最近、つくづく思うのは政府と東京電力の体質がソックリであるということである。
東電-赤字になれば料金を値上げすればいい。
政府-財源が足らなければ国債を発行すればいい。
これなら、誰でも東電の社長や財務大臣はできる。
問題なのは、これからで
東電-経費を使うほど利益が増えるという料金体制
政府-予算請求を増やせば予算が増えるという予算編成システム
で、更に問題なのは
東電-利益を出すと値下げを要求されるので、利益を次々と設立した子会社に付け替え一定の利益に押さえ込む。
政府-予算を余らせると次年度で削減されるので使い切る。さらに予算を次々と設立した特殊法人等を通して多くの関連団体等に付け替えることで、天下り先の人件費や天下り先の利益に付け替える。
という構図にある。
更に許せないのは、問題を国や会社の財源不足に矮小化し、国民に負担させようとしていることだ。
幾つかの例を元に説明してみよう。
福島原発の事故収束のために働いている人たちは、2次、3次から5次、6次という下請けの派遣社員の人たちが多い。其のため、元受業者が支出する10万円の日当が末端の作業員の人たちの懐に入る頃には1万から1万5千円くらいになっている。途中に入る業者や親方達が中抜きするからだ。
これらに使われるお金は、迂回しているが最終的には国が支払うことになる。国民の税金からの支出だ。更に、中間業者の中には暴力団関係の企業も含まれているようだ。
極端な表現をするならば、原発事故の現場で働く作業員の日当(国民の税金から支出)の85%から90%は、作業員本人ではなく中間業者の懐に入っているということである。
更に、其の中には暴力団関係の企業もあるそうだから、税金の一部が暴力団の資金源になっているという何とも理解し難い構図になっている。
東電は、これらの作業を下請けに丸投げしている。下請けは「正式な雇用契約」も結ばないで作業員を使っているのが現状だ。
多少の違いはあれど、日本の行政システムも同じような構図である。
「東京電力の体質=政府の体質」といえるのかもしれない。
隠蔽、ごまかし、経営者の保身などの体質も、ソックリだ。
現在の復興、原発事故対応における政府の対応の最大の問題点は「国民の命と生活を守る事」を最優先せず、財源の確保を理由に国会審議を大幅に遅らせたことにより、問題処理と予算処理が大幅に遅れ、それが復旧、復興を大幅に遅らせた最大の原因になったことにある。
被災地域では復旧、復興のスピードに大きな差が出始めているが、それは地域の首長が「地域住民の命と生活を守ること」を最優先に考えているかどうかの違いでもある。
まずは、住民の生活基盤を整えることを最優先し、将来のことは落ち着いてから考えるという姿勢を貫いている地域は復旧、復興も早い。
将来像に基づく図面を描き、それに沿って復旧、復興を進めようとしている地域は、復旧、復興が遅れている。将来像に基づく図面を作る作業には膨大な手間と時間が必要で、其の間に地域住民は疲弊し、他の職業や他の地域に移ってしまう。本末転倒の結果を生み出しつつある。
これは、政府の対応においても同様である。
特に原発事故対応に顕著に現れている。
「住民の命と生活を守ること」を最優先に考えれば、除洗より先に住民が安心して暮らせる場所の確保と生活の保障を第一に考えるべきである。
いま政府がやろうとしていることは「除洗」ではなく「移洗」である。
被災地の産業廃棄物の受け入れ問題でも同様なことが言える。
基本原則に沿った処理理念を守ることが大原則である。
所謂、産廃を「持ち込まない」、「持ち込ませない」という大原則である。
「地域の問題は地域で解決する」という循環型社会形成における大原則である。
「原則なき産廃処理」が問題の解決を遅らせ、余分な予算を使うことに繋がっている。
東北の産廃を全国に搬送する費用だけで、東北3県に最新鋭の放射性物質にも対応した大型の産廃処理施設がいくつもできるだろう。
放射能汚染関係の産廃や土の処理においても「持ち込まない」「持ち込ませない」という原則と「封じ込める」という放射能処理の大原則に従えば、自ずと方向性が見えてくるはずだ。
電力会社の料金値上げの原因は「燃料費の高騰」が最大の原因のように言われているが、そうではない。「電力販売量の減少=売り上げの減少」が第一の原因である。「節電意識の向上」や「LEDなどの省エネ機器の急速な普及や最新の省エネ機種への買替え」等により、電力の販売量が減少(売上げの減少)していることが最大の要因であり、この流れは自然エネルギーの普及により更に加速するだろう。つまり、早急に徹底した経費削減と効率化、経営体質の改善を図ることこそが最優先に行われなければならないことである。一時的に値上げして解決される問題ではない。体質改善を行わなければ、永続的に値上げし続ける事態に陥る。ここでも国と共通する課題が露呈してくる。
今回の政府の対応を象徴するようなことを福島県の畜産農家の農協理事の方がテレビで言っていた。
「モニタリングポスト(放射線監視・測定装置)」の設置場所は徹底的な除洗が行われているそうだ。そこから少し離れると放射線数値がピーンと跳ね上がるそうである。(意味無いジャン・・・)
これには、さすがの私も「開いた口が塞がらない」状態になってしまった。
今までの政府の対応は、このことに代表されるように、すべからず「小手先」の「住民の命」は二の次で「自分達の立場を守る」ことと「経済界の意向に沿う」ことを優先させ、国民に「真の情報」を伝えないことで批判を避けようとしてきたといえる。
「原則なき政権運営」「原則なき原発事故対応」「原則なき復興支援」というのが実情だろう。
「住民の命と生活を守ることを最優先に考えるのか」それとも「財政再建を最優先に考えるのか」
本来は次元の違う問題ではないのかと思うのは私だけであろうか。
政治・経済のニュースに対する感想を徒然なるままブログに書いています。
2012年3月9日金曜日
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