消費税政局と呼ばれる中、政界は昨年とよく似た政治状況になりつつある。
昨年は、3月11日に東日本大震災と福島第一原発事故が発生し、一時、政局がストップしていたが、其の前後の政局は現在とよく似ている。違うのは「 東日本大震災と福島原発事故への対応問題」が「消費税増税問題」に変わっただけである。
予算関連法案の国会通過は見通しが立たず、大連立話が持ち上がっている点なども昨年と殆んど同じ構図だ。そして大連立で動いているのも、相変わらず岡田副総理(当時は幹事長)や仙谷氏、自民党内では大島副総裁など昨年と同様なメンバーである。当然ではあるが、大連立話はポシャる。
そして、次にくるのは「内閣不信任案の提出時期」の話題だろう。
一向に政治に進歩の跡が見受けられない。(小沢さんの動向が鍵を握っている点も、まったく一緒)
行き着く先は容易に想像できる。
3月中に野田政権が「消費税増税法案の国会提出」ができるかどうか。もし提出できたとしても国会で法案が否決されれば、必ず「野田首相の責任問題」が持ち上がり、昨年同様、首相の「辞める。辞めない。」「解散する。解散しない。」でズルズルと時が過ぎ去っていくに違いない。
同じことの繰り返しで、過去の失敗や経験から学ぼうとする姿勢が政権の中枢や与党の中枢にいる人達、そして野党の幹部の人達からも感じられない。
当然のことながら野田首相も菅政権を財務大臣として支えた閣僚の一人であり、菅氏を支持した一人でもある。政権内部から菅氏のように静かに首相の座を狙っていた中の一人であったはずだ。
野田氏、岡田氏らが、「菅政権での失敗点や政権運営の問題点など」を検証し、反省し、今後に生かすという姿勢をとっていたら随分違った政局になっていたかもしれない。
では、どうすべきだったのか?
一般の会社でも一緒だ。
次期社長争いで社内抗争が勃発した場合、次期社長がとるべき道は二つしかない。「徹底した反対派の排除」か「人事による社内融和」である。
「徹底した反対派の排除」は、やるなら中途半端なことをしてはだめだ。でないと更なる抗争の火種を残すことになる。そして社内の派閥闘争が激化する可能性を残すことになる。
正しく今の民主党がこの状態だ。菅前首相は、この道を選んだが結果的に失敗し、首相を追われ、更に震災、原発事故対応の責任を問われる立場に追い込まれた。
対する小沢さんは、度重なる党内からの攻撃や執拗なマスコミの追撃を振り切り、逆に党員資格停止状態に有りながら、これらの問題に対し「自由に発言できる立場」を確保することに成功した。党内に居ながら部外者的な立場で発言できるポジションを維持できた。このことの意味は大きい。
さて、もし二番目の
「人事による社内融和」が上手く行われていたとしたらどうなっていただろう。
ただし、この場合の人事とは、即ち「小沢さんの処遇」のことである。
社内の派閥抗争でも政治の世界でも、戦いが終わってからが大切だ。オバマ大統領は民主党の大統領候補者選びで熾烈な争いをしたヒラリー女史を国務大臣に抜擢した。戦った相手を抱き込むことは与党内を纏めることにも繋がる。
熾烈な大統領候補者選びを続けるアメリカ共和党においても、選挙が終われば党内の結束を最優先した人事を行い、候補者選びの選挙における誹謗、中傷合戦などでできた亀裂を最小限に抑え、それなりにまとまって、次の「大統領選挙」という目標に向かって走りだす。
菅前首相や野田首相及び其の周辺が、戦った相手側のトップではなく、その部下の処遇でお茶を濁そうとしたところに、第一の問題点があった。
一時、小沢さんの排除に成功したかのように見えたが、何故、上手くいかなかったのか?
それは、小沢グループの議員も納得でき、且つ党内が一致して協力できる「次の目標」を掲げることが出来なかったことにある。むしろ、其の逆の「消費税増税」であるとか「TPP」であるとか、「子供手当ての縮小」であるとか、真逆のマニュフェストに反する「納得できない、一致して協力できない」ような「次の目標」ばかり掲げたからに他ならない。
つまり、彼らが『小沢さんや小沢グループの議員達が納得でき、且つ一致して協力できる「次の目標」 を小沢さんに提示し、そして党内の多くが納得できる立場で小沢さんを処遇していれば、「小沢グループの議員の処遇」など、大した問題ではなかったはずだ。
要は、菅前首相、野田首相、岡田副総理、前原政調会長、仙谷氏などに「小沢さんを受け入れるだけの人間としての器の大きさ」がなく、且つ「小沢さんの力を活用しようとする考えも、小沢さんを活用する力も無かった」ことの表れでもある。
何故、民主党は政権を奪取できたのか?
曲がりなりにも「政権交代という共通の目標」があり、「それなりに納得のいく人事」が行われていたことにより、「党内が一つの目標」に向かって、突き進むことが出来たからだ。
よく、党内融和が出来ない原因を「小沢さんや小沢グループの責任」に押し付ける議員がいるが、それはお門違いというものだ。
「党の大半の議員が納得でき、一致して協力できるような次の目標」を提示できないことが最大の原因である。
それは、本来なら「マニュフェストの実現」であるべきだ。
民主党は、原点に戻るべきなのだ。それが党内融和の一番の近道である。
「民主党が本来、目指すべき次の目標」が菅政権で突如「財務省が目指している目標」に摩り替わってしまったことが最大の問題で、ここから民主党の混迷が深まった。
実際、民主党が実現したマニュフェスト項目の大半は、民主党政権が誕生してから半年ぐらいの間に行われている。しかし、その後は、殆んど進んでおらず、寧ろ後退している項目の方が圧倒的に多い。其の原因は、言うまでも無く途中で「民主党政権の目指すべき目標」が変わったてしまったからに他ならない。
このことが、国民からの信頼を失った最大の原因である。
対する野党の自民・公明党も、現在の原発問題や年金問題などの原因を作り、不正や、やらせ等を黙認してきたことが公になってしまった。
このような野党と「財務省や他の官僚組織、財界などが目指す目標の実現に邁進する野田政権」が大連立を組んで、国民の支持が得られると考えている議員がいるようだが、それは余りにも国民を無視した話であり、同じ党内の議員をも馬鹿にした話である。
ということで岡田副総理は、昨年の自分の失敗も忘れ、反省も無く、同じ道を進み墓穴を掘ろうとしている。
福田内閣当時における大連立話とは全然、意味合いが違うことを理解していない人が多い。(当時、民主党は野党である。)
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2012年3月19日月曜日
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