2010年2月1日月曜日

ブーメラン現象

先日、あるテレビ番組でアメリカでの取材活動が長いフリーの政治ジャーナリストの方が、政権交代時における効果的な答弁の仕方について話されていた。
現状についての批判が出た場合、「前政権の責任を逆に追及」することがもっとも効果的であると語っておられた。

所謂「あなた達には言われたくない!」である。(管さんが良く使う手法、先日は前原さんも使っていた。)
これをやられると、ほとんど返答に困る。
政治の世界では、これを「ブーメラン戦法」(勝手に私が命名した。)と呼ぶ。
マスコミ等では、批判が逆になって戻ってくることを「ブーメラン現象」と呼ぶ。

昨年の衆議院選挙がそうであった。
なぜそうなったかという分析がほとんどされていないが、わたしは次のように分析する。
反小沢連合(反民主連合ではない)・・・国民は「政治とカネ」の問題に敏感⇒小沢=金権政治家⇒民主党のイメージ低下⇒選挙での勝利
と考えた。
ターゲットとなった政治家
Y国対委員長・・・「マルチ商法議連」問題
I議員・・・障害者割引郵便悪用をめぐる厚生労働省の文書偽造事件
小沢一郎・・・西松建設献金疑惑

実はこの時点で読み違えていた。
民主党の他の議員は、ほんの一部を除き、政治資金についてはクリーンでターゲットにできない。(前歴等で追求しても芸能ネタ程度)
小沢一郎=金権政治家⇒民主党の金権体質イメージ強調
の前提が最初から崩れていたのだ。(後にこれがブーメランとなって戻ってくる)

結局
小沢一郎個人VS検察・マスコミ・Z党という現在と同じ構図がこの時点でできてしまった。
個人の問題に関心が移ってしまったので、それが政党のイメージ低下に最小限の影響しか与えなかった。(支持率は一時的に下がったが)
また、逮捕のタイミングがあまりにも悪かったため、政治的思惑が表に出てしまい、話題がそちらに移ってしまったため、逆の批判が湧き上がった(ブーメラン現象)
小沢氏が辞任したため、民主党の支持率は急回復した。(個人の問題と捉えた国民が多かった為)
もし、あの事件が無ければ、これほどまでの大差にはならなかったはずである。(ブーメラン現象の効果)(小沢氏への同情も多少影響)

自党の中に、同様の問題を内包した議員を抱かえていればいるほど、追求がブーメランのように自党に戻ってくるリスクがより大きくなるということをよく理解する必要がある。

マニュフェストについても同様なことがいえる。
選挙民は、選挙で政党が提示したマニュフェストの項目全てを支持したわけではないことをよく理解する必要がある。
各政党のマニュフェストを比較し「自分の考えに近い政策」の多い方の政党を支持しただけであり、全ての政策を支持したわけではないと考えるべきである。
よって、マニュフェストの一部が実行されないからといって約束違反だと批判することは、自党の批判に跳ね返ってくる場合があることを理解しなければいけない。

道路特定財源の廃止」に対して全ての民主党支持者が支持したわけではない
Z党支持者の中にも賛成だった人はいるはずである。
Z党や民主党支持者の中にも「道路特定財源の廃止」に反対だった人は多くいると思う。
特に地方自治体の首長においては反対意見の方が多かったはずである。
マニュフェストの「道路特定財源の廃止」を守らないのはおかしいと言うことは、「自分達の主張と反対のことをやらないのはおかしい」といっているのと同じことなのだ。(自分達の主張と同じ)
『マニュフェストの約束を破って「道路特定財源の廃止」を中止してくれてありがとうございました。』と述べるのが正解であろうと思う。
これを守らないことがおかしいと言い続けることは、Z党支持者の中にいる「道路特定財源の廃止反対派」の反発を招くことになりかねない。この件に関しては、多くの自治体の首長は民主党の小沢幹事長に感謝しているはずだ。(ブーメラン現象)


ようするに、マニュフェストの項目の中には、「高速道路の無料化」のように選挙後において、世論の反対意見が多い項目も出てくる。世論と向き合いながら、時間をかけ検討し修正し、場合によっては中止する項目が出てきてもおかしくはない。それが本来のマニュフェスト選挙であり、誠実に国民に説明すれば、国民は理解してくれるものと考える。特に財政状況とは緊密な関係にあり、財政状況の変化で、実現出来ない政策が出てくることは当然のことだ。その場合は優先順位をしっかり説明する必要が生じる。

国民もよくこのことを理解する必要がある。
マニュフェストは選挙の時だけのものではなく、途中でも問題があれば修正させることも可能なことを理解しなければいけない。

自民党の与謝野肇議員は私が高く評価する議員の一人であるが、昨日のテレビでの発言には、ガッカリしてしまった。マニュフェストを実行しないことへの批判に終始し、前向きな議論への意欲が見えず残念であった。



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