・ここまでが②
ここ数年、メルコジコンビ(フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相)が主導して進めてきたのは上記の②であった。①については、ほとんど考えられてこなかった。つまり②を進めてもGDPには大きな影響を与えないと考えていた節がある。
では、結果として今のEUはどうなったのか?
代表的な例を挙げればフランス大統領選挙でサルコジ大統領は経済政策と雇用政策の失敗を問われ落選の憂き目にあった。
つまり、①と②には密接な繋がりがあることにEU各国の指導者や国民が気づき始めたということである。財政政策と経済政策は一体で考えるべきものなのである。
過度な財政削減政策(国民生活に大きな影響を与える政策)や過度な増税、国民負担の押しつけ(国民の可処分所得を減らす)は経済に大きな影響を与えるということである。
そして、それは雇用等にも大きな影響を及ぼし結果として国民の不満が高まり政治への不信と繋がる。そして、これらのことにより日本と同じようにデフレに陥る可能性が高まりつつある。
表面上は原油価格の高騰などによりインフレ傾向に見えるが、実際にはデフレ圧力が高まっているとみるべきだろう。
財政危機=経済危機
と見るべきではないかと思う今日この頃である。
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