2011年10月13日木曜日

TPPの問題点・・・農業の場合は補助金を調べる必要がある。

TPPがまた話題になっている。
24の項目の内容も詳しくわからない状況で参加を言い出す野田首相の真意がよくわからないが、参加すれば大変なことになることは、南米の国々や韓国などの状況を見ればよくわかる。

一番わかりやすい農業で考えてみよう。
まず、日本政府の農業に対する考え方、位置づけが確立していないことが最大の問題であり、これを確立しない段階でTPPやFTAなどを進めることは、「自分で自分の首を絞める」ことにつながりかねない。
参考にEUの農業政策についての説明記事を紹介する。

共通農業政策(きょうつうのうぎょうせいさく)とは、欧州連合 (EU) における農業補助に関する制度や計画を扱う政策。英語表記の Common Agricultural Policy の頭文字をとって CAP とも表記する。共通農業政策に充てられるEUの予算は2005年度で4300億ユーロとなっており、この額は全体のおよそ44%を占めている。

共通農業政策では生産高や耕地に対する補助金の直接支払いと価格維持メカニズムが組み合わされており、また農作物の最低価格の保証、域外からの特定農業生産品に対する関税の賦課や輸入量制限の実施も行っている。補助金制度については改革が進められており、2005年から2012年にかけては輸入量制限の緩和や、補助金について生産高に基づく支給から農地の管理に基準を置く方式へと段階的に移行している。制度の実施の細かい部分は加盟国ごとに違いがあるが、たとえばイギリスでは農家への直接支給が定められた単一支払制度が導入されている。直接支払いにあたっては以下の要件を満たすことが求められる。
対象農地において「適正な状態」 (Good Agricultural Condition) が維持されている。
多角化や生産者組合を設立するなどの農村部の発展に貢献している。
 環境に寄与するような農地運営を実施している。

 1992年以前にはEUの農業に関する支出が予算全体の61%近くを占めていたが、2013年までに従来の共通農業政策の支出が占める割合をおよそ半分の32%にまで抑えるという方針が決まっている。これとは逆に1988年で予算全体の17%となっていた地域政策の支出を、2013年にはおよそ2倍の36%にすることになっている。

共通農業政策の目的とは、農家に対しては適切な生活水準を、消費者に対しては適正な価格で良質な食品をそれぞれ提供するということ、さらには農業という文化的な遺産を保護するということである。共通農業政策は社会の変化に直面しており、食品の安全や環境保護、採算性、代替燃料への転作といったものが次第に重要度を増している。 (ウィキペディアより抜粋)


これを読めばEUが、いかに農業を重要視しているかがわかるだろう。
共通農業政策では生産高や耕地に対する補助金の直接支払いと価格維持メカニズムが組み合わされており、また農作物の最低価格の保証、域外からの特定農業生産品に対する関税の賦課や輸入量制限の実施も行っている。
農業に関しては、どちらかというと保護主義的な政策をとっている。
そして農業は単に食料の生産という位置づけにとどまらず
農業という文化的な遺産を保護食品の安全や環境保護、代替燃料への転作
など、文化や健康、環境保護、自然エネルギーへの転換など幅広い視点で農業を捉えている。

EUにとどまらずアメリカ、オーストラリアなどでも農業へ多額の補助金が支払われている。
それにより、有利な条件で輸出が可能になっている点を見逃してはならない。
そもそも同じ条件で争ってこそ公平といえるのだが、元になる条件以前の段階で大きな差があるのである。
大相撲の土俵で横綱と幕下が闘うようなものである。
野田首相が工作面積が20から30haの大規模農家への転換を推し進めるようなことを言っていたようだが、国内だけを考えればそうかもしれないが、 それでは外国の農産物とはとても競争することはできない。日本の農業の現実をわかっていない。

日本の農家一戸当りの耕地面積はアメリカの1/123、イギリス1/42、フランス1/26、ドイツ1/23である。日本の農家の平均耕作面積は1.2haといわれているので、その差は歴然だ。
もう一点が農地面積と耕作条件である。日本の国土の70%は山林で且つ平野部は住宅地などに開発され、大規模化できる農地はそれほど多くはないし、大規模化するには数十軒の農家の農地を穴が無いように集約しなければならない。それほど簡単ではない。

ましてや、いくら品質が良く美味しい農産物を作っても原発事故の影響でこれから最低でも数十年は輸出が難しい状況が続くだろう。

日本の食糧が外国産で占められるようになれば、いずれ高い食料品を買わされることになる。
最初は安い価格で輸出し、輸出国の農業に打撃を与え、その国の自給率を大きく低下させる。
その後、価格を上げていくことで莫大な利益を上げる。
飼料や肥料から始まり、農産物や遺伝子組み込みの種子へと広げることで相手国の農業を牛耳るというのが、アメリカ資本の描く図であることを良く理解した上で、TPPを語るべきである。
それと同じようなことが24項目だけでなくそれ以外のことでも、起こりうる可能性を危惧するのは私だけであろうか。

1 件のコメント:

nobu さんのコメント...

この事実を全ての日本人は理解しなければいけないと思う。日本国民が思っているほど自分の命は重要視されていない。意見の違う同国人と対立している悠長な時間はないと思う。曖昧な表現は止め、客観的・論理的に全員で問題と向き合わないと。

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