2012年3月23日金曜日

消費税の持つ危険性(2)・・・金融・経済政策面から見ても間違っている。

消費税の持つ危険性(1)でも
「今まで21円で20円の商品が買えたのが増税されると21円で19円の商品しか買えなくなるということである。
このことは単純な視点から見れば「貨幣の価値が下がる」わけだからインフレである。
しかし、実際に起こることは「商品価格の下落」によるデフレである。
つまり、消費税分は市中に廻らないで国庫に入るため、景気の良し悪しにもよるが、単純には考えられないということである。
と書いた。

上記の意味することは、消費税増税は「全ての国民からお金を吸い上げる(全てというのは語弊があるが・・・)」ということである。年金生活者からも、生活保護世帯からも、派遣労働者からも、そして被災地の人達からも、満遍なく税金という形で市中のお金を吸い上げる。
景気の好い時であれば、家計所得も上昇しているので影響は小さくて済むが不景気の時の増税は家計所得が減少しているので、影響が非常に大きい。
景気の好い時であれば、増税は短期的には駆け込み需要や便乗値上げなどを誘発し、インフレ傾向に振れる可能性があるが、景気の悪い時は物が売れなくなるので価格競争が激しくなり、その結果「価格の低下」を招きデフレ圧力が強まる。

何より重要なのは、本来、景気の悪い時は「金融緩和」などの金融政策により、市中に出回るお金の量を増やすことで経済活動を活発化させることが有効な経済対策の一つなのだが、消費税の増税は真逆な結果を生み出す。
例えば、日銀が10兆円程度の金融緩和をおこなったとしても、消費税5%の増税で市中から12兆円程度の資金を税金という形で国庫に吸い上げ市中に出回る資金の量を減らしてしまう。
金融政策の効果を相殺してしまうことに繋がる。

そして、これらのことは所得税や法人税の税収を下げることにも繋がる。
これは、ここ数年のヨーロッパの動きをみればよくわかる。イギリスを始めヨーロッパの多くの国々は、ここ数年で付加価値税(日本でいう消費税)を上げたが、一向に景気は上向かないどころか低下傾向にある。財政赤字の削減も進んでいない。表立ってはいないが、デフレが進行しているとみるべきだろう。付加価値税の増収分が所得税や法人税の減収分で相殺されていると見るべきだろう。
だから経済対策に力を移し始めたのである。
逆にアメリカは減税を延長し、大規模な金融緩和政策を継続させた。
それにより、多少ではあるが景気が持ち直している。そのアメリカも実体経済は、そんなに力強いわけでもなく先行きは不透明だ。

もう一点が、セーフティーネットの整備である。
増税を実施する場合には、それによる副作用を緩和するための薬を準備しておく必要がある。
何も準備しないで、劇薬を使用した場合の副作用の影響は簡単には回復しない。
今は、増税をする時期ではない。

3 件のコメント:

通りがけ さんのコメント...
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温泉天国 さんのコメント...
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通りがけ さんのコメント...
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