2012年5月30日水曜日

国会事故調:責任の擦り合い合戦・・・言い訳のオンパレード

いやはや、言い訳と責任の擦り合い合戦だ。
よく考えて欲しい。原子力安全保安院も原子力安全委員会も政府の機関であり政府の管轄下にある。それらを批判し責任を転嫁することは、自らがそれらを管理できなかったことを自白しているに等しい。そもそも東京電力との関係を悪化させ双方が不信感を持ち始めたことがその後の迷走につながったという認識はないようだ。
あいた口が塞がらなかったのは、国会事故調という公式の場で 「私の夫婦げんかよりは小さな声でしゃべったつもりだが、はっきりものを言うために多少声が大きくなった。」という本人は冗談のつもりでいったのだろうが、そもそも「冗談を言うような場ではない」という認識が本人にないことだ。周りが凍りつくのもわかるような気がする。
こんな人が首相で、且つ原発事故対応において余分なことを色々と口出ししていたと思うと、それこそ背筋が寒くなる。
そして、自らが原発を海外に積極的に売り込み、その成果を自慢しておきながら、今になって「脱原発」を口にする神経は到底、理解できるものではない。

菅前首相を参考人として招致した28日の国会事故調査委員会では、東京電力の清水正孝社長(当時)が東電福島第一原子力発電所事故直後に同原発から作業員を全面撤退させる意向を政府に伝えたとされる問題で、昨年3月15日未明の両氏のやりとりも論点となった。
全面撤退問題を巡っては、14日の国会事故調で、東電の勝俣恒久会長は「(全面撤退の要請は)全く事実ではない」と否定している
これに対し、菅氏はこの日の聴取で、全面撤退と受け止めた経緯について、「(昨年3月)15日の午前3時頃、海江田経済産業相から『東電が撤退したいと言ってきている』という連絡があった」と明言。「何としても抑え込まないといけない。命を懸けてもやらざるを得ないとの認識を持っており、撤退ということを聞いてとんでもないことだと感じた」と語った。
菅氏は同日午前4時17分、首相官邸に清水社長を呼び、「撤退はあり得ませんよ」と通告した際に、「清水社長は『わかりました』と言っただけ。『そんなこと言っていない』とかいう反論は一切なかった」とも述べ、官邸の反発を受けて、東電側が全面撤退の主張を撤回したとの認識を強調した。
事故直後からの東電の対応について、菅氏は「東電から(官邸に)派遣された技術担当の武黒一郎フェローから色々話を聞いたが、原子炉の状況はどうだとか、こういう形で対策を打つべきだとか、そういう話は残念ながら一切なかった」と証言し、不信感を強めていたことを明らかにした。
菅氏は事故調で、撤退問題をきっかけに政府と東電による「事故対策統合本部」を東電本店に設置することを決意したことや、東電本店に出向いた時に幹部を前に「現場から撤退しても、放射能はどんどん広がっていく。撤退しても逃げ切れない」と呼びかけたことなどを次々と説明した。
ただ、こうした菅氏の言動について、委員からは「撤退しないことはわかっていたはずなのに、首相が東電本店に乗り込んで来て『何で撤退するんだ』と、どなる姿は反省すべきではないか」との批判もあった。菅氏は「どなった」とされた点に関しては、「不快に受け止められたとしたら申し訳ない」と陳謝したが、「私の夫婦げんかよりは小さな声でしゃべったつもりだが、はっきりものを言うために多少声が大きくなった」などと釈明した。東電本店に当時いた職員らはどなったと受け止めており、菅氏が批判を受ける可能性もある。
(2012年5月29日07時55分 読売新聞)

 民主党の党内でも色々な動きが活発化しつつある。
読売新聞が野田首相と小沢さんの会談の行方を予想しているので、少し分析してみたい。
【読売新聞】
30日に予定される野田首相と民主党の小沢一郎元代表との会談の行方は、消費税率引き上げ関連法案の成否を左右し、首相の政権運営にも影響を与えるとみられ、与野党の注目が集まっている。
合意、決裂から、持ち越しまで三つのパターンが予想される。
◆ケース1=合意
首相にとって最高のシナリオは、小沢氏を説得し、消費増税法案への賛成を取り付けることだ。首相は法案は党内手続きを経た「党議だ」とし、造反な ら処分を辞さない考えを伝えるとみられる。小沢氏は消費増税の前に統治機構などの大改革に取り組む必要性を強調しており、小沢氏周辺からは「大きな政治の 改革で一致することは可能だ」との声が出ている。ただ、小沢氏は消費増税への反対論を繰り返しており、「君子豹変(ひょうへん)して賛成すれば、党内の求心力は一気に低下する」(民主党中堅)のは避けられず、30日の会談1回だけで折り合うのは困難との見方が強い。
◆ケース2=決裂、小沢切り
首相周辺からは、小沢氏が首相の説得に応じない場合、小沢氏との話し合いに見切りを付け、自民党との協力を模索する方向に(かじ)を切るべきだとの意見が出ている。民主党の前原政調会長は29日の記者会見で「6月21日までの国会会期を考えた場合、結論が出ないまま何度も行うようなたぐいのものではない」と述べ、首相の決断に残された時間が少ないことを指摘した。
ただ、小沢氏に近い議員は、「首相が処分をちらつかせても、離党含みで造反する」としており、首相の強気の一手は党分裂を加速させる可能性がある。トップ会談の仲介役の輿石幹事長の顔をつぶし、首相と輿石氏の関係が悪化する危険性もある。
◆ケース3=持ち越し
30日の議論が平行線の場合でも、再会談を約束して次回以降の協議に持ち越す案や、結論をあいまいにしたまま、わかれる案が党内で出ている。首相は29日、田中慶秋党副代表らと官邸で会談した際、「十分に話をしたい」と語ったとされる。
(2012年5月30日08時48分  読売新聞)
「乾坤一擲、一期一会」 など、お得意の熟語を使い決意のほどを語っていた野田首相だが、田中慶秋党副代表らとの会談で決意がブレたようだ。
田中氏らは党内の中間派で自分たちの利害優先で動く労組がバックの議員たちだ。
彼らは、最初に小沢さんと会談している。小沢さんの意向を確認したのち、野田首相と会談している。労組などの支援団体や党内の中間派の多くが「党の分裂」は何としても回避したい考えていることの表れでもある。上記でいえば◆ケース3を望んでいると考えていいだろう。
◆ケース2はまともに考えれば無理だろう。というのは、自民党との協力に舵を切るということはイコール自民党の案を丸のみするということであり、それは前にも書いたように再度、党内で議論し直さなければ、多くの議員や党員が納得しないだろう。ゴリ押ししようとすれば党内から「野田おろし」の動きがでてくる可能性も生まれる。
◆1は可能性としては非常に低い。
となると野田首相に残された道はケース3しかない。

そもそも、法案に反対しても首相は大きな処分はできないだろう。
おそらく衆議院で100人以上の議員が反対にまわるだろう。小沢さん一人だけを処分するわけにはいかない。「みんなで渡れば怖くない」的な雰囲気が広がれば、反対者はもっと多くなるだろう。
なぜなら、それは「踏み絵」になるからだ。どの議員が消費税に賛成したかが国民に広くしれわたることになるからだ。
つまり、彼らが口で言う程、造反に対する処分の脅し効果は低いと考えた方がいい。
もうひとつ重要なのが、支援団体や党員の意向である。
これを無視したら、選挙で手痛いシッペ返しを受けることになる。
「国民に約束したことを守るのか、守らないのか?」
それが今、野田首相に問われようとしている。




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