2012年3月28日水曜日

自民党は消費税増税法案に賛成できるのか?・・・できない!

「野田政権が消費税増税法案を閣議決定し法案を国会に提出したら、話合いで自民党が賛成し、民主党内では、野田首相が小沢グループを切って解散する」というシナリオが再び語られているようだが、これには、かなり無理がある。

幾つか理由を挙げてみよう。
①今回の民主党内での消費税を巡る会議で明らかになったように、消費税増税法案自体が実に雑な法案であること。国会に提出されても、党内議論と同じような議論が繰り返されることが予想される。(収集がつかなくなる。)
②「景気条項」についても、自民党は過去に提出した法案で消費税増税の条件として「景気の好転」を前提にしていたように記憶している。現状を見て「景気が好転している」とは、さすがの自民党でも口に出せないだろう。(安易に賛成しては過去に提出した法案との整合性が取れなくなる。)
③リーマンショックで税収が51兆円から一気に38.7兆円に落ち込んだ過去の実績がある。実に12.3兆円の落ち込みである。これは、今回の消費税5%増税分に相当する。これらの経験から自民党内にも慎重派は多くいる。
④増税の目的とされている「社会保障改革」の部分については、意見に大きな隔たりがある。
⑤最近、公明党との関係がギクシャクし始めている。公明党は「増税先行法案」という表現などを使い、消費税増税に反対する姿勢を強めている。且つ、「増税した分の使い道」や「社会保障改革の全体像が見えない」ことなどを理由に挙げ反対するであろう。自民党内でも公明党と袂を分かってまでして賛成する価値があるのかという議論は当然でてくる。
⑥自民党の落選組で次期選挙に立候補を予定している候補者にとっては、話合いによる増税法案賛成は、とても許容できるものではない。
⑦野田首相が自民党案を丸呑みしてでも増税法案を国会で可決させようとした場合、民主党内からも大変な反発が沸き起こるだろう。(民主党の存在価値が問われることになる。)
⑧野田首相は、口では「命を賭けて」とか発言し、法案の審議の進展次第では「解散」も辞さない覚悟を仄めかしているが、本当に「解散する覚悟」があるのだろうか。これも怪しい。
其の前に、自民党との話合いが出来るのかどうかもあわせて考えれば、解散は、どう考えても無理なような気がする。
自民党と話合いを始めたことがわかった時点で、民主党内からも自民党内からも他の野党からも猛烈な批判と反対意見の嵐が沸きあがる可能性は高い。両党とも党内がグショグショになる。
ましてや、マスコミなどの監視も強まっている現状で、話合いの場を持つこと自体が不可能に近いのではないだろうか。(今回の騒動をみればよくわかるはずだ。)
⑨国会で消費税増税に関する議論ばかりしていれば、国民から「復興や原発事故対策、景気対策は、どうなっているんだ。」という声が高まる可能性がある。既存政党に対する批判が一層高まり、「解散」どころの騒ぎではなくなる可能性がある。「国会議員は国民の負担を強いる議論ばかりしている」という批判がでてくるだろう。
このことにより内閣支持率も下がり、民主党、自民党の政党支持率も下がり、国民の支持は「消費税反対」を訴える新党や地域政党に向かうことになる。

自民党の谷垣総裁も民主党内の消費税増税反対派(小沢グループ)を名指しで批判しているが、実際に国会に法案が提出されれば、 民主党内の消費税増税反対派と同様な反対意見を野田首相と戦わせる羽目になるだろう。
自民党の反対意見=民主党内の反対派・慎重派の意見
となる公算は大きい。
なぜなら民主党内の消費税増税反対派、慎重派の意見は至極当たり前の意見ばかりである。且つ政府側が「景気条項に反対派要求数値を努力目標として書き込む」とした時点で、今すぐに、法案を提出する理由が無くなったと捉えるべきだろう。となると慌てて審議する必要性はなくなり、経済政策を優先し、まずは「努力目標」に近い経済指標が達成できるように努力することを優先させるべきだという意見に説得力がでてくる。また「増税の前にやることがあるだろう」という意見の正統性を証明することにも繋がる。

どちらにしても、最後は野田首相、谷垣首相に「話合い解散」を推し進めるだけのリーダーシップと決断力と説得力があるかだが、全てにおいて?マークを点けざるを得ないのが現状だと思う。
また、もし「話合い解散」が行われたら、それは日本の政党政治の死を意味する。
国民に大きな負担を強いる「大増税」を実現するのに、国民の審判を仰がず「与党と野党第1党の党首の話合いで決めてしまうこと」が真の民主主義と呼べるのか。国会の役割とは何なのか。議会制民主主義とは何なのか。という政治の根本を問われることになる。
そこまで野田首相、谷垣総裁が馬鹿でないことを祈りたい。

余談
衆議院で自民党が消費税増税法案の賛成に廻ったとしても、野党全てが反対に廻れば、民主党議員170名程が造反すれば可決しない。党の政調役員会で消費税増税法案に3名が反対する有様である。
「みんなで反対すれば怖くない」という心理がはたらけば、あながち170名程の造反が無いとはいいきれない。また、自民党内からも造反者のでる可能性は高い。
「賛成に廻って法案が否決されたら、谷垣総裁は笑いものになるだろう。



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