2011年10月15日土曜日

米韓FTAについて・・・条約の内容を正確に伝えないマスコミ

米韓FTA条約がアメリカ議会で承認されたようだが、韓国側には批准案と、これに付随する関連法などの改正・成立などまだまだ多くの課題が残されている。
マスコミは大半が好意的というか「日本が取り残される」という論調のようだ。
インタネットで細かく調べてもらうとよくわかると思うが、かなりの「不平等条約」である。
どちらに有利かって?
もちろんアメリカ側に有利な条約である。

これに関する動きにはいくつかの疑問が残る。
まず韓国大統領が訪米し、わざわざ米大統領と共同記者発表する段階にあるのかというと疑問である。まだ議会を通過した段階に過ぎない。
これの裏側に米韓双方の政府の思惑が隠されているのではないかと疑ってみたくなる。

日本のマスコミは韓国の政治状況や韓国の金融・経済状況については一部の良い面だけを取り上げ悪い面に関して、ほとんど取り上げていないように思えてならない。

韓国は今、大変厳しい状況にある。(私は年初から何度も書いているが・・・)
韓国ウォンが想定以上のウォン安に向かい、金融、財政面で大きな問題になっている。
経済面でも、本来ならウォン安を歓迎すべきなのだが、想定以上のウォン安はむしろマイナス要因の方が大きいようだ。

金融・財政面での一番の問題はドル不足とウォン安に伴う対外債務(主に短期外債)の増加と、それに伴う財政負担の増大である。
専門家ではないので細かい説明はしないが、過度のウォン安は物価を押し上げインフレの要因になる。国内の内需に与える影響は非常に大きい。国民の生活は確実に苦しくなり、それが金融・財政に大きな影響を与える。(食料品・石油・雑貨品等すべてが上がる。)

経済面でも、ウォン安で輸出には有利なはずだが、アメリカ、ヨーロッパなどの景気減速は、韓国の輸出産業を直撃している。
中国の景気にも陰りが出始め、国内需要も物価の上昇で減少するので、ウォン安のメリットは相殺されるだろう。
また、販売面だけでなく部品や原材料の調達などにも支障をきたし始めるだろう。
国内向けの販売価格を値上げせざるを得なくなるだろう。

韓国の財政状況を一言で表現するならば
「自転車操業の黒字決算企業」
といえるのではないか・・・。
貿易収支で黒字を出しても資金ショートで倒産の可能性がある。
民間金融機関もかなりバランスシートが毀損している。
更に住宅バブルが弾ける寸前の状態にあり、弾けた場合、かなりの影響が金融機関に出ることも予想される。

このように危険な兆候が顕著に表れはじめ、焦っている韓国の大統領と韓国経済と結びつきが強いアメリカの大統領が揃ってこのタイミングで記者発表を行う裏には、双方の焦りと何らかの思惑があることは間違いないだろう。

それにしても、日本のマスコミは酷い。
TPP加盟問題にしても、まともな報道が見当たらない。
TPP加盟推進派と思われる学者で、TPPに関する疑問にまともに答えられる人がいない。
今回の米韓FTAでも別の視点から条約内容を見てみれば、如何に問題が多い条約かがわかるはずだ。

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