数日前のテレビで小沢さんが語った消費税という税に対する認識は、私達や他の国会議員とは異質のものであった。
私は、西松建設事件までは、小沢さんを好きでも嫌いでもなく、関心も殆んどなかった。
しかし、西松事件をきっかけに、小沢さんに関心を持ち始めた。小沢さんを知れば知るほど小沢一郎という政治家は、他の政治家とは違うことに気づき始めた。
何処が違うのかと問われれば、物事を見る視点が実に広く自由で固定概念にとらわれていない点を指摘したい。
そのことは、「消費税」という税の捉え方にも表れている。
小沢さんは、消費税が間接税であることを最初に指摘している。
間接税とは、物品やサービスにかける税である。所得や資産にかける税ではない。
小沢さんは、『間接税(消費税を含む)とは、収める税額も、自分の可処分所得の額も自分の意思で調整することが出来る税』だと説明した。(解釈と説明の仕方が多少違うかもしれないが・・・)
この説明は、非常に新鮮だった。経済学者からもエコノミストからも、国会議員からも、今まで殆ど聞いたことのない説明だ。
もう少し、わかりやすく解説すると、『間接税(消費税を含む)を納めたくなければ物を買わなければいい。自分の可処分所得を増やしたければ物を買わなければいい。』ということである。
当たり前のことなのだが、「家計と間接税の関係」をこれほど端的に説明した人を今まで見たことがない。
この説明は「間接税と経済の関係」をも端的に表している。
極論にまとめれば、基本的に「間接税(消費税を含む)は国民の可処分所得が増えなければ、税収は増えない。」「物(サービスを含む)が売れなければ間接税の税収は増えない」ということである。
別の表現をすれば「間接税の税率を上げても国民の可処分所得が増えなければ消費者は物の購買やサービスの利用を控える(又は低価格に移行)ので全体の税収は、計算どおりには増えない。」、「間接税の税率を上げても国民の可処分所得が下がれば、消費者は其の分、物の購買やサービスの利用を控える(又は低価格に移行)ので全体の税収は計算どおりには増えない」ということである。
政府や財務省の説明のように
現状の消費税5%の税収分(約11兆円・・・財務省のデータから引用)+増税する5%の税収分(12兆円)=23兆円
という計算どおりの税収になるのか疑ってみる必要がある。
ここで問題になるのが、最初に述べた「間接税と可処分所得との関係」だ。二つは密接に繋がっているという点である。小沢さんが指摘した点も、実はこの点にあるのではないかと思っている。
「消費税率のアップ(増税)は家計の可処分所得を減少させる。」という点である。
「今までと同じ生活(同じ物を買い、同じサービスを利用)をしていても、消費税率のアップで納める消費税の額が増えた分だけ家計の可処分所得を減少させる。」ということである。
「消費税には自動的に家計の可処分所得を吸い上げる機能が備わっている」ということである。
増税で一時的に税収が増えても、増収分だけ自動的に国民の可処分所得を吸い上げていく(減少させていく)・・・ここが所得税や法人税、他の資産税などとの大きな違いである。
消費税率を上げれば上げるほど国民の可処分所得を減少させ、国民の消費活動を縮小させる。そしてデフレを加速させる。
このことは、過去十数年の日本や最近のEUなどの現状をみれば、納得してもらえるかもしれない。
間接税は「国民の懐具合」と「国民の消費に対する意思」に大きく左右されるということである。
昔、「鉄は産業の米である」といわれた時代があったが、これを税に当てはめれば「税は国家の米である」と言い表すことができる。
コメの収量を増やそうと耕作面積を5%広げても、土地が痩せ細り1反当たりの収量が減少すれば全体の収量は増えない。
全体の収量を増やすためには、土地を肥やし、田の草を取り、適切な水の管理をし、適正な時期に刈り取ることが重要だ。
肥えた田で生育した稲なら、多少の台風や病気にも耐えられる。
痩せ細った田で生育した稲は、台風や病気に絶えられるだけの力を持たない。
民のカマドから煙がモウモウと立ち昇るように努力することの方を最優先すべきだと思うのだが・・・。
現状を見ると、カマドの火がドンドン小さくなりかっているように思えてならない。
私も小沢さん同様、日本の将来に対しては悲観していない。寧ろ楽観論者なのだが、今の政治では・・・少し心配になっている。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2012年3月29日木曜日
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