いつも言うように私はTPPに参加する必要は無いと考えている。
経済協定は1国対1国での交渉が基本であり、多国間での経済連携協定には懐疑的な立場をとっている。
その最大の理由は、経済協定であるにもかかわらず多国間連携協定になると政治的色彩が強くなる点にある。これをよくブロック経済と呼ぶ人もいるが、簡単に言えば会社での派閥争いのようなものである。大国同士による陣取り合戦のような状況を生み出す可能性があると言うことだ。
日本がこのような状況に巻き込まれることは日本の国益にとって余り好ましいことでは無いと考えている。
もう一点挙げるならば、現在のユーロ圏の現状に見られるように経済ではドイツの一人勝ち、その一方で多くの加盟国が財政危機と政治混乱に陥っている現状をどう捉えるかという視点での問題提起である。
「大きいことは、あるいは多いことはいいことだ。」という発想が現在の世界情勢を見た場合、本当に正しい経済協定の方向性なのかを考え直して見る必要があると思う。
国民性や文化なども考慮し合いながら「相互理解を深め相乗効果を生み出せる国々が共通した目的を持って協定を結ぶ」という原点に立ち返り考え直さないと、思いもよらないような大きなデメリットを被る可能性も否定できない。
簡単に言えば、この世界経済が混乱している状況下では、多国間での経済連携協定などを推進するよりも、まずは自国の体制を立て直し、襲い来るであろう暴風雨に耐えられるように準備を整えることを優先すべきであると考えるからだ。(国内の対策優先)
暴風雨(世界同時経済恐慌、世界同時金融危機)が過ぎ去ったあとの世界は、今までと少し変わった構図になる可能性も否定できない。
日本がTPPに参加を表明したらカナダやメキシコなども参加を表明したという報道がなされている。
もし、それが事実なら野田首相は虎の尾を踏んでしまったのかもしれない。
少なくともそのことにより、日本が参加しないTPPには何らメリットがなかったことが明白になってしまった。政府の今までの説明とは違うことになる。
ということで新たに参加表明する国々は、日本という美味しい獲物に狙いを定めて交渉してくるだろう。
そして第一に狙われるのは、農林漁業分野であろう。
わざわざ美味しい餌を多くの虎に提供するためにハワイに行ったようなものである。
TPPにおいて工業製品などについてはどの国に対しても相互のメリットは殆どない。(例えばカナダ・メキシコは日本の最恵国待遇国のはずである。)
投資においても、今やメキシコから中国や東南アジアに工場が移転し始めている状況を考えれば相互に余りメリットはなさそうだ。
農林漁業分野での開放により一層拍車が掛かりそうな雰囲気である。
またアメリカは、その他の分野での非関税障壁や日本固有の商慣習などの撤廃を強力に押し付けてくるだろう。
はっきり言えば、どの国からも日本だけがターゲットにされているのがTPPである。アメリカはカナダやメキシコなどはどうでもいいのである。(NAFTAで食い尽くした。)
日本政府はNAFTAでメキシコの農業がどうなったをよく調べる必要がある。
どのようにしてアメリカの穀物メジャーに食い荒らされたかを調べるといい。
そこにTPPに加盟した場合の日本の農業の将来を見ることができるはずだ。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2011年11月15日火曜日
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