日本やEUなどの政治・経済の問題の根本にあるのは、「格差」と「負担」の問題であると考える。
格差といっても「地域間格差」「世代間格差」「所得格差」「職業格差」「教育格差」など多岐に亘る。
負担においては、大まかに「応能負担」と「応益負担」に分けて考えることが出来るだろう。通常はこれらを纏めて「応分の負担」と呼ぶ場合が多い。
この「格差」と「負担」は密接に関連しており、切り離して考えるべきではない。
では、まず「格差」についてEUを例にして考えてみよう。
現在のユーロ圏における財政危機の問題は主に南欧に集中している。EUという大経済圏の中で、「地域間格差」が起きているという見方も出来る。
ギリシャなどでは公務員優遇という「職業格差」が財政悪化の大きな原因になっている。それらにより「所得格差」が拡大し、それが次の世代にも引き継がれ「教育格差」や「職業格差」の原因となる。このような連鎖が政治・経済の停滞と活力を削ぐ要因になっている。
「格差の固定」こそが国の活力を削ぐ最大の要因で、それは「頑張っても報われない社会」を作り出し国民から「夢や希望」を奪い去る。
このことは、今の日本にも、そのまま当てはまる。
ここで注意しなければならないのは、「格差」は現役世代間だけの問題ではなく次世代にも引き継がれると言う点だ。
次に「負担」についてEUを例に考えて見よう。
今、ギリシャをはじめとする財政危機に陥った国の救済で一番の課題になっているのは、救済のための資金を誰がいくら「負担」するのかという問題である。
これについては、EU以外の先進国にもIMFなどを通して救済資金の拠出を求めている。しかし問題となっているのは、当事者であるEU各国の負担割合である。ここでは「応分の負担」をめぐって駆け引きが続いている。
つまり、EUという経済圏で一番利益を受けている(一番の受益者である)ドイツが最大の負担をすべきであるという意見が一方にあり、もう一方では、ある程度はドイツが負担するのは最もだが、加盟各国もそれなりの「応分の負担」をすべきだと言う意見がある点だ。どちらも根本的には同じなのだが、負担割合をどうするのかでは意見が割れている。
直接の当事者でないドイツ国民の間から「なぜ、他国の財政再建のためにドイツ国民が負担をしなければならないのか」という反発が生まれるのも、わからなくは無い。
ある意味、EUという一大経済圏とユーロという通貨で統一された一大通貨圏の中で、より大きなメリットを受けた国とメリットを享受できなかった国との間に生じた「格差」の問題が根底にあると考えるべきだろう。EUやユーロ圏が抱かえる根本的な問題解決の鍵は、この「格差」をどう解消していくかにあるように思えてならない。
そして、このような格差は経済においては「グローバル化」によって、財政面においては「先進国における少子高齢化」などの人口問題などによって、より拡大し富の偏在を生み出している。
「応分の負担」については、本来「受益者負担」と「与益者負担」という二つの側面からも考える必要がある。しかし、通常は「受益者負担」についてしか語られることはない。今後は「
与益者負担
」についても考える時代がくるだろう。
最初に書いたように「負担」は、大まかに「応能負担」と「応益負担」に分けて考えることができる。
そして「負担」は「税金」や「保険料」あるいは「利用者負担」と言う形で負担することになる。
しかし、現在の日本の制度においては長い間に、これらの負担についての考え方が、なし崩し的に歪められてきた経緯がある。そのため、色々なところで齟齬が目立ち始めた。
そして「応分の負担」という言葉が、政治や官僚組織に都合のいいように利用されてきた経緯がある。
一例として「障害者自立支援法」があげられる。
これは以前の措置制度から改正を経て「障害者自立支援法」が成立し 「応能負担」から「応益負担」に変更になった。これにより重度の障害を持つ人ほど負担が大きくなり、所得の少ない家庭では、サービス利用を減らさざるを得なくなった。つまり本当にサービスが必要な人であるにもかかわらず、収入が少ない家庭では、思ったようなサービスが受けられない状況が発生した。また、サービス提供時間に上限が設けられたことにより、上限を超えた部分に関しては10割負担を強いられることになった。
このように、「都合のいい応分負担」という名の下に財源の問題が最優先され、本当にサービスを必要とする人に必要とされるサービスが提供されず、国の福祉サービスも「お金が有るか無いかで受けられるサービスの量に格差がでる状態」が発生した。(憲法違反の判決が出ている。)
本来「社会保障と税の一体改革」というのであれば、まず「格差に対する対応」と「負担のあり方」に対する考え方を最初に議論すべきである。
「負担のあり方」が、政府や官僚組織に都合のいい「応分負担」という言葉で歪められ、消費税増税も、その「都合のいい応分負担の考え方」を前提に語られている。
そして、国民が知らないうちに2重課税ならぬ2重負担を強いられている部分があることも、国民は理解する必要がある。
「税金」と「保険料」、「利用者負担」という別々の徴収システムにより「負担の中身」を国民にわかりにくくすることで、知らないうちに先進国の中でも「負担率の高い国」に分類される国に至った現状を国民は知る必要がある。
負担と受益についても、よく考える必要がある。日本は政府が言うほど、負担に対するサービス(受益)の質は高くない。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2012年2月28日火曜日
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【国際法違反の地位協定を直ちに破棄し福一石棺桶化に着手しよう】
>「裏マニュアル ~イカサマ「検察審査員選定クジ引きソフト」」Goodbye! よらしむべし、知らしむべからずさま
【 追記:そういえば、連携の一環?、不穏な動き(ブラフ)で周辺を動揺させようとmofが焦り始めた・・ 】
>>http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2012/02/post_2305.html#add
追記について。
違うな。最高裁事務総局にしても財務省にしても日本国憲法のウラをかかなきゃなんにもできない。バレたらオシマイの哀れな低能違憲サルどもだよ。その違憲猿どもを回しているサル回しがちゃんと日本国内に居るんです。↓参照よろしく。
板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」さま
「首相官邸に陣取り原発対策に猛烈圧力をかけていた「米アドバイザー」が、やっと離任した!」
>>http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/fca980210f8f2f7d2ac670d75b7d7b70
> チャールズ・カストー氏ら専門家チームが、菅直人首相ら当時の閣僚らの猛烈な拒否を押してアドバイザ首相官邸に乗り込み、「一室」を確保して陣取り、あれこれと命令していたことは、内々にはよく知られていた。
これは、駐日大使館のルース大使の発案で実現したもので、菅直人政権~野田佳彦政権に至るまで、「日本の原発行政」(福島第1原発大事故対策~全国54基の原発管理~今後の原発政策)が、米国の厳重な管理下に置かれていたことを物語っている。
すなわち、「米オバマ政権→米原子力規制委員会(NRC)→駐日大使館ルース大使・駐留米軍横須賀基地「第7艦隊司令部」→「日本管理委員会」対日工作担当者マイケル・ジョナサン・グリーン戦略国際問題研究所日本部長→首相官邸内「アドバイザー」(チャールズ・カストー氏ら専門家20人前後)→菅直人首相、野田佳彦首相」という関係図が成立していたのである。<
こいつら猿回しは全員極東米軍軍人であり、日米地位協定によって外交官でもないくせに日本国内のすべての無恥無教養な恣意的犯罪行為に「米軍公務」との名目付けして、日本国憲法を真っ正面から破って戦争非人道行為までやりたい放題の、平和時外交官特権をはるかに凌駕する無限の青天井の治外法権特権をふるっている。
非戦時の平和条約締結国際関係においては、こいつら合衆国軍人猿回しどもが日本国首相官邸という国家統治の最高機密中枢機関に何らの国際外交的交渉も入国儀礼もなく乗り込んで、日本の霞ヶ関スパイ官僚法匪猿どもを回して巨額の基地利権や原発利権を根こそぎかっさらっていく泥棒行為はまさに宣戦布告した敵国に対する戦争略奪行為であり、合衆国と平和条約を結んでいる日本に対する米軍の戦争行為は完全に国際法違反、国連安保理決議違反の非人道戦争犯罪にほかならない。
合衆国軍法にのみ従い軍法の敵国占領統治規定である日米地位協定で、たとえこの先日本国国民を皆殺しにして日本国領土を略奪し尽くしても「米軍公務である」と済まして平然と無罪を主張する戦争の狂犬在日極東米軍を、地位協定を破棄してその邪悪な牙治外法権を奪い、日本国憲法に従って対等国間の平和外交交渉で粛々と全在日米軍を一人残らず日本国領土外へ退去させ、ひいては北米大陸米国本土までご帰還いただくことこそが、平和を希求し不戦の誓いを立てた日本国の全世界に対して責任を果たす有言実行なのである。
美しい海に囲まれた豊葦原瑞穂の島とそこに住む平和を愛する日本人同朋を守るために、日本人はなににもましてただちに地位協定破棄と福一石棺桶化を日本人自らの手で実行しよう。
「警察官は庶民の正義の体現者(特に仙波敏郎氏)」
>>検察ー最高裁・事務総局は同じ穴の狢である、検察が自分たちの上司を取り調べるってことが可能だろうか。構造的に腐敗したものが腐敗者を取り調べたり、腐敗者が腐敗者を裁くことができるのだろうか?<<
(いかりや爆さま>>http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/e/ae2e3dcc7f948abfbaccb0f4ba1792e5#comment-list)
できまへん。
だから机上仕事の検察に普段こき使われる立場である現場警察官に検察官や裁判官の犯罪を告発して、警察の公務執行で検察官裁判官を逮捕させて21日間勾留取り調べをみっちりやらせれば良い。
正義の警察官仙波敏郎氏は誰よりも刑訴法執行に詳しい第一人者ですから、庶民から検察官や裁判官が警察に告発された時に彼が号令すれば、正義の警察官が続々と現れて警察官公務執行して検察官や裁判官を逮捕するでしょう。
逮捕取り調べ後に送検して検察の隠蔽で不起訴になった場合、検察審査会を庶民が立ち上げて正義の弁護士安田好弘氏を検察官役指定弁護士に要請し、徹底的に検察の犯罪を洗い出して強制起訴して公開刑事裁判に持ち込めば、官僚公務員税金泥棒に過ぎない汚職検察官や汚職裁判官・汚職最高裁事務総局官僚どもは全員証拠によって明白に立証された有罪判決以外ありえません。
これでこそ司法公務員の資質ある正義の警察正義の検察(弁護士の法曹資格司法能力は検事判事と同等です)によって正しい正義の司法が行われたことになるのです。
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