消費税が最初に導入された時は、税率3%、基本的に一部の品目を除き外税表示、免税事業者は課税売上高3000万円以下であった。
平成9年には税率が2%アップされ5%になった。
平成15年には免税事業者は課税売上高1000万円以下に変更された。
平成16年の改正では税込み表示が義務付けされた。(将来の増税を見越した財務省の陰謀)
実は、これらの改正は中小の小売店などの経営に大きな影響を与えた。
アメリカの圧力による平成12年の大店法廃止とともに、これらの消費税法の改正は、地方都市の商店街や小規模な小売店、飲食店などに壊滅的な影響を与えた。家族労働の製造業などにも大きな影響を与えた。
結果、大きな全国チェーンや安売り店、郊外型のショッピングセンターばかりが増え、旧市街地は寂れシャッター街と化した。
税率が3%の時代、或いは課税売上高3000万円以下が免税事業者であった時代には、何とか家族労働などで人件費を浮かせ、大型店やチェーン店との価格競争に対抗する術があった。
もともと粗利益率の低い中小の事業者は、3%時代には、どうにか少ない粗利益を削りながらも、価格競争しながら事業を続けることが可能だったが、5%に上がった頃から価格競争で大手に勝てなくなり、倒産や廃業に追い込まれた。実はヨーロッパでも同じような現象が起きた経緯がある。
消費税率が10%になれば、この動きが加速し、倒産や廃業に追い込まれる中小事業者が続出することが予想される。
ではどうすべきなのか?
どうしても消費税を上げなければならない場合には低所得者対策だけでなく、中小の事業者への対策もしっかり考えないと特に地方では中小の事業者の数が減少し、高齢者などが大変不便な状況に置かれることになる。
また中小の製造業者などにおいても影響は大きい。地方の雇用などにも大きな影響を与える。
少なくても今以上に税率を上げる場合には複数税率の導入や非課税品目の拡大、外税表示への変更、免税事業者の課税売上高の拡大などの再検討が必要だろう。
消費税は、事業者側の経理上では「預り消費税」という名目の「預り金」処理になる。其のため、消費税の延納は認められない。所得税や法人税などは延納が認められるが消費税は「預かった税金」扱いのため延納は認められない。
消費税の問題の一つに滞納問題がある。現状においても国税の滞納の約50%は消費税である。
もし税率が倍の10%になったらどうなるのか?恐ろしくて想像したくない。
経済状況がよくない状況では、預かった消費税を運転資金に廻している事業者が多い。いざ、申告し納税する段階で支払いできないという事業者が更に増え、大変な数になることが予想される。延納が出来ないから納期限以後、高い延滞税が課されることになる。
あくまで推測であるが、現在の新規発生消費税滞納額は、ここ数年減少傾向にあるとはいえ3400億円程度ある。税率が2倍になった場合、1件あたりの滞納額及び件数も大幅に増加することが予測され、1兆円を越すのではないかと予測される。
日本の消費税は、税込み表示(総額表示)に変更されたため、負担する側の担税感が薄れてしまった。
例えば
210円のプライスカードのついた商品は
商品価格200円+消費税10円(5%時)=210円
なのだが、時が経つにつれ多くの消費者が商品価格が210円のように錯覚し始めている。ここに大きな危険性がある。
給料から差し引かれる源泉所得税や社会保険料においても同様だ。
源泉徴収制度は、非常によく考えられた徴税システムだが、納税者の税金に対する関心や担税感を薄めるという、大きな問題点があることも理解しておく必要がある。
所得税や法人税は所得が無ければ支払わなくてもいい税金である。相続税は相続資産が控除額以下であれば支払わなくてもいい税金である。
その他の税金もそれぞれの申告書で申告するか分離課税で申告することになる。そして、その後に納税する仕組みであり、場合によっては還付になる場合もある。
しかし消費税は「物やサービス」と「税金」がセットになっていて、お金を支払った時点で納税した形になる。財務当局にとっては、非常に、とりやすく且つ手間がかからない税金である。
しかし、其の反面で、安易に増税した場合、その影響は広範にわたり、且つ家計や経済にダイレクトに反映される。
それも、時が経つと伴に影響が段々と大きくなる点に注意が必要だ。
今、先進諸国の多くの国では高額所得者への課税強化に動いている。
景気への影響を最小限に抑えると伴に、社会からの恩恵を、より多く享受している人たちから税金をいただこうという流れになりつつある。
例えば、日本の企業の社会保障費の負担率は、先進諸国の中でもかなり低い方の国に分類される。これらを少し増やすだけで、消費税の1%から2%程度の財源がでてくるだろう。
日本では、大企業の低い負担率はそのままにして、パートなどの低所得者層から取ることばかりを考えている。
企業の欠損金の繰越控除制度の繰越期間が一昔前は3年だったのが今は7年である。これにより一番の恩恵を得たのが大企業である。
財政赤字の日本で、当面の間だけ、これを3年に戻せば、それだけで年間数兆円の法人税の増収が見込めるのではないか。
「絆」とマスコミや企業が騒ぐなら、社会からの恩恵をより多く享受している大企業は財政赤字で困っている国に対しそれ相応の負担をすべきだ。・・・と思う。
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