議員定数削減問題を考える・・・中身のない議論

国会議員の定数削減や議員歳費の削減が話題に上っている。

「国民に消費税増税を求める前に、まず国会議員自らが身を切りなさい。」という世論に答えたものだ。
しかし、少し冷静に考える必要がある。消費税増税議論と同様、「多い、少ない」「高い、安い」だけの論議で果たしていいのかどうかを真剣に考える必要があるのではないだろうか。
この機会を利用して、もっと中身のある深い議論が出来ないものだろうかと思う。



ただ単に諸外国の国会議員の数と歳費の額だけを比較するのではなく人口の数、国の広さ、物価、給与水準、選挙制度なども勘案して考える必要があるように思う。
確かに私も国会議員数や国会議員の歳費はもう少し削減してもいいと思っている。
しかし、本当に熱心に一生懸命、議員活動をしている議員にとっては、十分とはいえない歳費の金額なのかも知れない。逆に議員活動に熱心で無い議員にとっては十分過ぎる歳費の額だろう。
衆議院議員と参議院議員の歳費が同じでいいのかなども論議してみる必要がありそうだ。



この問題は、企業・団体献金や個人献金などの歳費以外の収入の道をどうするのかとも密接に結びついている。
この問題では２つほど危惧する点がある。
一つは、国会議員の数と国会議員の歳費を削減することが「政治の力」を弱め「官僚の力」を強めることに繋がりはしないかという危惧。
二つ目は、歳費を下げれば、その分を企業団体献金やパーティー券収入などの歳費以外の収入で賄おうとして、そのことにばかりに一生懸命になりはしないかという危惧。そのことにより企業・団体などの意向を汲んで動く議員が多くなる可能性も考えられる。



これらの他にも選挙制度とも密接に絡み合っている部分があり、簡単に決められる問題ではない。選挙対策目的で拙速に決めていいという問題でもないと考える。



今までの経緯から言えば、まずは「企業・団体献金の禁止」が第一にくる検討課題であろう。
次にくるのが「金の掛からない選挙制度」にするための改革だろう。インターネットの利用規制緩和など時代にあわせた選挙制度に改善することで選挙に掛かる費用を低減し、より質の高い金のかからない選挙制度を目指す必要がある。議員歳費の他にも支出されている手当て等があり、それらの多くは選挙の為の地元活動などに使われている現実も理解した上で議論する必要がある。



さらに中選挙区制に戻すとか比例代表中心の選挙制度にするとかの選挙制度自体の改革も「一票の格差の問題」とともに喫緊の課題に挙がっているが、この課題は議員の定数削減、議員歳費の削減とも密接に結びついており、その点からも別々に論議するのではなく一つのテーブルの上で議論すべき問題であろう。



しかし、この問題は各党の思惑が複雑に絡み合い、また議員個々においても思惑に違いがある。
比例復活で救済された議員も多くいる現状を考えれば、簡単に決着がつく問題ではなさそうだ。



この問題だけでも国会が紛糾することは容易に想像できる。予算案、予算関連法案、郵政改革法案などの他にも積み残しの法案が山積している。
「消費税増税法案」の国会提出さえ危ぶまれるというのが現状ではないのか。



多くの民主党の国会議員やマスコミなどの関係者は「小沢一郎」という人間を理解できていない。
小沢さんは相談を受ければ真剣に相談にのる。協力を求められれば、自分が納得できることであればトコトン協力する人である。
しかし、菅前首相は小沢さんに協力する気持ちがあったにも関わらず協力を拒否し且つ排除までしようとした。野田首相も野党には協力を求めながら、小沢さんと会って話をしようともせず協力を求める姿勢さえ見せていない。（人間の器が小さい）
彼らが「小沢一郎という政治家」を、そして「小沢一郎という人間」を理解しようとせず協力を求めようとしてこなかったことが、現在の民主党の混迷の最大の原因ではないだろうか。


「小沢さんが協力しない。」と批判する人たちに「あなた達は小沢さんに会って真剣に協力を求めたことがあるのですか？」と問うてみたい。
協力も求めないで勝手に「協力しない。」と批判する人たちこそ批判されるべきではないのか。
「党で決めたことに従うのは当然だ。」と言いながら、一方で勝手にマニュフェストを完全放棄した人たちこそ批判されるべきではないのか。
民主党と言う党は不思議な政党だ。