一言で言えば「税収減の穴埋め」である。
「社会保障と税の一体改革」という名前も、嘘っぱちである。
簡単に言えば、リーマンショック以前にあった税収総額約51兆円とリーマンショック後に落ち込んだ税収総額約41兆円の差額10兆円程を消費税増税で穴埋めし、現状の社会保障等や役人の人件費のレベルを維持する。それだけでは言い訳しにくいので増税分の内の消費税1%分を社会保障の充実に充てる。
というのが、今回の「社会保障と税の一体改革案」の真の姿である。
もちろん、政府、財務省は、今の税収が落ち込んだ状態が、今後しばらく続くという前提で考えている。経済成長率はゼロで想定している。
以上のことを簡単に説明すれば、税収総額がリーマンショック以前の状態に戻れば、現時点に於ける5%の消費税増税は必要ないということである。
「社会保障に名を借りた税収減穴埋めの為の増税の為の似非改革」というのが正確な表現であろう。
であるから、この案の「社会保障」の部分はスカスカで、改革で何をするのか、それにより国民にどんなメリットがあるのかも明らかに出来ない有様だ。
当初、よく言われていた「ギリシャのようになる」のを避けるための「財政再建の為の消費税増税」という表現も、おかしい。
なぜなら「税収減の穴埋めの為の消費税増税」であり、それにより「以前の税収状況に戻す」だけであり、消費税増税分の中に「財政再建」に振り向けられる分はない。
そもそも、何を指して「財政再建」というのかも明らかでない。
下記のグラフを見てもらいたい。
財務省ホームページより>一般会計税収の推移
※クリックで拡大
このグラフを見てもらえば税収の推移がわかってもらえるだろう。議論をする場合、どの時点の数値をベースにするかで、話の組み立て方や説明の仕方が大きく変わってしまう。
①直近の税収である41兆円をベースに話をすれば、消費税増税分は「税収増」という話になる。
②リーマンショック以前の51兆円をベースに話をすれば、消費税増税分は「税収減の穴埋め」という話になる。
話というものは共通の基準を決めた上で始めないと、それぞれにとって都合のいい議論や説明になってしまう。
そして、まず先に目標とすべき数値をはっきり示した上で議論を開始すべきだ。
例えば当面の目標として
歳出総額目標 85兆円
税収総額目標 50兆円
税外収入目標 10兆円(23年度予算参考)
国債発行 25兆円
というようなモデル数値を提示し、それを実現するためにはどうしたらいいのかという議論と更なる改善をするためには何が必要なのか、何が問題で何をすべきなのかという議論が本来は先行して、なされなければいけないように思うのだが・・・。
何より「日本の目指すべき将来の姿」を国民に示し、国会議員の間で問題認識を共有しあうことから始めるべきだろう。
増税分を何に使うのか?
それさえもアヤフヤなまま増税議論だけが先行している。
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