アジア太平洋での自由貿易圏の構築を目指す、TPP=環太平洋パートナーシップ協定については政府与党内でも意見が分かれている。
まず第一の問題点はTPPの制度設計がよくわからない点にある。
第2がこれを入り口にアメリカがその他の事についても圧力をかけてくる可能性があることだ。
早速、次のような記事が出ている。
アジア太平洋での自由貿易圏の構築を目指す、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加の前提として、アメリカは、日本に対して、農産物の大幅な自由化だけでなく、郵政民営化の見直しについての再検討なども求めており、政府は、今後、難しい判断を迫られることになりそうです。
TPP=環太平洋パートナーシップ協定は、アメリカやオーストラリアなど太平洋を囲む9か国で貿易の自由化を目指す枠組みで、菅総理大臣が参加の検討を表明しています。TPPに参加するためには、すでに交渉を進めている9か国からそれぞれ同意を得る必要がありますが、このうち、アメリカは、日本が参加する場合の前提となる条件を示しているということです。この中で、アメリカは、農産物の関税の大幅な引き下げだけではなく、アメリカ産牛肉の輸入条件の緩和のほか、郵政民営化の見直しについても、外国企業が競争上、不利になるとして、あらためて検討し直すよう求めているということです。TPPをめぐっては、農業が壊滅的な打撃を受けるとして、与党内でも慎重な対応を求める動きが活発になっていますが、農業以外の分野でも調整が必要になる可能性があり、政府は、今後、難しい判断を迫られることになりそうです。(NHKニュース)
第3が関税を0としても、それだけで輸出が伸びるとは限らない点である。為替相場が円高になれば、関税が0になっても競争力は上がらない。
第4がやはり農業問題である。アメリカ、オーストラリアは農産品の大輸出国である。当然TPPのメリットは大きい。日本の農業が受ける影響はかなり大きいと言わざるを得ない。農林漁業やエネルギーについての政策をしっかりまとめてから進めるのがやはり筋であろう。
食料品・エネルギーは国の安全保障にも関わる問題である。防衛だけが安全保障ではない。
第5がこれからの世界経済における成長地域との関係である。
アメリカは最早、今後の世界経済の中心ではない。中国、インドを始めとするアジアやブラジルなどの新興国と呼ばれる地域がこれからの世界経済を牽引していく。
成長が期待される地域との枠組みにも影響をあたえかねない。関税を原則0にすることは、今後、他の国とのFTA交渉にも大きな影響を与える。これらにより、国内産業の保護・育成にかかるコストは膨大になる可能性がある。
以上のような問題点が考えられる。
いくら関税を0にしても、工場の海外移転は止まらないだろう。
アメリカの経済と財政が立ち直らない限り、ドル安傾向は止まらないと観るのが妥当だと思われる。
ということは、円高傾向は続き、国外に工場を移し、逆輸入する動きが加速する可能性さえ考えられる。
アメリカが過去に行ったことのある、海外子会社の利益を国内に移転させるための税の優遇など、総合的な視点からの対策も平行して進めなければならない。
当面はFTAで2国間の協定を推し進めながら国内の産業構造転換と農業などの分野における対策を先行させる方向がベターであるように思う。
貿易の自由化は時代の流れであり、反対するものではないが、ユーロ圏を見てもわかるように経済ではドイツのひとり勝ち状態である。
多国間で協定を結んでも全ての国にメリットが有るとは限らない。力関係も大きく影響する。
アメリカ1国の利益優先の協定になる可能性さえ感じられる。
少なくとも、アメリカからの圧力が、一層強くなることだけは間違いない。
余談:政府が衆院に提出したのは、尖閣問題の衝突ビデオの内容を約6分間記録したDVD。
2時間40分も追い掛け回して撮影したビデオを6分間に編集して公開したらしい。
こんなことをすれば、余計におかしいと思うのは私だけであろうか。
尖閣諸島沖で中国漁船のうちの一隻を、両側から海上保安庁の二隻が挟み込みながら接近。中国漁船が必死で逃げようとするのを、両方の巡視船にぶつけさせながら、動物狩りのように、追い込んで捕えた。
というのが実情に近いような気がするのだが・・・。
船の大きさも違うし、性能も違う。船体の強度も圧倒的に巡視船の方が強いはずだ。
軽自動車がダンプに自分からぶつかっていくようなものだが・・・。其の可能性は?
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