野田首相は「話し合い解散」を諦めたようだ。
党内からの「話し合い解散に反対する声」の大きさに驚いたのだろう。
そもそも、「話し合い解散」にしても「消費税増税法案の成立」に関しても、ポイントは参議院にある。
参議院で最大多数を占める自民党参議院は強気なので「話し合い解散」には多くの議員が反対するだろう。民主党参議院は「話し合い解散に反対の立場の輿石幹事長」が権力を握っているので「話し合い解散」には多くの議員が反対するだろう。
解散しても参議院の議員に何もメリットがないことも理由の一つにあげられる。
来年には参議院の半数が改選時期にあたり選挙が実施される。ここで安易に「話し合いによる消費税増税」を黙認すれば、国民から大きな反発を招く恐れがある。また選挙において対決姿勢を打ち出しにくくなる。
民主党の自滅を待つほうが得策だと自民党参議院の多くの議員が考えるのは、当然の帰結である。ただし衆議院においては別だが・・・。
対する民主党においても、解散のメリットは何も無い。議席数を減らすだけだ。
財政難の自民党は解散が延びれば延びるほど選挙資金が枯渇してくる。立候補予定者の選挙活動も苦しくなり民主党に有利になる。且つ、今は橋下ブームが頂点に達しているが1年半後に今のブームが続いているという保証は、どこにも無い。アラが出てきて下火になっている可能性も考えられる。
解散総選挙をして参議院の議席が増えるわけでもない。民主党にとって解散のメリットは何一つ無いと考えてもいい。
そして、これらの話がでてくる背景に自民党の財政事情があることも忘れてはいけない。100億円以上の借入金を抱かえる自民党は、次期総選挙で惨敗したら党が倒産の危機を迎える。
「国の財政再建を偉そうに語る」自民党が「自分の党の財政再建もままならず倒産」という笑い話にもならないような事態が現実に起こりうる可能性がある。倒産する可能性が高い100億円以上の借入金を抱かえる政党と一緒になろうと考える政党が、どこにいるだろう。(まともな経営感覚をもつ政党なら考えないだろう。)
つまり、政界再編においても、自民党の財政事情は大きな問題要素となる。議席を大きく伸ばせる要素が見当たらない自民党中心の政界再編が難しいと思われている理由の一つがここにある。
いくら、両党の執行部や一部の議員が「話し合いによる消費税増税法案成立後の解散」を目論んだとしても、両党の参議院が強硬に抵抗したら「
消費税増税法案
」は参議院で成立しないだろう。強行すれば両党から多くの造反者が出る可能性は高い。
今回の「野田首相と谷垣総裁の密談騒動」の鍵は、「話し合い解散」と「消費税増税法案の成立」がセットになっていた点にある。つまり、「消費税増税法案」には賛成でも「話し合いによる法案成立後の解散」には賛成できないという声が両党の参議院で非常に強いことが、話を進める上での大きな障害になったということだ。
以上から野田総理の選択肢は絞られてきた。
「話し合い解散」が無理になれば、「消費税増税法案の成立」も自ずと困難になる。
自民党においても、首相に解散する気が無いのであれば
「消費税増税法案」に賛成する理由が無くなる。
そもそも、野田首相が「話し合い解散」を目論んだ最大の理由は「過半数を確保できない参議院における消費税増税法案の可決」であり、「可決するために必要な参議院における自民党の賛成票の獲得」にあったはずだ。参議院において可決の可能性が無くなれば、解散する必要性もなくなる。解散して総選挙をしても参議院の議席数が変わるわけではないからだ。
もちろん衆議院においても小沢グループが反対するので過半数を獲得できず法案は成立しない。
となると野田首相の選択肢は絞られてくる。
①法案の提出を見送る。
②法案を大幅に修正して提出する。(法案を通すためには与野党協議が絶対条件となる。)
③否決覚悟で法案を提出する。
くらいしかない。
対する自民党の選択肢は
①内閣不信任案の提出
くらいしか道は残されていないだろう。
しかし、その後の自民党は「党内政局」でグショグショになるだろう。
野田首相に当面の間、解散する意向がないとなれば内閣不信任案の可決、否決にかかわらず「谷垣おろし」の風が党内に吹き荒れることになる。
党内での主導権争いが勃発し解散どころの話ではなくなる。場合によっては党が分裂する可能性さえ考えられる。
つまり「解散」を避けることは、民主党に大きな利をもたらすことになる。
仮に内閣不信任案が可決され野田首相が解散を選択したとしても、選挙後に不信任案を突きつけた相手と手を結ぶことは、国民が許さないだろう。(国民の理解が得られない。・・・連立は不可能)
内閣不信任案に賛成した小沢グループと手を結ぶなら説明がつくが・・・。(小沢グループは内閣不信任案に賛成しないと思うが・・・。ここでも小沢さんが鍵を握っている。)
となると具体的にはどうなるだろう。
野田首相に残された道は、「党内融和を図る」という道しかなくなる。(実際に民主党内では、そういう考えが主流になりつつあり、そのような動きになりつつある。)
つまり、野田首相が小沢さん側の要望を受け入れる以外に道はないということである。
小沢さんは安易な妥協はしないだろうから、野田首相側にとってはかなり厳しい条件を受け入れざるを得なくなるだろう。
このような党内の空気の流れに危機感を感じた岡田副総理が、鳩山氏らに接触を始めたようだが、小沢さんには怖いので会いたくないようだ。(岡田氏は小心者?)
(小沢さんは、餌をちらつかせて前原氏に揺さぶりをかけ野田首相側の分断工作も仕掛けている。)
あくまで個人的な妄想であり、フィクションと思ってお読みください。
次回からは、原発問題について書きます。
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