『社会保障と税の一体改革』に関する政府の姿勢に対して批判が多くなってきている。
政府や党の横柄な対応からして当然のことだと思うが、今回は私が個人的に感じる疑問点を幾つか取り上げてみたいと思う。
そもそも当初「税と社会保障の一体改革」と呼んでいた時期もあったように思う。最初から消費税増税目的であったことは間違いない。
しかし、本来なら社会保障制度改革については税とは別に、そして税の議論より先に議論すべき問題である。そして、その議論の内容を国民に詳しく、わかりやすく公表する義務が政府にはある。
例えば
最低保障年金はどうなるの?
今の年金制度は何時まで継続させるの?
年金の一元化は本当にやるの?
生活保護との整合性は?
医療・介護保険制度はどうなるの?
掛け金、保険料の負担はどうなるの?
窓口負担などの自己負担分はどうなるの?
・・・。etc
等など、国民の知りたいことや疑問に思うことが山ほどあるにも拘わらず、少しも国民に知らされていない。
なぜ、社会保障の議論が先に必要なのか?
わかりやすい介護保険制度を例に説明してみよう。
介護保険制度の介護費用総額は、(公費+保険料+利用者負担)で支えられている。
介護費用(公費、保険料、利用者)負担を区別して考えてみよう。
介護保険の財政構成は、大きくふたつに分類される。
1.公費負担
保険料負担(注:介護保険の財政構成にはサービス利用者の自己負担金は除かれています。)
はじめに、間違えておられるかたが多いのでご注意下さい。公費=国費ではありません!
介護保険の公費とは「国+都道府県+市町村」の財政構成です。
2.保険料負担
介護保険のサービスを利用しなくても支払う義務がある保険料です。保険料率があります。(現行40歳以上)
3.介護保険のサービスを利用した場合に支払う自己負担(現行では原則1割)
ここまでの区別をまとめると
介護保険の介護費用は、公費+保険料+利用者負担の総額
公費とは(国と都道府県と市町村)の税金
保険料とは国民が負担する総額(現行40歳以上)
利用者負担とは、介護保険サービスを利用した場合の一部負担金(原則1割)
介護保険の財政構成
(介護保険の財政構成は、介護費用からサービス利用者の自己負担を除くいて計算)
介護保険の財政構成100% 内訳:公費50% 保険料50%
↓公費負担100%とした内訳
国50% 都道府県25% 市町村25%
↓介護保険の財政構成100%
国25% 都道府県12.5% 市町村12.5% 保険料50%
※正確には国は20%~25%(
調整交付金という制度の関係
)
以上のようになる。
介護保険の介護費用は「(国と都道府県と市町村)の税金+保険料+利用者負担
」
で賄われているということである。
よく政治家や官僚が「国が負担している=政府が負担している」かのような表現で自分達が負担しているかのように発言するが、実際は全て国民が負担しているのである。公費負担分においては国税のみならず都道府県民税や市町村民税からも拠出されている。
少し、話が横道に逸れたが、上記のことを頭に入れてから話を聞いてもらうと理解が早いと思う。
本来、消費税の増税分を100%社会保障費に使うと言うのであれば政府が進めようとしている『社会保障と税の一体改革』の税の部分とは上記の公費負担分の中の国の負担分のことでなければおかしい。しかし、この点についての説明が実にあやふやで不透明である。且つ、消費税増税分を社会保障費に100%充当するというのであれば、地方自治体の負担分にも充当すべきという意見が当然あるべきで、其の点についても説明が不透明だ。
どうも、この公費負担分に充当するのが消費税増税分の1.7%相当でしかないというのが本当のところのようだ。その他の増税分は何に使うの?と誰もが疑いたくなるというものだ。
以上のような中から問題点を2点ほどに絞り込んでみた。
①社会保障費の国費負担分の財源としてなぜ消費税だけを増税するのか?なぜ消費税でなければならないのか?
②社会保障費の財源は国の税金よりも、むしろ保険料や利用者負担などの国民の直接負担分の方がウェートが高い。これらの負担が将来的にどうなるかも示さなければ「増税詐欺」と言われてもしょうがないように思う。
日本という国が目指す、将来の国の人口構成比を国民に示し、そのためには、どのような社会保障制度が必要か。また現行の制度をどのように変えていく必要があるのかを先に検討し国民に提示する必要がある。其の中では、税負担の割合や国民負担の割合も検討し直す必要がある。
ここまでやった後でないと、将来的に必要とされる国や地方自治体の負担分の財源額は算定できないはずだ。
ましてや、其の財源の確保手段は広く検討すべきで、なにも消費税に限定する必要も無いように考える。
国の権限を大幅に縮小し福祉分野の仕事を地方に移譲するだけでも、経費は大幅に削減されるだろうし、保険料の徴収などの効率も大幅にアップするはずだ。
これらも同時に進めることを前提に考えないと、必要とされる税額は膨らむばかりだ。
消費税を上げて社会保障費に充当すると言うのであれば、現行の保険料は現状維持で且つ利用者の自己負担も現状維持を当面続けることが前提でなければおかしいと思うのは私だけであろうか。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2012年2月1日水曜日
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3 件のコメント:
アメポチスパイ米政翼賛会日本マスゴミが一切まったく報道しない極東米軍の最近の動きについて、注意喚起のため以下の記事を転載します(長いのでいまは途中まで)。
「米軍常駐化の企み」南シナ海の緊張激化を意図
フィリピン;抗議行動高まる
(2012年1月30日発行の長周新聞2面記事をタイプ転載)
アメリカとフィリピン両政府は、南シナ海での中国の「脅威」に対抗するとして、米軍のフィリピン常駐態勢をつくろうとしている。昨年のオーストラリア、シンガポールに次ぐ動きで、先にオバマ政府が公表した新軍事戦略にそって、アジア太平洋地域で日本、「韓国」、タイ、シンガポールなどを先兵に、「中国包囲網」を形成し、アメリカの覇権を維持しようとするものだ。フィリピンの進歩的団体・バヤン(新愛国者同盟)は28日、首都マニラのアメリカ大使館に向けて抗議行動を起こしている。
ワシントンで開かれていた米比両国の国防・外交の次官級協議は27日に共同声明を発表。昨年11月の「マニラ宣言」にそって「盟友関係を拡充・強化し、21世紀の挑戦に対応する。とくに海上防衛協力を深化・発展させる」とうたった。
両国政府の合意内容を見ると、米軍は先のオーストラリア常駐と同じく一定規模の米軍をフィリピン基地にローテーション派遣することが眼目である。そのためアメリカはフィリピン海軍に2隻目のフリゲート艦を供与し、戦斗機を持たない空軍にF16戦斗機12機を供与する他、海岸警備隊にも先進的な要員訓練設備と通信設備を提供する。また、米比合同軍事演習の回数を年1回から増やすこと、フィリピン軍基地で米艦船と航空機への補給を行うことでも合意した。
以上の基本合意は、フィリピンのガスミン国防相が2月以降に訪米し、具体化して協定にするとされるが、進歩的団体・バヤンは27日に抗議声明を発表した。レイエス書記長は、米比の「戦略協議」は要するに米軍と米艦船を多数フィリピンに常駐させるためだと指摘。フィリピン当局は、米軍基地をフィリピンに戻すものでないといっているが、実質は米軍の常駐態勢をつくることだとして、「彼らが米軍は一時的に来るだけだというのは真っ赤なウソだ」と指弾している。(以下略、後ほど全文タイプ転載予定)
「極東米軍の最近の動向に合わせた活発な米政翼賛会活動」
アメポチスパイ米政翼賛会日本記者クラブマスゴミが一切まったく報道しない極東米軍の最近の動きについて、注意喚起のため以下の記事をタイプ転載します。(前のと差し替えてください)
「米軍常駐化の企み」南シナ海の緊張激化を意図
フィリピン;抗議行動高まる
(2012年1月30日発行の長周新聞2面記事をタイプ転載)
アメリカとフィリピン両政府は、南シナ海での中国の「脅威」に対抗するとして、米軍のフィリピン常駐態勢をつくろうとしている。昨年のオーストラリア、シンガポールに次ぐ動きで、先にオバマ政府が公表した新軍事戦略にそって、アジア太平洋地域で日本、「韓国」、タイ、シンガポールなどを先兵に、「中国包囲網」を形成し、アメリカの覇権を維持しようとするものだ。フィリピンの進歩的団体・バヤン(新愛国者同盟)は28日、首都マニラのアメリカ大使館に向けて抗議行動を起こしている。
ワシントンで開かれていた米比両国の国防・外交の次官級協議は27日に共同声明を発表。昨年11月の「マニラ宣言」にそって「盟友関係を拡充・強化し、21世紀の挑戦に対応する。とくに海上防衛協力を深化・発展させる」とうたった。
両国政府の合意内容を見ると、米軍は先のオーストラリア常駐と同じく一定規模の米軍をフィリピン基地にローテーション派遣することが眼目である。そのためアメリカはフィリピン海軍に2隻目のフリゲート艦を供与し、戦斗機を持たない空軍にF16戦斗機12機を供与する他、海岸警備隊にも先進的な要員訓練設備と通信設備を提供する。また、米比合同軍事演習の回数を年1回から増やすこと、フィリピン軍基地で米艦船と航空機への補給を行うことでも合意した。
以上の基本合意は、フィリピンのガスミン国防相が2月以降に訪米し、具体化して協定にするとされるが、進歩的団体・バヤンは27日に抗議声明を発表した。レイエス書記長は、米比の「戦略協議」は要するに米軍と米艦船を多数フィリピンに常駐させるためだと指摘。フィリピン当局は、米軍基地をフィリピンに戻すものでないといっているが、実質は米軍の常駐態勢をつくることだとして、「彼らが米軍は一時的に来るだけだというのは真っ赤なウソだ」と指弾している。
フィリピンはかつてはアメリカの植民地。戦後は「相互防衛条約」や軍事援助などで目下の「同盟者」とされてきた。反米世論の高揚のなかで、1991年に乗員が米比企地協定を破棄し、クラーク、スビック両基地はたたき出された。だが、親米政府が98年に米軍の「一時駐留協定」をアメリカと結び、とくに2002年から、「反テロ」の名目で、南部ミンダナオ島に600人の米特殊部隊が派遣されていた。
バヤンのレイエス書記長は、「一時駐留協定」が米軍常駐にゴーサインを出したとし、「われわれはフィリピンをアメリカの覇権追求の前哨基地にしてはならない」と呼びかけている。昨年11月のクリントン米国務長官の来訪に抗議したデモは、アメリカはフィリピンとアジア太平洋地域の事柄に干渉することをやめるよう求め、フィリピン当局が南シナ海問題でアメリカに利用されないよう呼びかけた。
米比両軍の定期合同演習「バリカタン」が4月に実施されるが、それが米軍常駐計画の狙いを端的に示している。
これまで一年一度の合同軍事演習「バリカタン」は、北部のルソン島周辺で実施されていた。今年、南沙諸島周辺海域で実施されるのは、2004年以来のことである。しかも演習は初めて、南シナ海にあるフィリピンの石油・天然ガス田の防衛を想定し、南沙諸島に近いパラワン島西部の海域で行われる。まさに南沙諸島の領有権をめぐって、中国とフィリピンの間に紛争があるだけに、米比両国が意図して緊張を激化させるものだ。
日本に対しても、アメリカは中国海軍の出口が沖縄の宮古島周辺だとして、それをけん制するのに南西諸島への自衛隊配備を要求、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張させて、昨年秋は九州日出生台で大規模な上陸演習を行った。普天間問題の早期決着を迫ることも、沖縄を「対中戦略の最前線」と位置付け、日本を中国攻撃の前線基地としようとするものである。(了)
先の長周新聞1月30日付記事タイプで変換ミスに気づかずアップしてしまいました。
第5段落第3文節の▼誤り▼
反米世論の高揚のなかで、1991年に▼乗員が米比企地協定を▼破棄し、クラーク、スビック両基地はたたき出された。
訂正
反米世論の高揚のなかで、1991年に上院が米比基地協定を破棄し、クラーク、スビック両基地はたたき出された。
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