昨日も書いたがTPPやFTA、EPAは相手国がどの国と条約を締結しているかも重要になる。
また、喫緊で言えば、どの国と優先して締結するかが重要である。
当然だが輸出が増える可能性が高いところを優先させるべきであろう。
世界経済を見た場合、アメリカ、ユーロ圏はここしばらくは余り期待出来ないし、長期的に見ても大きく伸びる可能性は低いと思われる。
ということは、関税を撤廃しても大きく輸出が伸びる可能性は低い。
では、これからの世界経済を見た場合、大きく伸びると思われる国はどこだろう。
新車販売台数世界一の中国、経済発展が著しく人口が多く、且つ人口の伸びが期待できるインドやインドネシア、アジアの部品供給基地(ハブ)となりつつあるタイ、南米ブラジルや資源大国のロシアなどであろう。
どこもTPPに入っていない国々である。ベトナムは経済は伸びているがまだ所得水準も低く、日本の輸出に貢献するには、もう少し時間がかかりそうである。
韓国への輸出はかなりの額に上るが韓国は輸出相手国としてよりも競争相手と見た方がいいだろう。ただ実際には韓国が他国とFTAを結ぶことは日本にとってもメリットがあり、それに伴い日本の輸出が増えていることは歪めない事実である。(韓国の対日貿易赤字は大きい)
現在の日本の輸出構造からすると、韓国、中国、タイなどの輸出が増えることは日本の輸出が増えることにも繋がっており、単純な見方はできない。
この点はTPP推進派の発言と異なる点で、今の世界の貿易構造を良く理解していないものと考えられる。
逆に言うと、それらの国の輸出の低下は日本の輸出にも大きな影響を与えるということでもある。(タイの大洪水の影響を見ればよくわかる。)
またアメリカへの輸出も部品などを含めれば中国経由のウェートが高まっている。(アメリカ企業の製造部門が中国に移転しており、アメリカ本土に中国から逆輸入されているのが現状)
むしろ日本がTPPに加盟して喜ぶのはタイなどの日本とFTAやEPAを結んでいる国々で、それらの国からの輸入が増えて日本国内の雇用が減少する可能性の方が高い。
(円高でタイなどからの部品輸入が急増している。そのことにより中小の部品メーカーなどに大きな影響が出始めている。円高による輸入増加が国内の経済や雇用に与える影響は大きい。)
TPPに関しては工業製品の輸出によるメリットが多く語られるが工業製品の輸入に関してのデメリットは余り語られない。
ということで日本はTPPに加盟する必要はない。
このように関税及び非関税障壁についても問題点も多いTPPについて、野田首相の口からは、ほとんどと言ってもいいほど説明が聞かれない。具体的なメリットさえ聞いたことがない。感情論での「開国」だの「乗り遅れる」だのと言う言葉しか聞かれない。
おそらく、野田首相も細かいことを理解していないのだろう。
アメリカや財界の意向に沿うことを第一義に推進しようとしているようにしか思えない。
日本国の首相として「何をすべきか」をいう指針が本人にないのかもしれない。
財務省や財界、アメリカの意向=野田首相の指針
では困ると思うのは私だけであろうか。
日本はギリシャから学ぶ点は多い。
ギリシャの財政問題は、突き詰めれば「行政組織の肥大化」と「公務員の優遇」が最大の原因である。もちろんギリシャ政府や国民の中にある「甘え」という問題もあろうが、それを許してきたユーロ諸国にも責任はある。
というかギリシャ問題はそのまま日本の問題である。
ギリシャの債務問題ばかり取り上げるのではなく、その原因がどこにあったのかに焦点をあてて報道すべきだ。
ヨーロッパではここ数年、財政再建に伴う「緊縮財政」と「増税」が進められてきた。
しかし、一向に良くなるどころか事態はますます悪化する一方だ。
日本は、この点でもヨーロッパに学ぶべきである。
私には、どう見ても野田政権は日本を悪い方向に導こうとしているとしか思えないのだが・・・。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2011年11月9日水曜日
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